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千姫ルート 上海要塞防衛戦5
攻城3(エロ度☆☆☆☆☆)
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開いた城門を悠然と進む。
明軍の怒号に悲鳴、日本軍の銃火の轟音、それらをすべて無視し、早朝の竹林の静寂にいるかのように。
そして、橋の北端に辿り着くと、泰然とした構えを取り一歩も動かない。
ただ、何時でもかかって来いというように堂々と。
砂埃の中でもその威容は輝き、前日の雄姿を知る者は誰もが皆その男に視線を奪われた。
「喝っ!!」
ただ一言、その咆哮に敵味方の誰もが動きを止めてしまう。
吹き荒れる東風が、砂埃を払い去りその威容をくっきりと映し出す。
そして、その後ろにある開かれた城門も。
「一番乗りの栄誉を得たい者は前に出でて、我が槍を越えて見せよ!!」
前日と違い、此処には精鋭部隊はいない。
武を頼りに忠勝に向かう者などいないのだ。
「どうした? お主らは何をしに来た!」
味方ではなく、敵の大喝を受けて明軍は動き出す。
言葉など理解できないだろうに、それが男としての誇りであるかのように。
城への一番乗りの栄誉を求め、土嚢を捨て、剣を手に取り走り出す。
南門の変化に居勝は直ぐに気が付いた。
なにせ兵が一瞬止まり、こちらの作戦を無視して一斉に突撃を敢行しだしたのだ。
「いったい何が起きた!?」
「ははっ! 昨日の戦神が出て参りました! その、城門を開け放ったまま橋の向こうに待機しているそうです。兵が皆そこを突破せんと殺到しております」
「なんだと!?」
将を前線に出していないのだから、当然兵に混乱は生じることは織り込み済み。
そうは言えど、わざわざ死にに行くようなものではないだろうか・・・・・・。
昨日のあれが現実であるのなら、雑兵など相手になるわけがない。
「また、土嚢を捨てる者が多くおり、敵の銃火も激しく、このままでは被害は相当なものとなります。撤退の指示を!」
「くっ!」
またしてもあの将。
それにしても、何故城門を出てまでそのような危険を冒すのか。
・・・・・・いや、城門が開いているのなら、それこそ制圧の機会ではあるはずだ。
今日で戦を終わらせ、季夏を自らの手に戻せる最高の機会!
「・・・・・・後列を出し、一息に門を突かせよ」
「は?」
「後列を出せ! 敵城門を抜かせよ!」
「ははっ!」
「李将軍、よろしいですな!?」
「う、うむ。やるがいい」
進安は急に話を振られて驚いていた。
しかし、より早く千姫を手に入れられるのならそれでいい。
こうして、南門側の明軍はその全軍をもって攻勢に出ることとなった。
だがこの時、砂煙と明らかに違う煙が城から上がっていることに気付いた者は明軍には誰一人としていなかった。
明軍の怒号に悲鳴、日本軍の銃火の轟音、それらをすべて無視し、早朝の竹林の静寂にいるかのように。
そして、橋の北端に辿り着くと、泰然とした構えを取り一歩も動かない。
ただ、何時でもかかって来いというように堂々と。
砂埃の中でもその威容は輝き、前日の雄姿を知る者は誰もが皆その男に視線を奪われた。
「喝っ!!」
ただ一言、その咆哮に敵味方の誰もが動きを止めてしまう。
吹き荒れる東風が、砂埃を払い去りその威容をくっきりと映し出す。
そして、その後ろにある開かれた城門も。
「一番乗りの栄誉を得たい者は前に出でて、我が槍を越えて見せよ!!」
前日と違い、此処には精鋭部隊はいない。
武を頼りに忠勝に向かう者などいないのだ。
「どうした? お主らは何をしに来た!」
味方ではなく、敵の大喝を受けて明軍は動き出す。
言葉など理解できないだろうに、それが男としての誇りであるかのように。
城への一番乗りの栄誉を求め、土嚢を捨て、剣を手に取り走り出す。
南門の変化に居勝は直ぐに気が付いた。
なにせ兵が一瞬止まり、こちらの作戦を無視して一斉に突撃を敢行しだしたのだ。
「いったい何が起きた!?」
「ははっ! 昨日の戦神が出て参りました! その、城門を開け放ったまま橋の向こうに待機しているそうです。兵が皆そこを突破せんと殺到しております」
「なんだと!?」
将を前線に出していないのだから、当然兵に混乱は生じることは織り込み済み。
そうは言えど、わざわざ死にに行くようなものではないだろうか・・・・・・。
昨日のあれが現実であるのなら、雑兵など相手になるわけがない。
「また、土嚢を捨てる者が多くおり、敵の銃火も激しく、このままでは被害は相当なものとなります。撤退の指示を!」
「くっ!」
またしてもあの将。
それにしても、何故城門を出てまでそのような危険を冒すのか。
・・・・・・いや、城門が開いているのなら、それこそ制圧の機会ではあるはずだ。
今日で戦を終わらせ、季夏を自らの手に戻せる最高の機会!
「・・・・・・後列を出し、一息に門を突かせよ」
「は?」
「後列を出せ! 敵城門を抜かせよ!」
「ははっ!」
「李将軍、よろしいですな!?」
「う、うむ。やるがいい」
進安は急に話を振られて驚いていた。
しかし、より早く千姫を手に入れられるのならそれでいい。
こうして、南門側の明軍はその全軍をもって攻勢に出ることとなった。
だがこの時、砂煙と明らかに違う煙が城から上がっていることに気付いた者は明軍には誰一人としていなかった。
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