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第一章 「新たな家族」と「未来への路」
新しい世界で。4
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「はい、お休みなさい。父上、母上。」
「おやしゅみなさいなしゃ~い。」
僕と兄上は、父上と母上に挨拶してから、食堂を出た。
ようやく文官になる第一歩が踏み出せたと思いながら、各々の自室に向かって歩いていると、兄上が声をかけてきた。
「レ、レイ、今日は一緒に風呂に入らない?」
「??」
唐突な兄上の言葉に、僕が困惑していると、兄上は寂しそうな顔で言ってきた。
「もし、私が従騎士試験に受かったら、それから1年以上レイに会えない。いくらレイが賢いといっても、まだ幼いお前だと、一年以上も家からいなくなる人間の事なんて忘れちゃうかもしれないし、それに私が、そんなにレイに会えないっていうのが耐えられないんだよ。だから、今のうちに、思いで作っておきたいって思っちゃって。ダメか?」
「もちりょんだいじょうぶだよ、あにうえ。」
そんなわけで、兄上と一緒にお風呂に入ることになりました。
ちなみに、この国の貴族家の多くは、屋敷に大きな風呂と小さめの風呂があるんだよ。大抵は、大きな方は貴族の一家が、小さいほうは使用人が使うみたい。入浴の文化は、極東に留学してたことのある3代前の王妃様が広めたんだって。なんでも、病気の予防らしいよ。平民たちには、この文化は行き届いてないらしいけどね。
「あにうえ、かゆいところない~?」
いつもは使用人たちに、体を洗ってもらうけど、今日は二人きりで洗いっこしました。楽しいです。
「ふ~極楽、極楽~。」
「あにうえ、しゅこしおじさんくしゃいよ。」
「え、………………。そんなに、私臭い?」
兄上がショックを受けた顔で言ってきた。
「においじゃにゃくて、ふんいきが。」
「え~~?うりうりうり~。」
兄上が、僕を撫でまわしてきた。やっぱりオジサンみたい。
「きゃ~~。」
でも、せっかくだから、僕も悪乗りしちゃった。
「「あはははは~~。」」
二人して、大笑いした後に、兄上が言った。
「今日はありがと、レイ。私、従騎士試験に受かって、できる限り早く、立派な騎士になって帰ってくるからね。」
「うん!」
「私は、騎士として。レイは、文官として。国を支える人間になろうな。」
「もちりょんだよ。あにうえ。」
「それでは!そんな人間になる第一歩として、明日、街に二人で遊びに行こうか。」
「いいにょ!?」
そう、僕は生まれてから今まで一度も屋敷の外に出たことがなかったのだ。まだ幼いからと外に出してもらえず、外が気になって仕方なかった僕にとって、兄上の誘いは渡りに船だった。
「もちろんだとも。護衛を連れてお忍びでいこうな。」
「やっちゃ~~。」
うれしすぎて大はしゃぎしてしまった。ちょっと恥ずかしい。
そのあと、それぞれの、自室に戻って寝た。
「おやしゅみなさいなしゃ~い。」
僕と兄上は、父上と母上に挨拶してから、食堂を出た。
ようやく文官になる第一歩が踏み出せたと思いながら、各々の自室に向かって歩いていると、兄上が声をかけてきた。
「レ、レイ、今日は一緒に風呂に入らない?」
「??」
唐突な兄上の言葉に、僕が困惑していると、兄上は寂しそうな顔で言ってきた。
「もし、私が従騎士試験に受かったら、それから1年以上レイに会えない。いくらレイが賢いといっても、まだ幼いお前だと、一年以上も家からいなくなる人間の事なんて忘れちゃうかもしれないし、それに私が、そんなにレイに会えないっていうのが耐えられないんだよ。だから、今のうちに、思いで作っておきたいって思っちゃって。ダメか?」
「もちりょんだいじょうぶだよ、あにうえ。」
そんなわけで、兄上と一緒にお風呂に入ることになりました。
ちなみに、この国の貴族家の多くは、屋敷に大きな風呂と小さめの風呂があるんだよ。大抵は、大きな方は貴族の一家が、小さいほうは使用人が使うみたい。入浴の文化は、極東に留学してたことのある3代前の王妃様が広めたんだって。なんでも、病気の予防らしいよ。平民たちには、この文化は行き届いてないらしいけどね。
「あにうえ、かゆいところない~?」
いつもは使用人たちに、体を洗ってもらうけど、今日は二人きりで洗いっこしました。楽しいです。
「ふ~極楽、極楽~。」
「あにうえ、しゅこしおじさんくしゃいよ。」
「え、………………。そんなに、私臭い?」
兄上がショックを受けた顔で言ってきた。
「においじゃにゃくて、ふんいきが。」
「え~~?うりうりうり~。」
兄上が、僕を撫でまわしてきた。やっぱりオジサンみたい。
「きゃ~~。」
でも、せっかくだから、僕も悪乗りしちゃった。
「「あはははは~~。」」
二人して、大笑いした後に、兄上が言った。
「今日はありがと、レイ。私、従騎士試験に受かって、できる限り早く、立派な騎士になって帰ってくるからね。」
「うん!」
「私は、騎士として。レイは、文官として。国を支える人間になろうな。」
「もちりょんだよ。あにうえ。」
「それでは!そんな人間になる第一歩として、明日、街に二人で遊びに行こうか。」
「いいにょ!?」
そう、僕は生まれてから今まで一度も屋敷の外に出たことがなかったのだ。まだ幼いからと外に出してもらえず、外が気になって仕方なかった僕にとって、兄上の誘いは渡りに船だった。
「もちろんだとも。護衛を連れてお忍びでいこうな。」
「やっちゃ~~。」
うれしすぎて大はしゃぎしてしまった。ちょっと恥ずかしい。
そのあと、それぞれの、自室に戻って寝た。
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