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理由とおねだり

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しんと静まりかえる中、サラは重い口を開いた。

「皆さんは、マドラータ公爵家の令嬢の噂はご存知?」

侍従長が不思議と思うように説明し出した。

「顔が醜く、体型はふくよかで魔力が無いと噂されているご令嬢のことでしょうか?」

「そう。社交界に一度も得たことがなく、そこから容姿が良くない、学園に入学はしているものの一度も授業を受けたことがないことから魔力が無いと言われているお嬢様、それが私。」

ざわっ

侍従と侍女がざわめき出した。

「私は結婚とか興味なくて社交界に出ず、噂のこともほっといたらそれを聞きつけた陛下からお飾り王妃として婚姻の申込がきちゃって…。
仕方ないから本当はある魔力を使って変装していたの。ごめんね。」

サラが謝ると侍従長のセバスが

「そういうことでしたか。
雇い主は陛下ですが仕えさせていただくのは王妃様です。我々で王妃様の秘密をお守りしましょう。」

サラは驚いた。まさか国王陛下に雇われている者が秘密にするといってくれたのだ。皆の優しさにサラは顔を綻ばせる。

「皆、ありがとう」

「「「(お可愛らしい)」」」

侍従と侍女全員がそう思ったとはサラは知らずに続ける。

「皆がよかったら私のこと『サラ』って呼んでくれないかしら?」

「それはなりません。」

ピシャリと侍従長が言う。この言葉を聞いてサラは目を潤ませおねだりをする。

「皆と仲良くして欲しいの。ダメかしら?」

「「「うっ」」」

あまりの可愛さに侍従長をはじめとした皆が陥落される。

「承知しました。これからよろしくお願いいたします。サラ様。」

「ありがとう。ええ、よろしくね!」

侍従長の言葉にサラは満面の笑みで応える。
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