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ラ・マルセイエーズ
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ルックナーとラコック 奈落より「ゼーアドラー」のセットに現れる。
ルックナー ラコック、貴様、弾薬庫を偵察しやがって!こればかりは許さんぞ!帆桁に吊るしてやる!
ラコック ふん、虜囚の身となろうが、なんらかの手段を以って、敵に負担を強いるのは、国民の義務だ。それをもって、処刑など許されると思うな。
ルックナー 貴様、聞いたような口をきくな!
ルックナー ラコックを殴り倒す。
ルックナー さぁ、覚悟しろ。
クリンチ 奈落より登場し、ルックナーを羽交い締めにする。
クリンチ 艦長、お止め下さい。捕虜の虐待はハーグ条約により禁じられております。
ルックナー 承知している。だがな、この野郎、立入禁止の艦前部に潜入し、弾薬庫に近づきやがった!
クリンチ それでもダメです。
ルックナー 俺は艦長だ。この船の全権はオレにある!この野郎を処罰する権限もある。
クリンチ 皇帝陛下の名を汚しますか。
ルックナー むっ、そう言われては。
クリンチ 確かに我々はしてやられた側です。だからこそ、一定の寛大さを示さねばなりません。我等が示す度量が皇帝陛下の評判になるのですから。
ラコック そうだそうだ、わかったか、ドイツ人。
ラコック 立ち上がる。
ルックナー 確かに、我々の監視をかい潜ったことは褒めてやらんとならんが、この野郎、どうにも勘に障る。
ラコック その言葉返してやるよ。オレも勘に障ってばかりだ、ドイツ人!オレから船を奪いやがって。何の権利があってオレから船を奪った。オレの船を返せ。オレの「ラ・ロシュフコー」号を返せ。
ルックナー ふん!返せか。ならば、フランスという国家にルックナー家は奪われたものがあるんだ。それを返してくれたら返してやるよ。
クリンチ 艦長、何をおっしゃってるのですか?
ラコック そういえば「デュプクレス」号を沈めた時に何やら言っていたな。フランスは何かを奪ったと。しかもそれを国を挙げて美しいものと称賛しているとか、抜かしたな。
ルックナー 覚えていたか。
ラコック フランス人は優秀だからな。だが、そんなものがあるのか。
ルックナー ある。オレの曾祖父さんから奪ったものだ。近年一時的に否定し、禁止しようとするや奴もいたが、フランス人の多くが愛するが故に、そいつらも折れて、認めざるを得なかった。
ラコック なんだそれは。訳がわからん。お前のひいじいさんから奪い、フランス人の多くが愛する?お前の家に何があったかしらんが、そんなガラクタを我等が愛すると思うか。
ルックナー ガラクタと言ったな。吐いたツバは飲めんぞ。
ラコック 必要ない。ガラクタはガラクタだ。
ルックナー ロープをラコックに投げつける。
ラコック なんだ、これは?
ルックナー 今からルックナー家から奪ったものを聞かせてやる。そして罪を悔いた時に使え。
ラコック 聞かせる?
ルックナー 歌いはじめる。
観客席 これはこれは、式典などで聞く機会は幾度となくあったが。
ラコック な、なんだと!?ドイツ人、貴様、何故その歌を歌う?
クリンチ 艦長、今歌う歌なのですか?
ルックナー 歌いつづける。
ラコック ドイツ軍人である貴様が時と場所を選ばず歌っていい歌ではあるまい。我がフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」は。
ルックナー 歌い終える。
ラコック 「ラ・マルセイエーズ」が奪われたものだというのか?
ルックナー そうだ。お前もフランス人なら歴史は知っているだろう。
ラコック 「ラ・マルセイエーズ」は、ライン方面軍の工兵大尉ルージェ・ド・リールが作詞作曲したものだ。
ルックナー リール大尉は、一夜にして作詞作曲し、どうしたのかな?
ラコック 当時のライン方面軍司令官ニコラ・リュクネール元帥に献呈している。
ルックナー そう、オレの曾祖父、ニコラウス・フォン・ルックナー伯爵に献呈されたのだ!
クリンチ そうか「Luckner」をフランス語読みすればリュクネール、ドイツ語読みすればルックナーだ。
観客席 なんとまぁ、色々引き出しのある男だ。退屈させてくれん。
ラコック ……しかし、奪ったなど。
ルックナー 曾祖父さんは、当時の政府に逮捕され、ギロチンで処刑されている。給料の支払いを求めただけだってのにな。殺されて、あげくに献呈された歌は、断りも無しに国歌だ。これを奪われたと言わずして何を奪われたというのか。
ラコック グッ。
ラコック ロープを両手で握り締める。
ルックナー そいつを使うなら止めんぞ。よりによって愛してやまぬはずの国歌をガラクタ呼ばわりしたんだからな。それとも愛して無いのかな。
ラコック うううぅ。
クリンチ 艦長、いい加減にしてあげて下さい。自殺されても皇帝陛下の名に傷がつきます。虐待を疑われるのですからな。
ルックナー そうだな。この場は無かったことにしよう。ラコックの艦前部への侵入から全てな。オレは、昼寝していたし、捕虜も同様だったと。
クリンチ それでよろしいでしょう。貴殿もよろしいな。
ラコック ……わかった。
ルックナー まぁ、昼寝でどのような夢を見るかは、各人の勝手で見た夢を語るのも勝手だ。それで終わりとしよう。
ルックナー ラコック、貴様、弾薬庫を偵察しやがって!こればかりは許さんぞ!帆桁に吊るしてやる!
