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三章 人魔戦線

三十七話 最強の魔術師(1)

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アスフェンに突き飛ばされたフュートレックが涙を浮かべながら落ちていく。

「私の……愛しのアスフェン」

額に青筋が浮かぶ。

「フフフ、これはアスフェンからの試練なのね。あなたの前に立ちはだかる障害を乗り越えて、あなたを手に入れる!」

フュートレックがドラゴンの翼を生やして飛び上がる。

「来るぞ!」

パワードスーツを装着したパンタロンが叫ぶ。

アスフェンとアリスが身構える。

「この人たちは私が守るから!」

チュンチュンがバーミックスとユスナを庇うように立つ。

「フフフ、殺してあげる」

フュートレックが雷魔術を放つ。

パンタロンが叫ぶ。

「避けろ!」

雷が炸裂する。

「ぐうう……!」

アリスが倒れ込む。

身体の痙攣が止まらない。

『雷なんか避けられるかよ!身体の痙攣が止まらない、やられる!』

フュートレックが杖をアリスに向ける。

「まず一人」

「やらせるかよ!」

空中に退避したパンタロンが銃器でフュートレックを攻撃する。

「ちっ、鬱陶しい蝿が!」

フュートレックが魔弾丸を素手で弾く。

『魔弾丸を素手で弾いちまうのか……しかも雷魔術まで使いやがった。やってることの次元が違いすぎる……帰りてぇー』

パンタロンがうんざりしたようにため息をつく。

「アイスジャベリン」

フュートレックが何十発もの氷のミサイルを発射する。

「マジかよ!」

パンタロンがジェットパックをフルスロットルにする。

『パワードスーツを着た状態で魔力切れになる可能性が見えてきたな。いくら俺の魔力を最高効率で動力に変換出来るとはいえ、ジリ貧か?いや、奴なら俺の魔力をゴッソリ没収できるかもしれん。そうなると厄介だ、アスフェン達の近くで戦闘すべきだな』

巨大な炎が氷のミサイルを溶かした。

「やるじゃねぇか、アリス!」

パンタロンが嬉しそうに叫ぶ。

アリスが巨大な炎を放ったのだ。

「飛竜」

アリスが剣を構え直す。

『まだ身体がビリビリする!くっそー、空なんか飛びやがって』

「アリス、チュンチュンとスイッチしろ」

アスフェンがパンタロンを見ながら言う。

「え?」

「奴を空中から叩き落とす。空を飛べる奴が必要だ」

「分かった!その前に……」

チュンチュンがアリスの首筋にかぶりつく。

「フアェー、やだぁ~」

アリスの表情がとろけ、火照る。

「よし!血の補給完了!」

チュンチュンが翼を生やして飛び上がる。

パンタロンがチュンチュンの隣に並ぶ。

「大丈夫なのか?ちびっこ!」

「チュンチュンだよ!取り敢えずアイツを空から引きずり下ろすよ!」

「了解したぜ、ちびっ子!」

フュートレックがチュンチュンを睨む。

「吸血鬼、アスフェンの敵……!」

フュートレックの攻撃が激しさを増す。

『こいつ、ギアを上げやがった』

パンタロンが必死に避ける。

「わわわ!さっきより激しくなってない!?」

チュンチュンも慌てて逃げる。

『あの技通用するかしら』

「ブラッドカッター!」

血の刃がフュートレックに向かう。

フュートレックは避けもしない。

「痛くも痒くもないわよ」

『よし、服に血がついた!』

チュンチュンがブラッドカッターを連発する。

フュートレックの服が血に濡れていく。

「ちょっと、しつこいわよ」

フュートレックがアイスジャベリンを放つ。

「こんなもんか」

チュンチュンが逃げ回る。

『なにがしたかったんだ?』

パンタロンがチュンチュンを追うミサイルを爆破する。

「必殺技打って!」

チュンチュンがパンタロンの隣に並ぶ。

「お、おう」

パンタロンがチャージを開始する。

『部下たちが一向に上がってこない。気付きそうなもんだがな。まさか、ご丁寧に殺してきやがったのか?一発じゃ弾かれる可能性もあるが、ちびっ子の動きを見るにその心配はなさそうだ』

「チャージ完了!究極電磁波アルティメットレールキャノン!」

破壊的なエネルギーがフュートレックを襲う。

「くだらない」

フュートレックがエネルギーを掻き消す。

「そうなるわな」

パンタロンが呟く。

「今度はこっちの番よ」

フュートレックが魔砲を放とうとする。

パンタロンが危機を察知する。

「おい、ちびっ子、逃げるぞ……」

パンタロンの後ろにはアンデラートがある。

『避けたらアンデラートが消し飛ぶ!最悪だ』

パンタロンがチャージを開始しようとした瞬間、フュートレックの服についた血が縄になってきつく縛り上げる。

フュートレックが驚く。

『体外に出た血液の操作!こいつ、帝王種カイザーだったのか』

チュンチュンが叫ぶ。

「いまだ!アスフェーン!アリース!」


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