上 下
19 / 188

*19:回避不可能、強制イベント突入*

しおりを挟む
*しょっぱなから閲覧時周囲の視線に注意なので、各自の自己責任でご覧ください。
*そういう描写が苦手な方は、読み飛ばし推奨。





 結論から言うと───逃げられませんでした。

 いや、おかしいだろ!
 なんで今度は、さっきみたいに改変却下がどうのとかいう合成音声が聞こえてこなかったんだよ?!
 なんか初回も二回目も、あの声が聞こえてきたのは俺が襲われてるときだったと思うんだけど……。
 回避不可能な強制イベントかよ?!

「ンッ、あぅっ……ひあぁっ…」
 めちゃくちゃ嫌なはずなのに、『魅了香チャーム・パフューム』で高められたからだは、少しの愛撫にも反応して変な声が出てしまっている。
 今だってベッドの上に押し倒されたまま、消毒と称して液に浸した脱脂綿で拭くふりをして、さんざん敏感になった胸もとをいじられまくったあとだ。

 ついでのように『現場検証だ』とかなんだとか言われて、さっきのヤツらされたのとおなじようになめられたり、つままれたりしている。
 つーか現場検証もなにも、全然ここは現場じゃないからな?!

 おかげでなんかもう乳首はキュッと立ってしまっているし、なんなら少し赤く腫れて見える気がする───本当に、気のせいであってほしいけど。

 だって俺、まごうことなきモブ男だぞ?
 しかもパレルモ様とちがって女の子みたいにかわいいとかでもなんでもないし、そりゃ原作の乙女ゲームの神作画のおかげでこんな立ち位置でも、それなりにいいお顔にはなっているけれど。
 それがどうして、隠し攻略キャラに押し倒されて、こんなことになってるんだよ!?

 胸で感じたことなんて、前世通算でもなかったはずなのに!
 だけど今は、これ以上いじられたら、なんかおかしくなりそうだった。

「こぇ、いじょうは……っ!」
「ん?なにか言ったかい?『もっとしてほしい』だって?」
「ち、ちがっ!」
 舌がもつれて、なかばロレツがまわらなくなってきたせいで、うまく伝えられないのがもどかしい。

「ヒャウッ!なっ……やめ……っ!!」
 鎖骨のあたりに軽く歯が立てられ、その後にこちらをなだめるように舌が念入りに這わされる。
 必死にこらえようとする俺の意思なんてまるで無視したかのように、あえかな声が口からもれ出てしまっていた。

 さっきからずっと敏感になったままの皮膚は、ブレイン殿下が触れるたびに、まるで歓喜するかのようにふるえていたし、そこから甘くしびれが走って腰の奥にたまっていく一方だった。
 もうヤダ、これ以上されたくない。

 今度こそ中途半端にいじられてガチガチになっていた下半身のほうが、出したい、早く楽になりたいって訴えていた。
 ギリギリのところで溶けずにのこった理性は、いっそ汚してしまう前に早く下も脱げと告げている。

 だからといって、そんなブツを人前にさらすのもはばかられるし───もっと言えばこの捕食者の前で自ら脱ぐのは、どうにも危険すぎるだろ!?

 いくらなんでも、そんなことはできない。
 けど限界が近いのもまた事実で───もはや俺は、どうしたらいいのかわからなくなっていた。

 それこそ、せめて変な声が出ないようにと、物理的に手で口をふさぐことくらいしかできなくて。
 本当なら、顔だって服を押しあげて自己主張をするだって隠したいし、なによりブレイン殿下を止めたいけれど、残念ながら全然腕の本数が足りていない。

「も、ヤダ……かんべんして……」
 それでももっと気持ちよくなりたいと、からだが貪欲な要望を伝えてくる。
 その気持ちが視線にのって、相手に届いてしまったらどうしよう?
 それが嫌で、ぎゅっと目をつぶれば、はしにたまった涙がこぼれていった。

「フフ、こんなに硬くして、早く出したいんでしょう?」
「ホントに、ダメだからぁ……っ!」
 すり……と服の上からなでられただけで、苦しさが増す。
 なんなら痛いくらいにガチガチなそこに触れてほしくなくて、必死に首を左右にふって訴える。

「もう、どうしてキミはそんなかわいいことするんです?そんな───ふだんのキミからは、全然想像できないような姿なんて見せられたら……」
「なに、が……?」
 言われたことの意味がわからなくて、うっすらと目を開ければ、艶やかな笑みを口もとに刷いたブレイン殿下の美しさが、容赦なく視界を占めてくる。

 クソー、乙女ゲーのキラキラ作画め!!
 このスチル、破壊力満点すぎるだろっ!!
 ブレイン殿下は、俺の推しでも担当キャラでもないはずなのに、うっかり見惚れちゃったじゃないか!!

