上 下
24 / 60
三章 人魔戦線

二十四話 いざアンデラート冒険者学園へ

しおりを挟む
結局交流会は無かったことになった。

アスフェン達はアヴェンドに事情を説明した。

「なるほど、早速紹介状を書こう」

アヴェンドはすぐにアンデラートへの紹介状を書いてくれた。

「また君が世界を救ってくれることを信じてるよ」

アスフェン達はそのまま大鷲に乗ってオベリスクに飛び立った。

「魔王ってどれぐらい強かったんですか?」

ケラスターゼがアスフェンに尋ねる。

「さあな、俺たちが倒したときは魔王を極限まで弱体化させてたからなぁ、わかんないわ」

アスフェンが懐かしむように言う。

「それに俺もやばい身体強化かけてたしな」

「へー、どんな?」

「リミット終了後一生魔力が激減する代わりに身体能力を爆上げする奴とか」

「え、魔力による身体強化してなくてあれですか?」

ケラスターゼがドン引きする。

『この人ヤバ……』

「魔王が復活したらまた戦争だらけの世界になっちゃうのかな」

レグルスが呟く。

「どんな状態で復活するかにもよる。あの時と同じなら勝機はある。弱体化無しなら……わからん」

アスフェンが大鷲を岩場におろす。

「今日はここいらで野宿するか」

「じゃあ私薪集めてきますね」

「なら私は今日の晩御飯だ」

「俺も行く、ケラスターゼはテント張っといてくれ」

「まかせて!」


⭐⭐⭐

アスフェン達はさらに二日かけてオベリスクに到着した。

「す、すごい……おっきな建物がいっぱい」

レグルスが高層ビルを見上げて感嘆する。

「オベリスクは、特にこの街『カンティーナ』が発展してるのよ」

ケラスターゼが歩きながら説明する。

「『オーディナリー』とは違いますね」

「そりゃ、あんな辺鄙なところにあっちゃ発展なんてできないわ。カンティーナレベルのインフラをあそこに設置しようとしたなら、何百年かかるかわからないわ」

アリスが呆れる。

「俺の故郷を悪く言うな」

「あ、師匠すいません!」

「ちょっと、もうすぐアンデラートにつくわよ」

ケラスターゼが前方を指差す。

巨大なガラス張りの建物が空高くそびえ立っている。

「ここがケラスターゼとアリスが行っていたアンデラート……」

「ええ、さっさと行きましょ」

ケラスターゼ達が自動ドアをくぐる。

「ご用件を……ってケラスターゼさん、それにアリスさんも!」

受付の男が驚く。

「卒業式以来じゃないですか!あの、そちらは?」

「ああ、この人はアスフェン。そしてこっちの愛くるしい子はレグルス」

「どうもわたくしアンデラートの受付兼入学試験官のバーミックスと申します。それでご用件は……?」

アスフェンが紹介状を差し出す。

「カルテット国王の紹介状?入学希望ということですが……」

「そうだ。何か問題でも?」

「いえ、では早速実技試験を始めましょうか。ついてきてください」


⭐⭐⭐

アスフェン達はバーミックスに連れられて、訓練所にやってきた。

何人かの生徒が訓練を行っている。

「最初は的当てです」

「的当て?」

「的当てです。バカみたいな火力で消し飛ばしたら入学をみとめませんからね。精密性を重要視しますから」

アスフェンが的の前に立つ。

「魔法は使えないからナイフでいっか」

アスフェンがナイフを投げる。

物凄いスピードで飛んでいったナイフは的を貫通した。

「すごいスピードだ……!それでいてナイフは中心を貫いている。精密性もすごい」

バーミックスが興味深そうに呟く。

場所を移動する。

「今度はパワーとスピードを重要視する試験です。こちらの棒で本気で計測器を殴ってください」

「わかった」

アスフェンが棒を振る。

ベキッ!と大きな音を立てて計測器がひしゃげる。

「あのー、魔力による身体強化は不正行為ですけど」

「してないよ」

「してなくてこれ!?」

バーミックスが唾を飲む。

『アスフェンという男、恐るべし……!彼がもう少し早く来ていれば、交流会に出せたのに……』

バーミックスが溜め息をつく。

「アスフェンさんはきっと合格出来るでしょう、次はレグルスさん、あなたの番です」

レグルスが頷く。


⭐⭐⭐

「いやー、二人とも晴れて合格!めでたいね~!」

ケラスターゼがウキウキでスキップする。

「まだ決まって無いだろ。今日の結果を鑑みて合否を判断するって言ってただろ」

「もし二人が落ちたら猛抗議してやりますよ」

アリスが不敵な笑みを浮かべる。

そんな四人を陰から伺う人影あった。

「なぜ奴らがアンデラートに……早急に始末する必要があるな」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

姫騎士様と二人旅、何も起きないはずもなく……

踊りまんぼう
ファンタジー
主人公であるセイは異世界転生者であるが、地味な生活を送っていた。 そんな中、昔パーティを組んだことのある仲間に誘われてとある依頼に参加したのだが……。 *表題の二人旅は第09話からです (カクヨム、小説家になろうでも公開中です)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

睡眠スキルは最強です! 〜現代日本にモンスター!? 眠らせて一方的に倒し生き延びます!〜

八代奏多
ファンタジー
不眠症に悩んでいた伊藤晴人はいつものように「寝たい」と思っていた。 すると突然、視界にこんな文字が浮かんだ。 〈スキル【睡眠】を習得しました〉 気付いた時にはもう遅く、そのまま眠りについてしまう。 翌朝、大寝坊した彼を待っていたのはこんなものだった。 モンスターが徘徊し、スキルやステータスが存在する日本。 しかし持っているのは睡眠という自分を眠らせるスキルと頼りない包丁だけ。 だが、その睡眠スキルはとんでもなく強力なもので──

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...