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お茶会当日、予定通り殿下とクラリスが来た。一安心だった。そもそも来なければ話にならないし、毒を使う機会にもならなかったから。
私はクラリスの家族が座るテーブルの給仕を手伝った。本来は使用人がやるところだけど、私の心からの歓迎ということにしておいた。
屋敷の台所からクラリス一家の紅茶を持っていく途中、紅茶に毒薬を混ぜた。我ながら完璧だった。これで今晩クラリスが死ぬ。私には罪悪感よりも高揚感があった。邪魔者を消す。それも証拠が出ることなく。クラリスが死に、殿下の後ろの座を私が手にする。最高だった。
クラリス一家のテーブルにあるティーカップに、紅茶を注いであげた。すると、紅茶を見たクラリスが私に話しかけてきた。
「メリッサ。今日はお招きしてもらったうえにお給仕までしてもらって悪いわね。紅茶を淹れるのが上手ね」
私は給仕係がお似合いよとでもいいたいのかしら? ムカつく女だわ。
「クラリスのほうこそ、わざわざ来てくれてありがとう。この紅茶、とっても美味しいから飲んでみてね」
クラリスは私と目を合わさずティーカップをぼんやり眺めていた。どこか落ち着かないというか、心ここにあらずな感じ。
まさか……気づかれたなんてことないよね?
クラリスが私に言った。
「メリッサ、あなたもこのテーブルに座ってよ。一緒に紅茶とお菓子を食べながらお話しましょう?」
私はクラリスの家族が座るテーブルの給仕を手伝った。本来は使用人がやるところだけど、私の心からの歓迎ということにしておいた。
屋敷の台所からクラリス一家の紅茶を持っていく途中、紅茶に毒薬を混ぜた。我ながら完璧だった。これで今晩クラリスが死ぬ。私には罪悪感よりも高揚感があった。邪魔者を消す。それも証拠が出ることなく。クラリスが死に、殿下の後ろの座を私が手にする。最高だった。
クラリス一家のテーブルにあるティーカップに、紅茶を注いであげた。すると、紅茶を見たクラリスが私に話しかけてきた。
「メリッサ。今日はお招きしてもらったうえにお給仕までしてもらって悪いわね。紅茶を淹れるのが上手ね」
私は給仕係がお似合いよとでもいいたいのかしら? ムカつく女だわ。
「クラリスのほうこそ、わざわざ来てくれてありがとう。この紅茶、とっても美味しいから飲んでみてね」
クラリスは私と目を合わさずティーカップをぼんやり眺めていた。どこか落ち着かないというか、心ここにあらずな感じ。
まさか……気づかれたなんてことないよね?
クラリスが私に言った。
「メリッサ、あなたもこのテーブルに座ってよ。一緒に紅茶とお菓子を食べながらお話しましょう?」
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