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その日の朝は、双子が迎えに来るよりも先に一彦が家を出た。珍しいパターンである。
向かいの双子の家からは特に物音がするわけでもなく、誰かが出てくる様子もない。たまには自分がインターホンを鳴らして迎えに行ってもよいのではないだろうか。一彦はそんな気持ちを抱いて、双子の家のインターホンを鳴らした。
機械的な音が鳴ってからしばらくして、陽毬が先に出てきた。別に髪形や服装が乱れているわけでもなく、いつもと同じ陽毬だった。寝坊したわけではないようだった。
陽毬は少し慌てたように駆けてきて、一彦に言った。
「ごめん。姉さんももうすぐ来ると思う」
「いや、俺は全然構わないんだけど。何かあったのか?」
一彦が尋ねると、陽毬の表情が暗くなった。まるで隠さなければならないことを暴かれてしまったかのような、そんな表情だった。
「ううん。大したことない」
陽毬はそう答えたが、一彦には嘘であるように聞こえた。
やがて小毬も家から出てくる。一彦が待っていることを知っているからか、少し慌てているようにも見えた。
「ごめんね一彦、待たせちゃって」
「いや、いいんだけど。何かあったのか?」
陽毬に訊いたことと同じことを訊く。小毬は心配そうな表情で家を見た。
「ちょっとね、お母さんが不安定で」
「おばさんが不安定? どういうことだよ」
「歩きながら話そう、姉さん。長くなるから」
「そうね。一彦、あまりみんなには言ってほしくないことなんだけど」
陽毬の提案を受けて、学校への道のりを歩きながら小毬が話し始める。
「お母さん、ちょっと鬱っぽくなっちゃったの」
「そうなのか? 急に、何かあったのかよ?」
「わかんない。でも、ちょっと一人にしておけないような感じで。とりあえず今日はあたしも陽毬も出てきたけど、この先どうなるかわかんないの」
鬱の状態の人に会ったことがない一彦には、鬱っぽい人がどのような状態なのかわからない。一人にしておけない状態というのは、どのような状態なのだろうか。とにかく普通でないことは察したが、一彦にはどのような状態なのかイメージできていなかった。
小毬は無理に笑ったような顔をして、一彦に言った。
「まあ、大丈夫よ、きっと。一彦が心配するようなことじゃないわ」
「そうか。なんていうか、早く良くなるといいな」
「ね。あたしたちも、早く良くなるといいなっていうか、悪くならないといいなって思ってるんだけど」
「何もないといいけどな。おばさん、一人にしておいて大丈夫なのか?」
「たぶん。わたしも姉さんも、とりあえず学校行かなきゃいけないし」
陽毬が不安げな表情で答える。それで、一人にしておくのが不安だということを一彦は読み取った。どうやら添田家の母親の鬱はそれくらい深いもののようだった。
三人の間に沈黙が下りる。重い緞帳のような沈黙を晴らせる話題を持ち合わせていない一彦は、その重さに気づきながらも何も言えないでいた。助けを求めるように陽毬を見たが、陽毬は下を向いたまま歩いていて、一彦とは目が合わない。それならばと、小毬のほうを見たが、同じように俯いたまま一彦とは視線が絡まない。
居心地の悪い沈黙を抱いたまま、学校が見えてくる。そこでようやく一彦は共通の話題を見つけて、口を開いた。
「そういえば今日、数学の小テストだよな」
無理に明るい声を出したからだろうか、小毬も陽毬も怪訝な顔で一彦を見た。
「そんな話出てたっけ?」
「ううん、そんな話聞いてない」
双子は一彦を見た。しまった、と一彦は思った。この話は出すべきものではなかった。
「小テストがあるなら事前に通知されるでしょ。前回の授業でそんなこと言ってなかったわ」
「いや、その、でもあるんだよ、小テスト」
「誰かから聞いたの? 抜き打ちでやるってことよね?」
小毬が一彦をじっと見つめる。一彦は頭を掻いて、言い訳を探す。どこかにこの場をしのげるよい言い訳は転がっていないだろうか。
