464 / 514
ジョエルの場合57
しおりを挟む
「もう行くね」
「忘れ物はない?」
ついつい、引き止めるような言葉が口から零れる。
湖箔は周りを見回し、自分のポッケを叩いて忘れ物はないかを確認。
そんな仕草も可愛い。
「うん、大丈夫。じゃあ」
どちらとも無く顔を寄せ合い、軽い口付け。
ぎゅっと強く抱きしめた後、その華奢な身体から腕を離した。
そして、扉を開け、振り返り、俺に向けて小さく手を振りながら、出て行く姿を見送る。
湖箔の姿が、完全に扉の向こうに消えると、途端に、胸が苦しくなる。
湖箔に出会う前は、これが当たり前だったのに、今1人なのが、この静けさが、無性に寂しい。
こんな時は、とっとと眠るに限る。
今日は、シャワーだけにしよう。
服を脱ぎ、洗濯機の中に入れ、お風呂場へ。
全身を洗い、シャワーを浴びる。
ふと目に留まった四葉のクローバーに触れ、キスマークの濃さや数の多さに、湖箔の俺に対する独占欲の強さのようなものを感じ、自然と心が和んでいった。
かなり前から、湖箔に、ズブズブに溺れさせられているのを、自覚している。
おれ自身、こんなに溺れるとは、想像すらしていなかっただけに、自分で自分に驚いている。
シャワーを止め、用意していたタオルで身体を拭い、ドライヤーで髪を乾かす。
部屋に戻ると、スマホを手に、ベッドルームへ。
ベッドボードに背を預け、スマホの電源を立ち上げた。
電話は、来てないな。
湖箔も今頃は、お風呂に入ってるのかもな。
電話がかかってくるのを大人しく待つか、それとも、もう少し待ってからかけるか・・・
逡巡している最中に、電話が鳴り、画面に湖箔の名前が表示されるや否や、《電話に出る》を押していた。
「フフッ、電話に出るの、早いね」
「丁度手に持っていたから。湖箔はもう、お風呂に入ったのか?」
「うん、軽くシャワーを浴びるだけにした」
「そうか、髪の毛をよく乾かせよ?」
「んっ、ちゃんと乾かしたよ」
・
・
・
「おやすみなさい」
「おやすみ、愛してるよ」
「・・・俺も、愛してるし///」
他愛もない話をし、電話を切る前、愛してるよと囁けば、恥ずかしいのか、返って来たのは、とても小さな声。
でも、耳を澄ませていたから、ちゃんと聴こえた。
その言葉を、頭の中で繰り返し、幸せを噛み締めながら、目を閉じた。
「忘れ物はない?」
ついつい、引き止めるような言葉が口から零れる。
湖箔は周りを見回し、自分のポッケを叩いて忘れ物はないかを確認。
そんな仕草も可愛い。
「うん、大丈夫。じゃあ」
どちらとも無く顔を寄せ合い、軽い口付け。
ぎゅっと強く抱きしめた後、その華奢な身体から腕を離した。
そして、扉を開け、振り返り、俺に向けて小さく手を振りながら、出て行く姿を見送る。
湖箔の姿が、完全に扉の向こうに消えると、途端に、胸が苦しくなる。
湖箔に出会う前は、これが当たり前だったのに、今1人なのが、この静けさが、無性に寂しい。
こんな時は、とっとと眠るに限る。
今日は、シャワーだけにしよう。
服を脱ぎ、洗濯機の中に入れ、お風呂場へ。
全身を洗い、シャワーを浴びる。
ふと目に留まった四葉のクローバーに触れ、キスマークの濃さや数の多さに、湖箔の俺に対する独占欲の強さのようなものを感じ、自然と心が和んでいった。
かなり前から、湖箔に、ズブズブに溺れさせられているのを、自覚している。
おれ自身、こんなに溺れるとは、想像すらしていなかっただけに、自分で自分に驚いている。
シャワーを止め、用意していたタオルで身体を拭い、ドライヤーで髪を乾かす。
部屋に戻ると、スマホを手に、ベッドルームへ。
ベッドボードに背を預け、スマホの電源を立ち上げた。
電話は、来てないな。
湖箔も今頃は、お風呂に入ってるのかもな。
電話がかかってくるのを大人しく待つか、それとも、もう少し待ってからかけるか・・・
逡巡している最中に、電話が鳴り、画面に湖箔の名前が表示されるや否や、《電話に出る》を押していた。
「フフッ、電話に出るの、早いね」
「丁度手に持っていたから。湖箔はもう、お風呂に入ったのか?」
「うん、軽くシャワーを浴びるだけにした」
「そうか、髪の毛をよく乾かせよ?」
「んっ、ちゃんと乾かしたよ」
・
・
・
「おやすみなさい」
「おやすみ、愛してるよ」
「・・・俺も、愛してるし///」
他愛もない話をし、電話を切る前、愛してるよと囁けば、恥ずかしいのか、返って来たのは、とても小さな声。
でも、耳を澄ませていたから、ちゃんと聴こえた。
その言葉を、頭の中で繰り返し、幸せを噛み締めながら、目を閉じた。
0
お気に入りに追加
337
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
【本編完結】義弟を愛でていたらみんなの様子がおかしい
ちゃちゃ
BL
幼い頃に馬車の事故で両親が亡くなったレイフォードは父の従兄弟に当たるフィールディング侯爵家に引き取られることになる。
実の子のように愛され育てられたレイフォードに弟(クロード)が出来る。
クロードが産まれたその瞬間からレイフォードは超絶ブラコンへと変貌してしまう。
「クロードは僕が守るからね!」
「うんお兄様、大好き!(はぁ〜今日もオレのお兄様は可愛い)」
ブラコン過ぎて弟の前でだけは様子がおかしくなるレイフォードと、そんなレイフォードを見守るたまに様子のおかしい周りの人たち。
知らぬは主人公のみ。
本編は21話で完結です。
その後の話や番外編を投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる