34 / 59
第二章 王国国立学園入学。
Ep.8.0-⑤ 誤算に次ぐ誤算。-⑤
しおりを挟む
「ま、まあ。
うん、はい。
ともかく父さんと母さんが◯キ婚だってことは分かったよ……」
もうこの話辞めたい……。
「デ、◯キ婚って人聞きが悪いな、父さんと母さんは深い愛の果てにセリファを授かって結婚したんだぞ。
そ、それにレイジ、◯キ婚なんて言葉、お前一体誰から習ったんだ?
お前はその年齢に似合わない言葉や知識を持っているのは知っているが……さすがにな……そんな言葉は……」
あ、やばい、ついやっちまった……!
畜生!
余計な事を言うのは極力避けてるのに……!
「ほ、本で読んだんだよ!
俺、本好きだからさ。
ほ、ほら、俺よく家の書庫で本読んでるでしょ?
だから色んな言葉知ってるんだよ。」
「そうか、なるほどな。
知は力なりって言うし、色んな事を知っているのはいい事だけど……。
あまり公衆の面前でああ言う言葉を言うなよ?
この会場にいるたくさんの貴族達の中にはレイジの事を心よく思ってない人達ももしかしたら少なからずいるかもしれない。
今となってはお前はもう王女と婚約している身なんだから変な所で足元をすくわれないよう言動には慎重にな」
どうにか誤魔化せたみたいだ。
いつも書庫で魔力錬成の練習のために魔導書を読んでいたのが役立ったな。
これは本の賜物だな。
「分かってます、父さん……。
次からは気を付けます。
それで……さっきとりあえずって言ってたってことは、話は婚約祝いだけじゃないんでしょ? 」
そう言うと父さんは笑って頭を掻いた。
「さすが鋭いな、レイジは。
そう、話はそれだけじゃない。
お前の“技能”が恐ろしいほど強力なものだと言う事は分かった。
すごいことだし、父さんは親として誇りに思うし、一人の剣士として尊敬する。」
「うん。」
言いたいことは分かる。
俺の魔素因子の属性だろ?
「だが、父さんと母さんが心配しているのは、お前の魔素因子の事だ。」
やっぱりか。
「分かってる……。
アルフェリス家の剣の型は火と光の魔術を織り込んだ物。
それに対して俺の魔素因子は、水、そして闇。
型に使用する魔術とちょうど正反対だ。
だから、俺にはアルフェリス家の剣の型が使えないって言いたいんでしょう?」
俺がそう言うと父さんは申し訳なさそうな顔をして答えた。
「……そうだ。
ごめんな……レイジ」
「大丈夫さ、父さん。
父さん達みたいに火と光の魔素因子を持ってる人には及ばないと思う。
でも、そもそも魔素因子がない魔術を完全に使えないわけじゃないんだから、努力すればきっとアルフェリス家の剣の流儀を使いこなせるはずだよ。
鑑定士のおじいさんが言ってたじゃん。
俺にはランク測定不可な六次性能力、無限成長者があるって」
俺はゆっくりとそう言った。
「レイジ……」
父さんは驚いたような顔をした。
「だからさ、教えてよ、父さん。
俺に、アルフェリス家の剣を。
昔、父さん自身が言ってたじゃんか、普通アルフェリス家の剣聖を持つ人間は“技能”測定を終えた七歳から剣を握るんだろ?」
「レイジ……。
だめだ。
こればっかりは父さんの判断だけでどうこうできる問題じゃない。
そもそもお前のその無限成長者の効果も鑑定士の予想だけで、実際どういった物なのか全く分からないんだから……。
とりあえず、この祝賀会が終わったら、父さん……じいちゃんに相談しよう」
父さんはそう言うともう一度俺にすまないと言って黙ってしまった。
じいちゃんって言うのは俺、レイジ・アルフェリスの祖父にあたる人物、ベクタード・アルフェリスの事だ。
じいちゃんは今はもう自分の屋敷で隠居しているけど、現役だった頃は父さんと同じ、王国騎士団長だった。
そして、今の父さんとは比べ物にならないくらいに強かったそうだ。
そのじいちゃんに相談するのは……まあ妥当だろう。
いつも会う度に孫達のことを可愛がってくれるすっごくいいじいちゃんだから相談しやすいしね。
少しの間重たい空気が流れてたのを母さんの一言が打ち破った。
「レ、レイジ。
あれ……」
そう言って母さんが指差した方を見ると、またルアとエレナ様が揉めていた。
は?
この二人の問題はさっき解決してなかったっけ?
急いで二人の間に割って入った。
「ちょっとちょっと、落ち着いて?
何があった?」
そう聞くとルアが先に答えた。
「だって、お姉ちゃんが……!
私の方が先に婚約したから第一妻だって言ったら……」
は!?
「だってルアちゃんは正式な婚約じゃないじゃないですか?
だから私が第一妻だと思うんです!」
え?
「べ、別にそんな正式とか関係ないもん!
私が先だもん!」
くっそしょうもな……。
そんなのどうだっていいだろ……。
結局この問題は保留ということで落ち着いた。
保留にするほど大切か?
なんて、聞いてはいけない。
というか怖くて聞けたもんじゃない。
また、野球が、ルアから聞いたエレナ様によって広められ、アリシス王国で魔術を混ぜた魔球などによってヤキュウとして超人気スポーツとなるのはもっと後の話である。
***
おはよう御座います。錦木れるむです。
これからも応援よろしくお願いします!