一彦は数秒間考えて、小毬に答えた。
「他のクラスの奴が言ってたんだよ。抜き打ちの小テストがあるから気をつけろって」
一彦がそう言うと、小毬は不可解そうな顔をした。
「それが今日なの? 今日じゃないかもしれないじゃない」
「そいつの話から考えると今日なんだよ。ほら、教科書の七十ページまで進んだだろ。そのタイミングで、それより前の部分の小テストをやるんだって」
一彦がまくしたてるように言うと、小毬は納得したようだった。ふうん、と言って、一彦に笑いかける。
「そうなんだ。じゃあ勉強しておかないといけないわね」
「な。小毬と陽毬はそんな必要ないかもしれないけど、俺はちゃんと勉強しておかないと大変なことになるからな」
「情報ありがと。あたしだってちゃんと復習しておかないといけないわ。陽毬はそんなことないかもしれないけど」
「わたしも抜き打ちだと困る。ありがと、一彦」
双子から感謝されて、一彦は居心地の悪い気分を味わっていた。本当は話すべきではなかった情報なのだ。作り笑いを浮かべながら、一彦は自分の浅はかさを後悔していた。重い沈黙を破るためとはいえ、こんなことを言うべきではなかった。
陽毬は一彦の真横に立ち、小毬に聞こえないような声で言った。
「誰に聞いたの。小テストの話、ほんとなの?」
陽毬は一彦の発言を疑っているようだった。無理もないだろう、どのクラスでも抜き打ちでの小テストが行われたことはないのだから。陽毬はそれを知っていて、小毬には悟られないように一彦に尋ねたのだ。
一彦は同じように小毬に聞こえないようにしながら、陽毬に答えた。
「誰でもいいだろ。とにかく、今日は小テストがあるんだよ」
陽毬は一彦のほうを見て、どこか寂しそうな表情を浮かべた。
「わたしにも言えないってこと?」
一彦はぐっと言葉に詰まった。陽毬にそんな表情をさせるのなら、情報源を話してしまいたくなる。しかし言うわけにもいかず、一彦は必死に自分を律した。
「言えない。でも小テストの話は本当だ。信じてくれよ」
「別に、そこを疑ってるわけじゃない。わたしにも言えない話があるんだなって、それだけ」
「俺だって陽毬に言えない秘密はあるさ。わかってくれよ」
「なに、二人してこそこそ話しちゃって。あたしに聞かれたくないこと?」
タイミングよく小毬が割り込んできてくれた。そのことに感謝しながら、一彦は答えた。
「大したことじゃねえよ。おばさんの調子をちょっと聞いてただけだ」
陽毬は一彦の話を受けて、何かを察したようだった。一彦に同調して答える。
「そう。お母さん、一人にしておいて大丈夫かなって話」
「ああ、そう。そうよね、あたしもそれは心配だわ。一彦には関係ない話よね、ごめんね」
「いや、いいんだ。おばさんが体調悪いなら、俺も心配だし」
一彦は嘘ではない答えを返す。小毬はふうっと溜息を吐いて、前を向いて歩く。
「これからもちょっと出てくるの遅くなるかもしれないけど、心配しないで。あたしたちの家の問題なんだから、あたしたちで何とかするわ」
そう言った小毬の声には不安の色が宿っていた。自分でどうにかできるのか、その自信はないようだった。一彦はそれに気づいたけれど、あえて何も言わなかった。言ったところでどうにかなるものでもないと思った。
学校に着き、それぞれの靴箱に向かうために別れる。言うほど遠くない距離に三人の靴箱はあるが、会話が成立しない距離ではある。
一彦はわずかな安堵と、大きな不安を胸に抱きながら、靴を履き替えて双子のもとへ向かった。小毬と陽毬も靴を履き替えたところだった。
「さあ、本当に数学の小テストがあるのか、一彦の情報収集力が試されるわね」
「何もないかもしれないから広めるなよ。他のクラスであったってだけなんだから」
「わかった。あたしは勉強するけど、他のみんなには言わないようにするわ」
「そうしてくれ。これで何もなかったら、俺がとんでもないほら吹きになっちまう」
「そしたら購買でプリンでも奢ってよ。ね、陽毬」
