第七魔眼の契約者

文月ヒロ

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第二章:光と叡智交錯する魔の祭典

第42話合格祝いの席の中(1)

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 翌日の話だ。

【迷宮】攻略から初めての登校。悟にとっては実に約二週間ぶりの第六魔法学院への通学である。
 とはいえ、半神【名無し】との死闘で、そのほとんどの期間を病院内にて昏睡状態で過ごしていたのだ。そこまで久しぶりという感覚がない。

 ……のだが、流石に周りはそういう訳にはいかなかったらしい。

「……な、なぁ悟」

「その、【迷宮】を攻略しに行ったんですよね?」

 学院の食堂、その隅で和灘悟の正面の席に座る鳴神なるかみとおる如月きさらぎ小雪こゆきに、苦笑いを浮かべて当然の事を疑うように訊かれた。

「…はぁ、ったくアンタは、何でいつもそう予想の斜め上を突き抜けるような事ばっかりするんだか……」

 その隣にいた小萌蛇こもえだ操沙あやさに至っては、こめかみを右手で軽く押さえながら呆れられる始末。
 確かに、本来であれば、悟は本当の意味での【迷宮】攻略をする必要はなかった。少なくとも試験内容としては特例最下層の最奥まで到達すれば十分だったのだ。にも関わらず攻略を果たし、おまけに魔眼の力を手に入れた。

 事前に知ってはいたのだろうが、半月ぶりに会ってみればその証拠とばかりに魔眼を連れているのだから、なるほど、そんな反応になってしまうのも分かる。
 なお、操沙からの悟の評価については反論させてもらう。友達に媚薬を持たせるような大馬鹿野郎に言われたくはない。
 悟は額に青筋を浮かべた。

「いつもこうなのかい?」

「まぁな。仲良くしろよノウズ」

「安心したまえ、ボクは基本誰に対しても友好的さ。悪魔とだってハグ出来る」

「言われて想像出来ちまう辺り、お前の高すぎな社交性に脱帽だよ俺は」

 その堂々とし過ぎた態度が少し鼻につかないでもないが、どんな場所でも同じ様に振る舞える強靭な精神だけは、少し見習いたいかもしれない。ノウズの言動に呆れつつも、悟はそう思った。

「……アレだな。何はともあれ、元気そうで良かったぜ悟」

「ぁあ確かに、入院って聞いた時は一瞬ヒヤってしたもんねぇ。小雪とか慌てふためいてたし」

「え、あっ、えと、操沙ちゃんアレは、その……」

 顔を赤くして焦った様子の小雪を眺めつつ、悟は小さく安堵の息を零す。

 ――やっと……といった感じかい?

 ――ん?あぁ、まぁ…戻って来たって感じだよ。お前には悪いけど、もう当分は神様に関わりたくねぇわ。

 ――構わないさ。神殺しなんて、そう何度もある物じゃない。気楽に行こうじゃないか。

 ――だな。

 と、そんな風にノウズと思考を交わしていた時だった。

「楽しそうね」

 不意に声をかけられた。
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