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 ペロリと唇を舐められて、トントンと軽くノックされた。促されるまま薄く開いた唇を割って、ヌルリと長い舌が侵入してくる。

「ん……んん……っ」

 引っ込める間も無く見つかってしまった舌を吸われ、くぐもった声を上げてしまうと、宥めるように腰を撫でられた。

「っ、くすぐった……」

 身を捩った拍子に太腿に熱を感じ、息を呑む。硬直したメイベルを見て、クロードが目を伏せた。

「こ、れ……」
「怖いか?」
「……怖くは、ないです、けど」

 恋愛とかそういう方面に疎い自覚はあるけれど、知識が全くないわけではない。ただ、実際に目の当たりにするのはこれが初めてなのだ。自分から抱きついたくせに、どうすれば良いのか分からず戸惑ってしまう。
 だが、決して怖いのではない。むしろ……。

「っ、おい……」
「えっ、あ、ごめんなさい」

 気付けば手を伸ばしていて、クロードの咎めるような声に慌てて手を引っ込める。布越しに触れたものの大きさと滾るような熱さの余韻が、手のひらに残った。

「遠慮がなさ過ぎだろう……」
「ご、ごめんなさい」

 大きくため息を吐かれて肩を竦める。すると、青い瞳の奥が妖しげに光った。

「触ってみてどうだった?」
「っ……」

 抱き寄せられ、耳元で囁かれる。呻り声が混じった低いクロードの声にゾクリと身体が震えてしまう。カァッと頰が熱くなる。

「お、おっきかった、です」
「それだけか?」
「あと、熱かった……え、クロードさんも風邪引いてます?」

 まだ手のひらに残る熱の余韻に、違う可能性を見出したメイベルの身体が、何故かグルリと反転する。背中に柔らかな布団を感じて、自分が押し倒されたのだと気付いた時には、クロードの舌が唇を割って侵入してきていた。

「ん……は、ぁ……」
「風邪は引いてないよ。君の匂いでこうなっただけだ」
「んんっ……」

 覆い被さってきた大きな身体に押し潰され、口内を舐られて、メイベルの思考が蕩けていく。彼の重みも、絡められる舌の動きも、与えられる全てが心地いい。絡み合う舌を伝い、流れ込んでくる唾液を喉を鳴らして飲み込む度に、彼に体内まで侵されていくようだ。
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