「ん? ごめん、聞いてなかった。なに?」
陽毬にしては珍しく話を聞いていなかったと言う。小毬は少し驚いたような顔を見せながらも、自分の発言を繰り返した。
「数学の小テストがなかったら、一彦がプリン奢ってくれるって」
「おい、まだいいって言ってねえだろ」
「そうなんだ。よろしく、一彦」
「なんだよ、陽毬まで。わかったよ、小テストがなかったら何か奢ってやるよ」
「さすが一彦ね。数学の時間が楽しみだわ」
小毬はにこやかに笑いながら言った。一彦が肩を竦めると、陽毬も微笑んでくれる。
今日、数学の小テストはあるのだ。一彦はそれを知っている。さらに言うなら、明日は数学が自主学習になるのだ。
一彦はそれを知りながらも、双子には伝えなかった。伝えるべきではない話だからだ。
代わりに、一彦は陽毬に囁いた。
「陽毬、今日は?」
陽毬はちらりと小毬のほうを見て、聞こえていないことを確認してから答えた。
「いいよ」
「そうか。じゃあ、楽しみにしてる」
一彦は心の中で拳を握りながら、振り返った小毬の横に並んで歩き出した。
これで未来が変わるのなら、簡単なものだと思った。
*
今日も部活だという小毬を置いて、一彦と陽毬は一彦の家まで帰ってきた。無人の家には音もなく、一彦と陽毬が立てる音がやけに響いた。
玄関で靴を脱いで、陽毬が廊下に上がった瞬間に、一彦は陽毬を抱き寄せた。驚いたように一彦のほうを見た陽毬の唇を奪う。
「ん……んぅ」
陽毬は抵抗することなくそのキスを受け入れる。一彦が舌で陽毬の唇をつつくと、陽毬は小さく口を開けた。一彦はその隙間から舌を口内に侵入させて、陽毬の舌を襲う。
「んん、ん……ふぅ、んっ」
陽毬が一彦の背に手を回し、キスを深めていく。一彦は陽毬が受け入れたものと判断して、陽毬の口内を舌で犯した。
やがて唇を離すと、陽毬の頬は既に上気していた。潤んだ瞳で一彦を見上げる陽毬の表情は、一彦の性欲を高めるには絶好の餌だった。
「一彦、部屋行かないの?」
「行くよ。それよりも陽毬にキスがしたかった」
「そう。じゃあ、部屋行こうよ」
まるでここでは何もできないと言わんばかりに、陽毬は一彦の部屋へと行こうとする。一彦はその提案に逆らうことなく、二階にある自分の部屋に陽毬を連れていく。
一彦の部屋に入って陽毬と二人で鞄を下ろしたら、どちらからともなく抱き合って、唇を合わせた。先程よりも深く、深くキスをした。
「ん、んん、んぅ……ふ、ぅん」
互いに舌を絡めて、求め合う。どちらも退くことはなく、舌で相手の存在を確かめるかのように深く口づけを続ける。
一彦はキスを続けながら、陽毬の太腿に手を這わせた。びくんと陽毬の身体が反応して、キスを求める唇が強くなる。一彦はキスを止めることなく舌を絡め、陽毬の太腿から尻までのラインを撫で始める。小ぶりな尻をぎゅっと掴むと、陽毬が熱い吐息を漏らした。
「んぅ、ふ……うぅ、んっ」
立ったまま陽毬の身体を求めるというのも珍しいことだ。それくらい一彦も、きっと陽毬も、我慢できなかったのだろう。二人はベッドに移動することもなく、その場で深いキスを続けながら、一彦が陽毬の太腿を愛撫する。張りのある太腿から、すべすべとした内腿に手を動かすと、陽毬が淫靡な声を上げる。
「ふぁ…んっ、や、ねえ、一彦、ベッド行こ」
「立ったままするのもいいかと思ったんだけど」
「だめ。わたし、立っていられないかもしれないし」
恥ずかしそうに言う陽毬が可愛くて、一彦は胸がどくんと脈打つのを感じた。
陽毬の希望を受け、二人はベッドに移動する。一彦が陽毬を押し倒すように上にのしかかり、太腿に舌を這わせた。
「ああっ、あ、なに、するの……っ!」
陽毬の弱い抵抗を受けたが、一彦は無視した。代わりに、太腿に吸い付いてキスマークを落とした。
「や、ばか、そこ見えるでしょ?」
「見えねえよ。陽毬が俺以外の奴とこういうことしねえならな」
「しないよ、ばかぁ……っ、あ、ああぁっ……!」
太腿から鼠径部にかけて舌を這わせる。一彦は再び太腿にキスをして、陽毬に言った。
「脱いでくれよ。それとも、脱がせてほしい?」
陽毬はわずかに逡巡して、答えた。
「脱がせて……ほしい」
「そうか。じゃ、遠慮なく」
一彦は陽毬のワイシャツのボタンを丁寧に外し、白色のキャミソールをあらわにした。それをたくし上げて、空色のブラジャーを露出させる。背中に手を回してブラジャーも外してしまうと、陽毬の乳房が晒される。陽毬は隠すでもなく、ただ一彦に身を委ねていた。
一彦はあらわになった乳房を手で包んだ。壊れ物を扱うかのように優しく揉みしだくと、陽毬がぴくりと反応する。
「あぁ……ん、んぅ、ふ……ぅ」
「陽毬、可愛い」
「やだ、やめてよ……っ、可愛くなんか、ない……っ」
「可愛いって。俺は可愛いって思う」
好きだという言葉が許されなくても、可愛いという言葉は許される。一彦の中では同じような意味を持つ言葉だけれど、陽毬にとっては違うのだろう。だから一彦は好意を伝える時には可愛いということにしていた。たまにうっかり好きだと言ってしまうと、それはだめだと訂正されてしまう。
一彦は乳房を弄びながら、陽毬の首筋にキスを落とす。陽毬は敏感に反応した。
「あぁ、あ、ぁんっ……!」
「陽毬……、陽毬、好きだ」
「だから、それはだめだってばぁ……! 姉さんに怒られちゃう」
どうして陽毬のことが好きだと小毬に怒られるのだろうか。その理由はわからなかったが、訊けるような雰囲気でもないので、一彦は何も言わずに胸を舐め上げた。しっとりとした肌はわずかに汗ばんでいて、一彦の興奮を煽る。
「下、脱がすぞ」
「ん……うん」
陽毬の同意を得て、一彦は空色のショーツを脱がせた。愛液でぬらぬらと光る秘部があらわになる。一彦はごくりと唾を飲み下した。いつ見ても、興奮をそそられる情景だった。
一彦は陽毬の秘部に指を挿入した。愛液で潤っている秘部は難なくその指を受け入れる。
「あぁ、あああぁ……っ!」
指で膣内を刺激してやると、陽毬の口からは官能的な声が漏れる。一彦はもっと犯してやりたいという自分の気持ちに逆らわず、指で秘所を掻き回した。
「ああっ、あ、ん、んんっ、ねえ、一彦……っ」
「どうした?」
陽毬が一彦のワイシャツの袖をぎゅっと掴み、静止させる。とろんとした瞳で陽毬が見つめてくる。一彦は何とも言い難い強い官能を抱いた。
「もう、いいから……きて」
その言葉が意味するところがわからないほど一彦は馬鹿ではない。陽毬に頷いて見せて、自身のスラックスとトランクスパンツを脱ぎ去った。隆々と勃起した陰茎が晒されると、陽毬は少しだけ緊張したような面持ちを見せた。
陽毬の脚の間に身体を割り込ませて、陰茎を秘所にあてがう。先端で秘所を何度が擦ってやると、陽毬は小さく声を上げた。その瞳は早くしろと言っているかのようだった。
一彦はそのまま陽毬の秘所に陰茎を沈めていった。ずぶずぶと飲み込まれていく硬い陰茎は、媚肉の手厚い歓迎を受けた。
「あああっ、あ、あああっ……!」
「う……っ」
思わず呻き声が出てしまうほど、陽毬の秘所の歓迎は手荒かった。膣肉が絡みつき、襞が吸い付き、奥へ奥へと引き込んでいく。根元まで挿入しただけで絶頂に達してしまいそうになる。一彦は自分の余裕の無さをごまかすために、陽毬の身体を抱き締めてやり過ごした。
「あ……はぁ、ん、一彦、ねえ、動いて……?」
陽毬は腰の律動を求めてくる。一彦は自分の快感をどうにか耐えて、ゆっくりと肉棒を引き抜いた。追いすがるように媚肉が絡みついてくる。一彦は奥歯を噛みしめて、そう簡単に絶頂を迎えないようにする。
一彦はスローペースで腰を振る。それが焦らされていると感じたのか、陽毬は腕を伸ばして一彦の身体を抱き寄せた。
「いいよ、もっと、激しくして」
無茶なことを言う、と一彦は内心で思っていた。激しく動けばこちらが限界を迎えるのは目に見えている。それでも自身のプライドがあって、一彦は頷いた。
「ああっ、あ、ん、んんっ、ふああっ!」
