恋人は副会長

福山ともゑ

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(102)生徒会室でキス&痴話喧嘩

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高田先輩の声がする。
 「まあ、フミオは受験するから、より一層思いは強い筈だよな。なあ、フミ・・」

そう言いながら振り返った高田先輩は驚き焦ってる。
 「えっ!ちょ、ちょっとフミオ…」


そう、俺はキスされていた。
 「っ・・、んんっ…」
(待っ、待って・・、ここ、生徒会室…)

 「んくっ…、ふっ……」
(ちょっと、やだっ…、皆の、前で…)

 「ぅ、ぅんっ…」
 (やだ、舌入れてこないでっ)

 「うんっ…、ん、ん」
 (ふ・文雄さんっ)


遠くで何か聞こえる。
 「まー…、こいつら、そういう関係かよ」
 「まったく分からなかった」


 「ん…」

唇が離れていく。
頭が、重い…。
はあ、はあ、はあ……。

 「ああ、すっきりした」
 「ふくっ、副か」
 「最近は忙しくて、ご無沙汰だったからな。やっぱり、しないとな」
 「副会長っ」
 「煩いよっ。お前のせいで、もう一年、3年生をやる羽目になったんだからな」
 「なら助けなければ良かったんだっ!」
 「お前ねっ!」
 「俺を助けなかったら、こんな風になる事は無かったんだろ?」
 「そうだけど…」
 「なんで助けたんだよっ」
 「ばかやろっ!」

パチンッ!

頬を叩かれた。
 「俺は・・、俺は、あれ位では死なない。よくも叩いたな…。副会長のバカヤロー!」

俺は生徒会室から出ようとしたが、腕を掴まれ、また頬を叩かれた。
睨むと、あっちも睨んでくる。
 
 「叩いたのは謝るが、さっきの言い様はなんだ。
自分の恋人を7階から突き落とされてるのを見て、心配するなと言うのか?」
 「信じようという気はないの?」
 「なにをだ?」 
 「俺は自力で抜け出せる。だから」
 「それなら、助けは無くても良いという事かっ?」
 「そうだよ」
 「お前ね」
 「俺には勝算があったのに」


 「ちょっとちょっと、お二人さん。場所を考えてね」と、向井先輩の声だ。
 「そうそう。喧嘩は帰ってからにして」と、高田先輩。
 「顧問らは呆れて出てったぞ」と、関会長。


その3人は、俺に聞いてくる。
 「で、いつから?」
 「なにが?」
関会長が先に言ってきた。
 「さっきのキス。抵抗してなかったよな」
高田先輩も言ってくる。
 「そういや、夏休みはずっと一緒の部屋だったよな」
向井先輩も言ってくる。
 「今もそうだけど…、さっきも、宮田先輩、怖いぐらいに必死でしたよ」

う…、この3人、睨むと怖い。
ちらっと横を見ると、副会長は俺を睨んだままだ。
一人で切り抜けるのか…。
そう覚悟すると、叫んでいた。
 「い、いつからだって良いでしょっ!もうっ、皆の前でキスするなんて…」


そうこうしてると、音が鳴る。
ピンポンパンポーン♪

そのチャイム音に、俺は叫んでいた。
 「今度は何だよっ!」


 「皆様、お待たせしております。いよいよ文化祭も、最終演目になってきました。
生徒会と軽音部によるコラボが、あと20分で始まります。
まだ生徒会の方達は一人も来られておりません。そんなに忙しいのでしょうか?」
 「皆様、生徒会の方達の為に、通路を開けて下さいね。
それでは、20分後から始まりますよっ。」
 「そして、その後は文化祭の閉会式と、生徒会からのお知らせです。」
 「せーのっ、 『待ってるぜ、お前等っ!!』」


 「へ…、もう、そんな時間なの?」と、弘毅が。
 「やばいっ、声出ししてないっ…」と、高田先輩が。
 「ドラム叩いてない…」と、向井先輩が。
 「ギター、チューニングしてないし、今日は触っても無い…」と、関会長が。

宮田副会長以外は、皆してバタバタとし始めた。


そりゃ、そうだろう。
ピアノは俺が弾くのだからな。
なんかムカつく。
こんな状態で弾けるわけない。

 「副会長も来ることっ!」
そう言って、俺は副会長の手を引っ張って、ホールへと連れて行った。



うぅ…、頭が重いし痛い。
理事長から言われたように、月曜は時間を取って病院に行こう。



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