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私は、手紙を握りつぶす父を見て言った。
「お父様、どうされました? タイスからの手紙ですよね?」
「あいつ……留年したらしい。次留年したら王立学院を退学だ。あのアホ」
なるほど……
まああれだけ遊びまくっていたら留年もするわよね。馬鹿なタイス。勉強しなくてもできるんじゃなかったんですか~? ざまぁみろ。
私は父に言った。
「え! タイスはかつて、王立学院はほとんど勉強していなくても卒業できると言っていたのですが……」
「そうだ。タイスが入ったのは、入学試験だけが難しくて、入った後は楽な王立学院だ。肩書きにしかならんクソ学院だが、頭の固い貴族社会はまだ学歴が大事だ……。入学試験だけがんばればいいからタイスにうってつけだと思ったのに……。まさか留年するとは……」
私はタイスの学院とは正反対の、入るときは簡単だけど卒業するのが難しい貴族学院に入っていた。必死で勉強したから卒業できたけど、それは入る前から覚悟ができていたからかもしれない……。
私にもタイスからの手紙が来ていた。
文面はこのようなものだった。
『お姉ちゃんへ。ジル様とはうまくやっているわ。わたしがお姉ちゃんの代わりによく癒やして差し上げています。欲しいものはなんでも買ってくださるし、ジル様はとても優しくていい方よ。お姉ちゃん、戻ってこなくていいからね。私は街で遊びながら、ジル様の安定した家で暮らしていくわ。じゃあまたね~」
手紙を見て、震えが止まらなかった。ジルはまだタイスとお熱い関係を続けているのね。タイス本人からの宣戦布告がきたような気がした。
絶対に許さない……。
私は父にタイスからの手紙を見せた。
「お父様、私もタイスから手紙がきました。やはりまだジルと関係が切れていないようですし、伝染病がはびこる街へも出かけているようです。本人がそう言っています」
父は顔をしかめて、手紙を穴が開くほど見た。
「タイス……戒厳令を当然のように破りやがって……。勉強しているならまだ許せるが、勉強もしないで遊んでいるとはな……。よし、ジルに言って、タイスを追い出させる。タイスは王立学院の寮に住まわせよう」
「……寮が……あったのですね……」
寮があるなら初めからタイスを寮に入れてほしかった。私の苦労はなんなの……。
父は私の落胆する様子を見て言った。
「すまなかったな。タイスを寮に入れて同級生たちと遊ばせるよりも、お前らのとこに預けて守ってもらいたかったんだ……。でも結果的に悪い方向になってしまった」
「いえ……気になさらないでください」
「早く手紙を書くからな」
こうして父は、ジルとタイス双方に手紙を書いた。
しかし、ジルは想定外の反応をするのだった……
「お父様、どうされました? タイスからの手紙ですよね?」
「あいつ……留年したらしい。次留年したら王立学院を退学だ。あのアホ」
なるほど……
まああれだけ遊びまくっていたら留年もするわよね。馬鹿なタイス。勉強しなくてもできるんじゃなかったんですか~? ざまぁみろ。
私は父に言った。
「え! タイスはかつて、王立学院はほとんど勉強していなくても卒業できると言っていたのですが……」
「そうだ。タイスが入ったのは、入学試験だけが難しくて、入った後は楽な王立学院だ。肩書きにしかならんクソ学院だが、頭の固い貴族社会はまだ学歴が大事だ……。入学試験だけがんばればいいからタイスにうってつけだと思ったのに……。まさか留年するとは……」
私はタイスの学院とは正反対の、入るときは簡単だけど卒業するのが難しい貴族学院に入っていた。必死で勉強したから卒業できたけど、それは入る前から覚悟ができていたからかもしれない……。
私にもタイスからの手紙が来ていた。
文面はこのようなものだった。
『お姉ちゃんへ。ジル様とはうまくやっているわ。わたしがお姉ちゃんの代わりによく癒やして差し上げています。欲しいものはなんでも買ってくださるし、ジル様はとても優しくていい方よ。お姉ちゃん、戻ってこなくていいからね。私は街で遊びながら、ジル様の安定した家で暮らしていくわ。じゃあまたね~」
手紙を見て、震えが止まらなかった。ジルはまだタイスとお熱い関係を続けているのね。タイス本人からの宣戦布告がきたような気がした。
絶対に許さない……。
私は父にタイスからの手紙を見せた。
「お父様、私もタイスから手紙がきました。やはりまだジルと関係が切れていないようですし、伝染病がはびこる街へも出かけているようです。本人がそう言っています」
父は顔をしかめて、手紙を穴が開くほど見た。
「タイス……戒厳令を当然のように破りやがって……。勉強しているならまだ許せるが、勉強もしないで遊んでいるとはな……。よし、ジルに言って、タイスを追い出させる。タイスは王立学院の寮に住まわせよう」
「……寮が……あったのですね……」
寮があるなら初めからタイスを寮に入れてほしかった。私の苦労はなんなの……。
父は私の落胆する様子を見て言った。
「すまなかったな。タイスを寮に入れて同級生たちと遊ばせるよりも、お前らのとこに預けて守ってもらいたかったんだ……。でも結果的に悪い方向になってしまった」
「いえ……気になさらないでください」
「早く手紙を書くからな」
こうして父は、ジルとタイス双方に手紙を書いた。
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