陽毬が望む通りに、肉棒の抽送を速める。淫肉が絡みつき、一彦の肉棒を締め付ける。一彦は自分が達してしまわないように堪えながら。陽毬が好きなところを突く。
「あぁんっ、ん、はぁ、はぁっ、一彦、一彦ぉっ……!」
陽毬は一彦の名を切なげに呼ぶ。一彦は顔を近づけて、腰を振りながら陽毬の唇を奪った。
「ん、んぅ、ふ、ううっ、んんっ!」
陽毬はそれを求めていたかのように、一彦と舌先を絡め合う。上でも下でも絡み合い、一彦の思考がどんどん淫靡なものに染まっていく。
一彦が唇を離すと、膣内がきゅうっと締まった。突然のことに、一彦は歯を食いしばって堪えた。
「あ、ああっ、だめ、だめぇっ、もっと、もっと、して……!」
「陽毬、でも、俺、もう……っ」
「ん、だめ、もっと、ほしいの……っ、ん、んんっ、はあぁっ!」
陽毬と視線が交わる。淫乱な光を帯びた陽毬の瞳を見ると、自身の肉棒がますます膨れ上がる。一彦はもう我慢の限界だった。
「ああっ、ん、んあっ、あぁんっ、ふ、うぅんっ!」
「陽毬、陽毬……っ、出すぞ……!」
「んぅ、じゃあ、きて、奥に……っ、奥に、出して……っ!」
一彦は一瞬だけ迷ったが、陽毬がよいと言うのならこちらは従うしかない。一彦はそのまま陽毬の媚肉で陰茎を扱く。
「ああっ、ああああっ!」
「う……っ!」
ひときわ強い締め付けを受けて、一彦は絶頂に達した。ぱんぱんに膨らんだ肉棒から精液が迸り、陽毬の膣内を汚していく。
「んん、すごい、びくびくしてる」
陽毬は嬉しそうに微笑んでいた。精液を出し尽くした一彦が陽毬の上に倒れこみ、陽毬の唇を奪うと、陽毬はますます嬉しそうに笑った。
「気持ちよかった?」
「ああ、すごく。でも、中でよかったのか?」
「いいよ、大丈夫。それくらいは管理できてるし、一彦もそのほうが嬉しいでしょ」
「そりゃあ、まあ」
好きな女に中出しできるほど幸せなことはなかなかない。一彦は礼の意味も込めてもう一度陽毬にキスをした。
ああ、幸せだ。こんな幸せがずっと続くのならいいのに。
一彦はそう思ったが、ずっと続かないことはわかっていた。
向かいの双子の家からは特に物音がするわけでもなく、誰かが出てくる様子もない。たまには自分がインターホンを鳴らして迎えに行ってもよいのではないだろうか。一彦はそんな気持ちを抱いて、双子の家のインターホンを鳴らした。
機械的な音が鳴ってからしばらくして、陽毬が先に出てきた。別に髪形や服装が乱れているわけでもなく、いつもと同じ陽毬だった。寝坊したわけではないようだった。
陽毬は少し慌てたように駆けてきて、一彦に言った。
「ごめん。姉さんももうすぐ来ると思う」
「いや、俺は全然構わないんだけど。何かあったのか?」
一彦が尋ねると、陽毬の表情が暗くなった。まるで隠さなければならないことを暴かれてしまったかのような、そんな表情だった。
「ううん。大したことない」
陽毬はそう答えたが、一彦には嘘であるように聞こえた。
やがて小毬も家から出てくる。一彦が待っていることを知っているからか、少し慌てているようにも見えた。
「ごめんね一彦、待たせちゃって」
「いや、いいんだけど。何かあったのか?」
陽毬に訊いたことと同じことを訊く。小毬は心配そうな表情で家を見た。
「ちょっとね、お母さんが不安定で」
「おばさんが不安定? どういうことだよ」
「歩きながら話そう、姉さん。長くなるから」
「そうね。一彦、あまりみんなには言ってほしくないことなんだけど」
陽毬の提案を受けて、学校への道のりを歩きながら小毬が話し始める。
「お母さん、ちょっと鬱っぽくなっちゃったの」
「そうなのか? 急に、何かあったのかよ?」
「わかんない。でも、ちょっと一人にしておけないような感じで。とりあえず今日はあたしも陽毬も出てきたけど、この先どうなるかわかんないの」
鬱の状態の人に会ったことがない一彦には、鬱っぽい人がどのような状態なのかわからない。一人にしておけない状態というのは、どのような状態なのだろうか。とにかく普通でないことは察したが、一彦にはどのような状態なのかイメージできていなかった。
