天使が導く異世界転生

アイム

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心って?

CASE17

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 え~、深夜のお城ってやつは、それなりに出そうな雰囲気になるもんです。今にもその柱の陰から出てきそうとか、大きな鏡を見たら後ろに誰かいる、とか。あの飾られた甲冑とか今にも動き出しそう。
 やだ、コワーい☆ だって私、か弱いエンジェルだもん!

霊「シクシク」

 ・・・・・・さ、帰るか。

霊「ちょ、ちょっとぉ!」

 何よ? アンタかなり薄くなってるよ頭が。

霊「ちょ、ハゲみたいに言うなよ。薄くなってるのは存在だ!」

 いや、間違いじゃないじゃん?

霊「全然違う! 俺はこんなにフッサフサのイケメンだ!」

 でも霊じゃん、お化けじゃん、ゴーストじゃん、魂の残りカスじゃん。

霊「そ、そうだけど」

 サッサと成仏すればぁ? おっと、宗教間違えた昇天すればぁ?

霊「間違えるなよ!? ていうか、未練があるからまだいるの!」

 未練ってさぁ、あんた。そうじゃなくても一度死んで転生しているのに、また死んでまだ未練あるってどんだけよ?

霊「・・・・・・あと少しで魔王を倒せたんだ」

 え? 何? 聞いてもらえると思ってるわけ?

霊「聞けよ! アンタあの時の天使だろ!」

 はぁ、はいはい分かりましたよ。聞いてやるから30字以内で話せよ。

霊「俺はこの世界に転生し、勇者となった」

 知ってる。あと15文字ね。

霊「国王にせがまれ、魔王を倒すために――」

 はい、終了!

霊「言わせてくれ、頼む!」

 あのねぇ、私が聞きたいのは未練の話なの! 自慢話みたいなのはいらないって―の!

霊「わ、分かったよ。とにかく、王の求めで魔王を倒す旅に出たんだ! しかも、魔王を倒したら姫様を嫁にくれるって約束で。へへ、こう言ったら自意識過剰に聞こえるかもしれないが、結構姫様も俺に気がある感じだったんだぜ。とにかく、俺の想いは姫様にだけ向けられているんだ」

 ・・・・・・うん。だからって取り憑いて、夜な夜な枕元で泣かれたら、たまったもんじゃないよね。

霊「でな。全勝とはいかないまでも、頼れる仲間たちのおかげもあって、七難八苦の末に魔王を倒すところまでいったんだ」

 へー、良かったね。

霊「だがな、それまでの旅でみんな疲れていたからさ。キャンプして体力を回復してから向かうことにしたんだよ」

 まぁ、堅実かなぁ。でも、魔王城の近くでキャンプはやっぱり敵に襲われるんじゃ?

霊「いや、結界張ってたから大丈夫」

 ふ~ん。それで?

霊「まぁ、英気を養うためにだな。ちょっと女武闘家とチョメチョメしたんだ」

 ・・・・・・え? 姫様一筋じゃなかったの?

霊「もちろんだ! でも、仲間なんだから仕方ないだろ?」

 いやいや、何の言い訳にもならないでしょ!?

霊「だが、女賢者も女戦士も女武闘家もみんな良い女なんだぞ!?」

 ・・・・・・え~と、他にもいたの?

霊「パーティは4人が基本だからな。あ、だが、それぞれとの関係は秘密にしていた」

 そんな近くにいて3股に気付かないバカ女がいるかー!!

霊「いや、待て、俺の本命はあくまで姫様だ。あの3人は仲間であって彼女でも何でもない」

 ・・・・・・チョメチョメしたんだよね?

霊「毎日代わる代わる」

 ・・・・・・も、いいや、先に進んで。

霊「その夜は女賢者も寝付けないよう――」

 そこら辺いらないから、こっちの作品は全年齢対象だから!

霊「あ、ああ。で、まぁ、たっぷりすっきりしたところで魔王城に向かったわけだ!」

 はいはい。良かったねぇー。

霊「そして、魔王の間の前で俺はこう言った! 「姫、今こそ魔王を倒し、貴方を迎えに参ります! 待っていてください」ってな!」

 それを、あんたの愛人3人の前で言ったの!?

霊「だから、仲間だって」

 ・・・・・・で、魔王の間の前で仲間に3股の件と、更に本命は別ってことがバレてリンチにされた、と。

霊「これが未練を残さずにいられるか!」

 知らねーよ☆

姫「ん、ん~、身体が、重い」

 あ、起きちゃった。

姫「な、何か怖いわ。最近、妙な視線を感じるし、どこかで誰かが泣いているような音も、それに、金縛りにかかることも多い」

霊「ああ、姫様。お綺麗ですぅ。ペロペロ」

 ・・・・・・キモッ!

姫「ああ、神よ。お助け下さい」

 うん。今回の目的は実はこっちなの。ドラちゃんに頼まれてねぇ。ってことでぇ、強制昇天☆

霊「ギニャー!!」

※ハーレムもいいけど、相手の気持ちも大切にね。

 ・・・・・・ある意味、勇者を待ち受けていた魔王も可哀想だよね。
 ずっと出待ちしてたらしいよ?
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