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精霊が森に戻ると、大樹は彼女を温かく迎え入れた。しかし、大樹はかつての力を失い、死の寸前まで弱っていた。精霊は大樹に触れると、不思議なことに大樹は元気を取り戻し、再び森を守る力強い存在となった。

森の仲間たちも喜び、精霊を囲んで賑やかな歓迎会が開かれた。しかし、精霊の心はまだアンドレとシェリーへの教訓を与えることでいっぱいだった。彼女は大樹にその想いを打ち明け、助けを求めた。

大樹は精霊の気持ちを理解し、彼女の願いを叶える方法を提案した。

「精霊よ、私はあなたに自然の力を授けよう。これでアンドレとシェリーに教訓を与えることができるだろう。ただし、力を使う際は、決して恨みや憎しみに取り込まれず、教訓を与えることが目的であることを忘れないでほしい」

精霊は大樹の言葉に感謝し、目を輝かせながら自然の力を受け入れた。それは嵐を巻き起こす力だった。彼女はアンドレとシェリーが逢瀬を重ねる街へ、早速、大嵐を起こした。

一方、シェリーの家にいるアンドレは、突然襲い来る大嵐に驚き、恐怖を感じていた。嵐は猛威を振るい、シェリーの家に閉じ込められた二人は逃げ場を失った。やがてシェリーの家のガラスが割れ、嵐はアンドレとシェリーをさらった。彼らは嵐を起こす黒雲へ飲み込まれた。

シェリーは「ぎゃああああ!」と悲鳴をあげながら、髪が次々と抜け落ちていくのを感じた。皮膚もただれて、見るも無残な姿に変わっていった。一方、アンドレは目が回るだけで無傷だった。彼は恐怖に震えながら、シェリーの変わり果てた姿に目を逸らそうとした。

「ば、化け物ー!!!」

目が回り混乱したアンドレは、シェリーをシェリーだと認識できなかった。彼は彼女に向けて、手を振り払いながら後ずさった。

化け物呼ばわりされたシェリーはアンドレの頭をなんとか掴むと、顔を引っ掻き「どうしてあたしがこんな目に遭わなくちゃいけないのよ!」と悔しさと怒りに震えた声で叫び狂った。

アンドレはシェリーの痛みに気付き、彼女の手を握りしめ、「ごめん、シェリー。俺が悪かった。たぶん、エマは……本当に精霊だったんだ。どうか許してくれ」と謝った。

シェリーは憎悪すら食い殺すように
「あの女……! クソ女! 絶対に許してやらないんだから……」
と顔を歪めた。

アンドレは変わり果てたシェリーの姿に動転した。

「俺たち別れよう。そうしたらきっとこの嵐からも出られる。そういうことなんだ。な? 別れよう?」

「嫌よ! 別れてなるもんか! あの精霊の思い通りになんかならない」
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