小毬は無理に笑ったような顔をして、一彦に言った。
「まあ、大丈夫よ、きっと。一彦が心配するようなことじゃないわ」
「そうか。なんていうか、早く良くなるといいな」
「ね。あたしたちも、早く良くなるといいなっていうか、悪くならないといいなって思ってるんだけど」
「何もないといいけどな。おばさん、一人にしておいて大丈夫なのか?」
「たぶん。わたしも姉さんも、とりあえず学校行かなきゃいけないし」
陽毬が不安げな表情で答える。それで、一人にしておくのが不安だということを一彦は読み取った。どうやら添田家の母親の鬱はそれくらい深いもののようだった。
三人の間に沈黙が下りる。重い緞帳のような沈黙を晴らせる話題を持ち合わせていない一彦は、その重さに気づきながらも何も言えないでいた。助けを求めるように陽毬を見たが、陽毬は下を向いたまま歩いていて、一彦とは目が合わない。それならばと、小毬のほうを見たが、同じように俯いたまま一彦とは視線が絡まない。
居心地の悪い沈黙を抱いたまま、学校が見えてくる。そこでようやく一彦は共通の話題を見つけて、口を開いた。
「そういえば今日、数学の小テストだよな」
無理に明るい声を出したからだろうか、小毬も陽毬も怪訝な顔で一彦を見た。
「そんな話出てたっけ?」
「ううん、そんな話聞いてない」
双子は一彦を見た。しまった、と一彦は思った。この話は出すべきものではなかった。
「小テストがあるなら事前に通知されるでしょ。前回の授業でそんなこと言ってなかったわ」
「いや、その、でもあるんだよ、小テスト」
「誰かから聞いたの? 抜き打ちでやるってことよね?」
小毬が一彦をじっと見つめる。一彦は頭を掻いて、言い訳を探す。どこかにこの場をしのげるよい言い訳は転がっていないだろうか。
一彦は数秒間考えて、小毬に答えた。
「他のクラスの奴が言ってたんだよ。抜き打ちの小テストがあるから気をつけろって」
一彦がそう言うと、小毬は不可解そうな顔をした。
「それが今日なの? 今日じゃないかもしれないじゃない」
「そいつの話から考えると今日なんだよ。ほら、教科書の七十ページまで進んだだろ。そのタイミングで、それより前の部分の小テストをやるんだって」
一彦がまくしたてるように言うと、小毬は納得したようだった。ふうん、と言って、一彦に笑いかける。
「そうなんだ。じゃあ勉強しておかないといけないわね」
「な。小毬と陽毬はそんな必要ないかもしれないけど、俺はちゃんと勉強しておかないと大変なことになるからな」
「情報ありがと。あたしだってちゃんと復習しておかないといけないわ。陽毬はそんなことないかもしれないけど」
「わたしも抜き打ちだと困る。ありがと、一彦」
双子から感謝されて、一彦は居心地の悪い気分を味わっていた。本当は話すべきではなかった情報なのだ。作り笑いを浮かべながら、一彦は自分の浅はかさを後悔していた。重い沈黙を破るためとはいえ、こんなことを言うべきではなかった。
陽毬は一彦の真横に立ち、小毬に聞こえないような声で言った。
「誰に聞いたの。小テストの話、ほんとなの?」
陽毬は一彦の発言を疑っているようだった。無理もないだろう、どのクラスでも抜き打ちでの小テストが行われたことはないのだから。陽毬はそれを知っていて、小毬には悟られないように一彦に尋ねたのだ。
一彦は同じように小毬に聞こえないようにしながら、陽毬に答えた。
「誰でもいいだろ。とにかく、今日は小テストがあるんだよ」
陽毬は一彦のほうを見て、どこか寂しそうな表情を浮かべた。
「わたしにも言えないってこと?」
一彦はぐっと言葉に詰まった。陽毬にそんな表情をさせるのなら、情報源を話してしまいたくなる。しかし言うわけにもいかず、一彦は必死に自分を律した。
「言えない。でも小テストの話は本当だ。信じてくれよ」
「別に、そこを疑ってるわけじゃない。わたしにも言えない話があるんだなって、それだけ」