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
うん、はい。
ともかく父さんと母さんが◯キ婚だってことは分かったよ……」
もうこの話辞めたい……。
「デ、◯キ婚って人聞きが悪いな、父さんと母さんは深い愛の果てにセリファを授かって結婚したんだぞ。
そ、それにレイジ、◯キ婚なんて言葉、お前一体誰から習ったんだ?
お前はその年齢に似合わない言葉や知識を持っているのは知っているが……さすがにな……そんな言葉は……」
あ、やばい、ついやっちまった……!
畜生!
余計な事を言うのは極力避けてるのに……!
「ほ、本で読んだんだよ!
俺、本好きだからさ。
ほ、ほら、俺よく家の書庫で本読んでるでしょ?
だから色んな言葉知ってるんだよ。」
「そうか、なるほどな。
知は力なりって言うし、色んな事を知っているのはいい事だけど……。
あまり公衆の面前でああ言う言葉を言うなよ?
この会場にいるたくさんの貴族達の中にはレイジの事を心よく思ってない人達ももしかしたら少なからずいるかもしれない。
今となってはお前はもう王女と婚約している身なんだから変な所で足元をすくわれないよう言動には慎重にな」
どうにか誤魔化せたみたいだ。
いつも書庫で魔力錬成の練習のために魔導書を読んでいたのが役立ったな。
これは本の賜物だな。
「分かってます、父さん……。
次からは気を付けます。
それで……さっきとりあえずって言ってたってことは、話は婚約祝いだけじゃないんでしょ? 」
そう言うと父さんは笑って頭を掻いた。
「さすが鋭いな、レイジは。
そう、話はそれだけじゃない。
お前の“技能”が恐ろしいほど強力なものだと言う事は分かった。
すごいことだし、父さんは親として誇りに思うし、一人の剣士として尊敬する。」
「うん。」
言いたいことは分かる。
俺の魔素因子の属性だろ?
「だが、父さんと母さんが心配しているのは、お前の魔素因子の事だ。」
やっぱりか。
「分かってる……。
アルフェリス家の剣の型は火と光の魔術を織り込んだ物。
それに対して俺の魔素因子は、水、そして闇。
型に使用する魔術とちょうど正反対だ。
だから、俺にはアルフェリス家の剣の型が使えないって言いたいんでしょう?」
俺がそう言うと父さんは申し訳なさそうな顔をして答えた。
「……そうだ。
ごめんな……レイジ」
「大丈夫さ、父さん。
父さん達みたいに火と光の魔素因子を持ってる人には及ばないと思う。
でも、そもそも魔素因子がない魔術を完全に使えないわけじゃないんだから、努力すればきっとアルフェリス家の剣の流儀を使いこなせるはずだよ。
鑑定士のおじいさんが言ってたじゃん。
俺にはランク測定不可な六次性能力、無限成長者があるって」
俺はゆっくりとそう言った。
「レイジ……」
父さんは驚いたような顔をした。
「だからさ、教えてよ、父さん。
俺に、アルフェリス家の剣を。
昔、父さん自身が言ってたじゃんか、普通アルフェリス家の剣聖を持つ人間は“技能”測定を終えた七歳から剣を握るんだろ?」
「レイジ……。
だめだ。
こればっかりは父さんの判断だけでどうこうできる問題じゃない。
そもそもお前のその無限成長者の効果も鑑定士の予想だけで、実際どういった物なのか全く分からないんだから……。
とりあえず、この祝賀会が終わったら、父さん……じいちゃんに相談しよう」
父さんはそう言うともう一度俺にすまないと言って黙ってしまった。
じいちゃんって言うのは俺、レイジ・アルフェリスの祖父にあたる人物、ベクタード・アルフェリスの事だ。
じいちゃんは今はもう自分の屋敷で隠居しているけど、現役だった頃は父さんと同じ、王国騎士団長だった。
そして、今の父さんとは比べ物にならないくらいに強かったそうだ。
そのじいちゃんに相談するのは……まあ妥当だろう。
いつも会う度に孫達のことを可愛がってくれるすっごくいいじいちゃんだから相談しやすいしね。
少しの間重たい空気が流れてたのを母さんの一言が打ち破った。
「レ、レイジ。
あれ……」
そう言って母さんが指差した方を見ると、またルアとエレナ様が揉めていた。
は?
この二人の問題はさっき解決してなかったっけ?
急いで二人の間に割って入った。
「ちょっとちょっと、落ち着いて?
何があった?」
そう聞くとルアが先に答えた。
「だって、お姉ちゃんが……!
私の方が先に婚約したから第一妻だって言ったら……」
は!?
「だってルアちゃんは正式な婚約じゃないじゃないですか?
だから私が第一妻だと思うんです!」
え?
「べ、別にそんな正式とか関係ないもん!
私が先だもん!」
くっそしょうもな……。
そんなのどうだっていいだろ……。
結局この問題は保留ということで落ち着いた。
保留にするほど大切か?
なんて、聞いてはいけない。
というか怖くて聞けたもんじゃない。
また、野球が、ルアから聞いたエレナ様によって広められ、アリシス王国で魔術を混ぜた魔球などによってヤキュウとして超人気スポーツとなるのはもっと後の話である。
***
おはよう御座います。錦木れるむです。
これからも応援よろしくお願いします!
ご気軽にコメントお願い致します。必ず返信させていただきます。応援、感想コメント頂けると嬉しいです。また、表現や、言葉などに間違えなどがあったら指摘してくださるとありがたいです。よろしければ、お気に入りもよろしくお願いいたします!
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる