ニーチェのようにはいかないけれど

７ｐ 悪い癖

「人類は愛せるけど人間は愛せない」
　と言ったのはスヌーピーだったろうか。

　家族のいない環境で育ったせいもあり、独りに慣れてしまって、けっこうな年齢になったにもかかわらず、未だに人間関係が得意ではない……。
　でも歴史好きなのだ。
　不思議なことに、人類社会の変遷や興亡・記録にはとても興味があって蓄えたいという知識欲が止められない。
　だからかもしれないが、歴史がらみのドラマや小説やマンガなどを観ていると、よくスヌーピーの言葉（スヌーピーじゃないかも）を思い出す。

　ところで。
　なんで人間関係が得意ではないかというと。

　人に優しくされると、ウラがあるのではと疑ってしまう。
　人に頼られると、ウラがあるのではと疑ってしまう。
　どんな理由であれ人に接近されると、なにか罠にはめられるのではと勘ぐってしまい、詰められた分だけ後ずさりして、人と距離をとってしまうのだ。それは物理的な距離だけでなく、心の距離もそう。
　要するに、人間を信じられないという悪い癖がでてしまう。
　人を信じられない＝他人と仲よくできないという悪い癖。
　この悪い癖のせいで今日も職場では大海に漂うプラスチックごみのようにふよふよ浮きまくっている。

　この悪癖だけはどうしても治せない。
　治そうと努力した時期もあったがムダだった。努力したら余計に心が疲れてしまった。なので今は、この悪癖と折り合いをつけながら、なんとか生きている。