ラコック ふん、虜囚の身となろうが、なんらかの手段を以って、敵に負担を強いるのは、国民の義務だ。それをもって、処刑など許されると思うな。
ルックナー 貴様、聞いたような口をきくな!
ルックナー ラコックを殴り倒す。
ルックナー さぁ、覚悟しろ。
クリンチ 奈落より登場し、ルックナーを羽交い締めにする。
クリンチ 艦長、お止め下さい。捕虜の虐待はハーグ条約により禁じられております。
ルックナー 承知している。だがな、この野郎、立入禁止の艦前部に潜入し、弾薬庫に近づきやがった!
クリンチ それでもダメです。
ルックナー 俺は艦長だ。この船の全権はオレにある!この野郎を処罰する権限もある。
クリンチ 皇帝陛下の名を汚しますか。
ルックナー むっ、そう言われては。
クリンチ 確かに我々はしてやられた側です。だからこそ、一定の寛大さを示さねばなりません。我等が示す度量が皇帝陛下の評判になるのですから。
ラコック そうだそうだ、わかったか、ドイツ人。
ラコック 立ち上がる。
ルックナー 確かに、我々の監視をかい潜ったことは褒めてやらんとならんが、この野郎、どうにも勘に障る。
ラコック その言葉返してやるよ。オレも勘に障ってばかりだ、ドイツ人!オレから船を奪いやがって。何の権利があってオレから船を奪った。オレの船を返せ。オレの「ラ・ロシュフコー」号を返せ。
ルックナー ふん!返せか。ならば、フランスという国家にルックナー家は奪われたものがあるんだ。それを返してくれたら返してやるよ。
クリンチ 艦長、何をおっしゃってるのですか?
ラコック そういえば「デュプクレス」号を沈めた時に何やら言っていたな。フランスは何かを奪ったと。しかもそれを国を挙げて美しいものと称賛しているとか、抜かしたな。
ルックナー 覚えていたか。
ラコック フランス人は優秀だからな。だが、そんなものがあるのか。
ルックナー ある。オレの曾祖父さんから奪ったものだ。近年一時的に否定し、禁止しようとするや奴もいたが、フランス人の多くが愛するが故に、そいつらも折れて、認めざるを得なかった。
ラコック なんだそれは。訳がわからん。お前のひいじいさんから奪い、フランス人の多くが愛する?お前の家に何があったかしらんが、そんなガラクタを我等が愛すると思うか。
ルックナー ガラクタと言ったな。吐いたツバは飲めんぞ。
ラコック 必要ない。ガラクタはガラクタだ。
ルックナー ロープをラコックに投げつける。
ラコック なんだ、これは?
ルックナー 今からルックナー家から奪ったものを聞かせてやる。そして罪を悔いた時に使え。
ラコック 聞かせる?
ルックナー 歌いはじめる。
観客席 これはこれは、式典などで聞く機会は幾度となくあったが。
ラコック な、なんだと!?ドイツ人、貴様、何故その歌を歌う?
クリンチ 艦長、今歌う歌なのですか?
ルックナー 歌いつづける。
ラコック ドイツ軍人である貴様が時と場所を選ばず歌っていい歌ではあるまい。我がフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」は。
ルックナー 歌い終える。
ラコック 「ラ・マルセイエーズ」が奪われたものだというのか?
ルックナー そうだ。お前もフランス人なら歴史は知っているだろう。
ラコック 「ラ・マルセイエーズ」は、ライン方面軍の工兵大尉ルージェ・ド・リールが作詞作曲したものだ。
ルックナー リール大尉は、一夜にして作詞作曲し、どうしたのかな?
ラコック 当時のライン方面軍司令官ニコラ・リュクネール元帥に献呈している。
ルックナー そう、オレの曾祖父、ニコラウス・フォン・ルックナー伯爵に献呈されたのだ!
クリンチ そうか「Luckner」をフランス語読みすればリュクネール、ドイツ語読みすればルックナーだ。
観客席 なんとまぁ、色々引き出しのある男だ。退屈させてくれん。
ラコック ……しかし、奪ったなど。
ルックナー 曾祖父さんは、当時の政府に逮捕され、ギロチンで処刑されている。給料の支払いを求めただけだってのにな。殺されて、あげくに献呈された歌は、断りも無しに国歌だ。これを奪われたと言わずして何を奪われたというのか。
ラコック グッ。
ラコック ロープを両手で握り締める。
ルックナー そいつを使うなら止めんぞ。よりによって愛してやまぬはずの国歌をガラクタ呼ばわりしたんだからな。それとも愛して無いのかな。
ラコック うううぅ。
クリンチ 艦長、いい加減にしてあげて下さい。自殺されても皇帝陛下の名に傷がつきます。虐待を疑われるのですからな。
ルックナー そうだな。この場は無かったことにしよう。ラコックの艦前部への侵入から全てな。オレは、昼寝していたし、捕虜も同様だったと。
クリンチ それでよろしいでしょう。貴殿もよろしいな。
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