異端の口裂け女

 私は親友の彼氏を奪おうと画策していた。
 世界一幸せな女のように振る舞う親友の姿は、遠目からでも眩しすぎた。羨ましすぎた。だから奪うことにした。その幸せを。
 あと少し。私は確かな手応えを感じていた。
 ある夏の夜だった。嵐の中、私は親友の帰りを待ちながら、自分の作戦を進めていた。
 雷鳴が轟いた。窓の外を見ると、白いコート姿の女が私を見ていた。きっと、笑いながら。

「見ぃつけた。泥棒猫」
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