中二病少女

木下寅丸

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入院生活と序章

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 妹は天才なのかもしれない。小難しい本の要点を簡単な感想で私に話てくる。そうはいっても、比較的最近の話のことなのだが。夏休み前はどこにでもいる、イケている中学生にしか見えなかった。きっと私とは違い、スクールカーストの上位に位置しているのだろなーと思っていた。それまでは、本の話なんて一ミリもしたことはなかった。
 夏休み。妹は入院をしていた。うちの家族は、兄妹揃って耳が少し悪く、耳の鼓膜がどーたらの手術をしなくてはいけなかった。私は妹より悪かった為、小学四年生の夏休みだったが、詳しいことはもう忘れた。たいしたことはないが、手術は必要とだけ覚えている。計画的な入院であり、中学二年生の夏休みが潰れるのを妹はぶつぶつ言っていた。

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「ひま、ひまひまひま。とにかく暇」お見舞いに来ると妹は喚いていた。
「今はスマホがあるんだからさ、暇つぶしなんていくらでもできるんじゃないの?」私はそう言うと、「スマホは見尽くしたの! 三日も経てばすることなんてなくなるもん。さては、お兄ちゃん入院したことないなー?」
「この歳で痴呆かな? お前と同じことで入院していたことを、知らないはずないんだけどな」
「知っているに決まっているじゃない。馬鹿なの?」とか言っていた。
「そういえば、その時お兄ちゃん何して過ごしていたの?」
「なんだっけかな? マンガでも読んでいたんじゃないかなー? 隣のベッドの子に借りた覚えはあるけど」
「マンガねー」一呼吸ついた。
「そういえばさ、お兄ちゃんの部屋の本棚あるじゃない? あれから面白そうなもの持ってきてよ」
「お前、私が何読んでいるか知っているわけ?たぶん面白くないと思うよ」
「そう! それ系!! いつもつまらなそうな本読んでいるじゃん。どのくらいつまらないか、ひま過ぎて死にそうだから特別に読んであげる♪」
 好き好んで読んでいるものをこう言われると少し凹む。大体君に何が分かるっていうのさ。本なんて読んだことないくせに。少しムカついた。
 それはそうと、何を持っていこうかな?どうせつまらなかったと言われるがオチだろうし、読み終えるのかも怪しいものだ。さて何にしようか。。。
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