「ほら、汚したくはないでしょう?」
「うっ……それは……っ」
「私に任せなさい」
「うぅ……」
 腰にクる声で、それ以上の反論は封じられた。

 ひょっとしてそれは、王族だけが放つことをゆるされた『ロイヤルオーラ』のようなものだろうか?
 相手をしたがわせるのが当然だという、圧倒的な上に立つ者感というか。
 その言葉に逆らうことなどできなくて……気がつけば、今度こそ下まで脱がされていた。

「苦しかったね……イイ子だ、すぐに楽にしてあげよう」
「ダメ、です……っく!」
 上を向くそれをそっと手でにぎってしごかれただけで、すぐに先走りがにじむ。

 そこから先はあっという間だった。
 だって、元からずっとガマンをさせられていたんだ。
 そこへ来ての直接あたえられた刺激は、あまりにも強烈すぎた。

「~~~~~~っ!!」
 やがてからだが強張り、腰がハネたところで声も出せずに相手の手のなかへと、ドロリとした白濁が吐き出される。
 そのとたんに脱力する手足が重い……。

 あぁ、クソ、マジかよ!?
 よりによってブレイン殿下の手でイカされるとか……!
 はずかしさなんて、とっくの昔に限界を突破していたけれど、それでも最後の意地で腕で顔を隠す。

 だから、気づくのが遅れてしまった。
 俺の上からどいてくれたのは、てっきり汚れた手を拭いているだけだと思っていたのに。
 そんな彼が、謎の小瓶を手にもどってきたことに。

「もちろん、これで終わりじゃないですよね?だってほら、まだからだは熱いままでしょう?」
「ヒッ……!!」
 やんわりと腕をとられてどかされ、のぞきこまれたところで、スッと相手の指がこちらの肌をかすめる。

 とたんに肩がハネて、まだまだ『魅了香チャーム・パフューム』の効果が切れていないことを知った。
 ───え、あれっ!?
 これ、マジで最後まで致しちゃうヤツ??
 背すじを伝うゾクゾクとした感覚は、はたしてどちらの意味だったんだろうか───?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

森の中の華 (オメガバース、α✕Ω、完結)

Oj
BL
オメガバースBLです。 受けが妊娠しますので、ご注意下さい。 コンセプトは『受けを妊娠させて吐くほど悩む攻め』です。 ちょっとヤンチャなアルファ攻め✕大人しく不憫なオメガ受けです。 アルファ兄弟のどちらが攻めになるかは作中お楽しみいただけたらと思いますが、第一話でわかってしまうと思います。 ハッピーエンドですが、そこまで受けが辛い目に合い続けます。 菊島 華 (きくしま はな)   受 両親がオメガのという珍しい出生。幼い頃から森之宮家で次期当主の妻となるべく育てられる。囲われています。 森之宮 健司 (もりのみや けんじ) 兄  森之宮家時期当主。品行方正、成績優秀。生徒会長をしていて学校内での信頼も厚いです。 森之宮 裕司 (もりのみや ゆうじ) 弟 森之宮家次期当主。兄ができすぎていたり、他にも色々あって腐っています。 健司と裕司は二卵性の双子です。 オメガバースという第二の性別がある世界でのお話です。 男女の他にアルファ、ベータ、オメガと性別があり、オメガは男性でも妊娠が可能です。 アルファとオメガは数が少なく、ほとんどの人がベータです。アルファは能力が高い人間が多く、オメガは妊娠に特化していて誘惑するためのフェロモンを出すため恐れられ卑下されています。 その地方で有名な企業の子息であるアルファの兄弟と、どちらかの妻となるため育てられたオメガの少年のお話です。 この作品では第二の性別は17歳頃を目安に判定されていきます。それまでは検査しても確定されないことが多い、という設定です。 また、第二の性別は親の性別が反映されます。アルファ同士の親からはアルファが、オメガ同士の親からはオメガが生まれます。 独自解釈している設定があります。 第二部にて息子達とその恋人達です。 長男 咲也 (さくや) 次男 伊吹 (いぶき) 三男 開斗 (かいと) 咲也の恋人 朝陽 (あさひ) 伊吹の恋人 幸四郎 (こうしろう) 開斗の恋人 アイ・ミイ 本編完結しています。 今後は短編を更新する予定です。

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

BL
公爵家の長女、アイリス 国で一番と言われる第一王子の妻で、周りからは“悪女”と呼ばれている それが「私」……いや、 それが今の「僕」 僕は10年前の事故で行方不明になった姉の代わりに、愛する人の元へ嫁ぐ 前世にプレイしていた乙女ゲームの世界のバグになった僕は、僕の2回目の人生を狂わせた実父である公爵へと復讐を決意する 復讐を遂げるまではなんとか男である事を隠して生き延び、そして、僕の死刑の時には公爵を道連れにする そう思った矢先に、夫の弟である第二王子に正体がバレてしまい……⁉︎ 切なく甘い新感覚転生BL! 下記の内容を含みます ・差別表現 ・嘔吐 ・座薬 ・R-18❇︎ 130話少し前のエリーサイド小説も投稿しています。(百合) 《イラスト》黒咲留時(@black_illust) ※流血表現、死ネタを含みます ※誤字脱字は教えて頂けると嬉しいです ※感想なども頂けると跳んで喜びます! ※恋愛描写は少なめですが、終盤に詰め込む予定です ※若干の百合要素を含みます

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

副会長様は平凡を望む

BL
全ての元凶は毬藻頭の彼の転入でした。 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー 『生徒会長を以前の姿に更生させてほしい』 …は? 「え、無理です」 丁重にお断りしたところ、理事長に泣きつかれました。

Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。 彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。 しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。 幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。 運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。

処理中です...