関白の息子!

アイム

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千姫ルート 上海要塞防衛戦5

攻城4(エロ度☆☆☆☆☆)

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 居勝が南門の攻撃を指示し、既に四半刻(30分)。
 未だ城門を破ったという報告はない。

 既に中天に日は昇り、今の時期であれば後2刻もすれば日が落ちだす。
 夜戦の用意をしていない以上は兵を撤退しなくてはいけない。
 そうすれば、当然今日中の決着とはいかない。

「・・・・・・堀は埋まったか?」

 焦れながらも無理に平静を保ちながら兵に問う。

「はっ! 西側はすでに8割以上が埋まりました。南は未だ6割といったところです」

「構わぬ。どちらかを越えられれば良い」

 日本軍が1カ月近くをかけて掘った堀の4分の1をたった一日で埋めたというのだから、驚くべきものではある。
 もっとも、それも南門を抜いてしまえば無駄な労力となるが・・・・・・。

「李将軍! 私は南側の指揮に当たって参ります!」

「うむ!」

 進安の方も焦れていたのだろう。
 居勝の進言に二言返事で答えてしまう。

 もしも、居勝でなく進安が南に向かったのであれば、この後の展開も大きく変わっていたかもしれない。
 この西側からは倭水軍が動いているのが確認できたのだから。

 それが、日本軍にとっての幸運であり、明軍にとっての不運であった。



 南側に居勝が到着した時、門は未だ開かれたままであるにも関わらず、10万を超える兵が堀の前で押し固まったままになっていた。
 城門に繋がる橋の出口には無双の武人が立ちはだかり、次々と兵を殺していく。

 四半刻も殺し続けているというのに、その動きは精細さを全く失っていない様に見えた。
 いや、変わらずに居勝の推し量れる遥か上にある様に見えた。

「・・・・・・武器を投げ、間合いの外から攻撃せよ!」

 なぜ弓を持たせなかったのかと今更悔やんでも仕方がない。
 土嚢を使った戦術が誤りだったわけではないが、物事にやり過ぎはよくないのだ。
 ・・・・・・いや、そもそも、倭軍の対応が常識を外れている。
 あのような一個の武勇に頼るなど。

「いや、いっそ土嚢を投げても良い。近場にある石でも良い。とにかく数を投げ、あの将を殺せ!」

「ははっ!」

 居勝の剣幕に押され、伝令の兵たちが動く。

「・・・・・・なんだ?」

 苛立ちながら顔を上げた時、居勝が見たのは白い煙、つまり狼煙であった。

「・・・・・・何の合図だ?」

 狼煙は一般的に離れたところに合図を出す方法である。
 銅鑼の音すら届かぬ遠くに、だ。

 倭軍の2つの遊軍のことは、当然居勝の頭にも残っている。
 それを無視したわけではないが、同時に介入してきても対応は可能である。
 西側の戦力は後列を振り向かせるだけで良いし、南側もだいぶ前掛かりになってしまったといってもそれで兵数の差が完全にひっくり返るわけではない。

「っ!?」

 その意味を考え始めたところで狼煙の色が変わる。
 真っ赤になった狼煙は、明らかに何かの合図だ。

 そして、その瞬間、敵の銃声が止み、あの戦神が踵を返して城門に向かう。

「いかん! 退け!」

 言い知れぬ不安を感じ、居勝の出した指示だったが、2里近く離れた戦場に届くことはなかった。


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