関白の息子!

アイム

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天下人

武断七将(エロ度☆☆☆☆☆)

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 天下に影響力のある女性の名前を上げろと言われれば、少なくともこの時代においては二人、おねと茶々。

 おねも俺の母といっても差し支えのない人物。
 しかし、平成の世では関ケ原をおね派と茶々派の争いという人までいる程に仲が悪かったように言われている。

 少なくとも俺の実感ではそんなことはないのだけど・・・・・・。
 しかし、武断派の将達の心を掴むのにこれ以上の適任がいないのも事実。
 この人を動かさないのはもったいない。

「桜、北政所様をお連れ出来るか?」

「わ、私がでございますか?」

「む、うーむ。忍びを使いにやったのでは失礼に当たるか・・・・・・」

「北政所様をお連れするのであればそれなりの方に使いをお頼みするのが本来かと」

 しかし、どうする?
 俺自身が行くのか?
 それはそれで・・・・・・
 というか、まだケツが痛い。

「清正に頼むか。桜、紙と筆を」

「こちらに」

 随分と用意の良いことだ。
 割と良い秘書になるかも。

 ・・・・・・そう言うプレイも良いなぁ。
 などと考えながらも、サラサラと一筆。
 聚楽第への登城をお願いする文を書く。

「清正に会いに行くぞ」

「こちらにございます」

 桜が迷いなく道を案内してくれる。
 やはり出来る子だ。
 大阪城にいる間は忍びをエロイことくらいにしか使わなかったので、ちょっと申し訳なくすら思う。

 案内されて着いた部屋では大きな声が聞こえる。
 この声は、正則?

 このまま入らずに話を聞きたい欲求に駆られるが、天下人がそれをするのはむしろ恥ずかしい。
 なので、さっさと小姓に話しかける。

「清正に取次ぎを」

「は、ははぁっ!」

 数瞬待たされはしたが、中にはスムーズに通してくれた。
 部屋には清正と正則だけではなく、長政・(池田)輝政・(細川)忠興・(浅野)幸長・(加藤)嘉明。
 まぁ、つまり、武断派の七武将が全員揃い踏みというわけだ。

「ほぅ、これは随分と豪勢な顔ぶれだな」

「秀頼様、如何様な御用で?」

「正則、俺はこの部屋の主に用があって来たのだ。とは言え、別に皆に聞いてもらっても構わないので、このままいてくれ」

「して、なんでございましょう?」

 清正も何かわからないと言ったように俺を見返す。

「ああ、北政所様にこの手紙を渡し、聚楽第まで護衛してほしい」

「「「「「「「!?」」」」」」」

 特に清正・正則・長政・幸長はおねと深い関係にある。
 嘉明だけは少し諍いがあるようだが。
 関係なさそうなのは忠興くらい。

「是非、相談に乗っていただきたいことがあるのだ。失礼があってはならぬので、清正に頼みたくてな」

「・・・・・・秀頼様にお聞きします」

「なんだ?」

「今後、北政所様をどうされるおつもりで!?」

 言葉の端々におねを心配する気持ちが滲み出ている。
 馬鹿正直な性格が如実に表れている。
 見れば正則や長政も心配そうな顔をしている。

「北政所様には聚楽第をお任せしようと思っている。どうしたって大阪城に母上と一緒じゃやりにくいだろう? そして、上京する大名達や女房衆の面倒、何より正妻として父上の仏事の取り仕切りをお願いしようと思っている。北政所様でなければ出来ぬ。そうは思わぬか?」

「邪険になさることはない、と?」

「北政所様は俺にとっても母の様なもの。何故邪険にするのだ。まぁ、悪戯をこっぴどく叱られない様にというのも無くはないがな」

「・・・・・・北政所様は怒ると怖いですからな」

 フハッと清正が噴き出す。
 あの大阪城でのことを思い出しているのだろうか。
 もっとも、それは清正だけでなく、正則や長政もだが。
 皆何かかにかで怒られた経験があるのだ。

「うん。でも大体正しいことを言ってくれる。だから、俺も義母上と慕うんだ。まぁ、今回は正式な移動ではなく、仕置きについて意見を求めた上で発表に立ち会っていただきたいのだ」

「仕置きは決まったのですか?」

「だいたいな。正則には少々罰を受けてもらわねばならないが、新しい役職を増やそうと思う」

「役職、ですか?」

「ああ、七将軍とでも言おうか。豊臣家の臣をまとめるのが六大老、政をまとめるのが五奉行、武をまとめるのにそのような役職を創ろうと思ったんだ。幸長は悪いが五奉行を継いでもらう立場なのでここには入らん。代わりに小早川秀秋を入れようと思う」

「・・・・・・しょ、将軍、とは?」

「戦においてある程度の裁量権を持ち、更にその戦の戦費や兵力、物資を豊臣家が一定量負担する。要するに豊臣の将として、豊臣の力を振るう者といったところだ。もちろん功に応じて知行を増やすこととなろう」

「それを、某達が?」

「まだ未熟な俺をどうか支えてほしい。頼む!」

 頭を下げる。
 本当はおねが来てからと思っていたのだけどな。
 如水が言っていた通り力も知恵も無い俺は、こういった事でしか差配が出来ない。
 しかし、父上が彼等を従えられた理由も、その度量の大きさがあればこそだった。
 主筋だからとふんぞり返るのが正しいとは思わない。

「頭をお上げください。秀頼様、秀吉公のご恩に報いるためにも喜んで貴方様をお支えさせていただく所存でございます!」

 清正ががばっと頭を下げる。
 合わせて正則達六人も頭を下げる。

 だが、俺の眼は見逃さない。
 どうやら、喜んでいない者がいるようだ。

 当然家康とつながっている可能性もある。

 ・・・・・・それでなくては。
 戦国武将の全てが簡単に手の上で転がせるだなんて思っちゃいない。
 それほど俺はバカじゃない。

「では、清正は直ぐに大阪に向かってくれ。七将軍については、後ほど謁見の間にて大名達に発表するが、夜半にするので北政所様も何とか間に合うだろう?」

「ははっ! 急ぎお連れ申し上げます!」

 清正達としても自分の昇進を見せたいのだろう。
 嬉々として部屋を出て行く。

 ・・・・・・武断派はこれで良い。
 豊臣家を支え、明を攻めるための力となってくれるだろう。

 しかし、武だけでは天下は治められない。

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