シャム猫

紫艶の場合１２

随分と面倒な相手に、目を付けられたもんだ。

族のリーダーか何か知らないけど、姿を消された時点で諦めればいいものを、しつこいな。

まぁ、湖箔の了承を得られなかった様だが、１度手にしていたのなら、もう１度自分の手にって、気持ちも、解からなくもないが・・・もう無理だろ。

一方通行って虚しくないのか？

同情できる部分も無くもないが、かと言って、持っていかせはしないな。

両思いなら、俺らの出る幕はないが、あきらかに拒否ってっからなぁ、湖箔が。


部活の後、湖箔の部屋に集まり、相談を受けた。

湖箔限定で面倒見のいい、美和とジョエルも、当たり前のように交ざってる。

２人が並んでソファーに座ってんのは、俺からしたら、すっげぇ違和感あんだけど。

こいつら、絶対仲悪いだろ？

犬と猿・水と油ってやつ。

どっちがどっちとは言わないけど。


一人にならない。

５人の内、誰かしらと一緒にいる。


それに、異論は無い。

疾風の話の後、顔を赤くして、泣きそうなのに、我慢してる姿を見て、つい指摘し、頬を摘まんでしまったが、「気の所為だ」って俺の手を振り払いながら、更に顔を赤くしている。

なんだこれっ。

可愛いなおい。

ソファーに座ってる２人も、でれっとした顔で、湖箔を見てる。

ほんと、気持ち隠す気ないよなぁ、こいつら。

いいのか？それで。

まっ、湖箔に伝わってるかどうかは、微妙だけど。


お腹も空いた事だし、食堂が閉まる前に、移動する事になった。

疾風、森羅、美和、ジョエルが部屋を出て行き、俺も部屋から出ようとした時、

「あれっ？」

ジョエルが、尻のポッケを触って、

「悪い、財布を中で落としたみたいだ。探してくる」

って言いながら、俺が出るのと入れ替わりに、部屋へと戻って行った。