「俺だって陽毬に言えない秘密はあるさ。わかってくれよ」
「なに、二人してこそこそ話しちゃって。あたしに聞かれたくないこと?」
タイミングよく小毬が割り込んできてくれた。そのことに感謝しながら、一彦は答えた。
「大したことじゃねえよ。おばさんの調子をちょっと聞いてただけだ」
陽毬は一彦の話を受けて、何かを察したようだった。一彦に同調して答える。
「そう。お母さん、一人にしておいて大丈夫かなって話」
「ああ、そう。そうよね、あたしもそれは心配だわ。一彦には関係ない話よね、ごめんね」
「いや、いいんだ。おばさんが体調悪いなら、俺も心配だし」
一彦は嘘ではない答えを返す。小毬はふうっと溜息を吐いて、前を向いて歩く。
「これからもちょっと出てくるの遅くなるかもしれないけど、心配しないで。あたしたちの家の問題なんだから、あたしたちで何とかするわ」
そう言った小毬の声には不安の色が宿っていた。自分でどうにかできるのか、その自信はないようだった。一彦はそれに気づいたけれど、あえて何も言わなかった。言ったところでどうにかなるものでもないと思った。
学校に着き、それぞれの靴箱に向かうために別れる。言うほど遠くない距離に三人の靴箱はあるが、会話が成立しない距離ではある。
一彦はわずかな安堵と、大きな不安を胸に抱きながら、靴を履き替えて双子のもとへ向かった。小毬と陽毬も靴を履き替えたところだった。
「さあ、本当に数学の小テストがあるのか、一彦の情報収集力が試されるわね」
「何もないかもしれないから広めるなよ。他のクラスであったってだけなんだから」
「わかった。あたしは勉強するけど、他のみんなには言わないようにするわ」
「そうしてくれ。これで何もなかったら、俺がとんでもないほら吹きになっちまう」
「そしたら購買でプリンでも奢ってよ。ね、陽毬」
「ん? ごめん、聞いてなかった。なに?」
陽毬にしては珍しく話を聞いていなかったと言う。小毬は少し驚いたような顔を見せながらも、自分の発言を繰り返した。
「数学の小テストがなかったら、一彦がプリン奢ってくれるって」
「おい、まだいいって言ってねえだろ」
「そうなんだ。よろしく、一彦」
「なんだよ、陽毬まで。わかったよ、小テストがなかったら何か奢ってやるよ」
「さすが一彦ね。数学の時間が楽しみだわ」
小毬はにこやかに笑いながら言った。一彦が肩を竦めると、陽毬も微笑んでくれる。
今日、数学の小テストはあるのだ。一彦はそれを知っている。さらに言うなら、明日は数学が自主学習になるのだ。
一彦はそれを知りながらも、双子には伝えなかった。伝えるべきではない話だからだ。
代わりに、一彦は陽毬に囁いた。
「陽毬、今日は?」
陽毬はちらりと小毬のほうを見て、聞こえていないことを確認してから答えた。
「いいよ」
「そうか。じゃあ、楽しみにしてる」
一彦は心の中で拳を握りながら、振り返った小毬の横に並んで歩き出した。
これで未来が変わるのなら、簡単なものだと思った。
*
今日も部活だという小毬を置いて、一彦と陽毬は一彦の家まで帰ってきた。無人の家には音もなく、一彦と陽毬が立てる音がやけに響いた。
玄関で靴を脱いで、陽毬が廊下に上がった瞬間に、一彦は陽毬を抱き寄せた。驚いたように一彦のほうを見た陽毬の唇を奪う。
「ん……んぅ」
陽毬は抵抗することなくそのキスを受け入れる。一彦が舌で陽毬の唇をつつくと、陽毬は小さく口を開けた。一彦はその隙間から舌を口内に侵入させて、陽毬の舌を襲う。
「んん、ん……ふぅ、んっ」
陽毬が一彦の背に手を回し、キスを深めていく。一彦は陽毬が受け入れたものと判断して、陽毬の口内を舌で犯した。
やがて唇を離すと、陽毬の頬は既に上気していた。潤んだ瞳で一彦を見上げる陽毬の表情は、一彦の性欲を高めるには絶好の餌だった。
「一彦、部屋行かないの?」
「行くよ。それよりも陽毬にキスがしたかった」
「そう。じゃあ、部屋行こうよ」
まるでここでは何もできないと言わんばかりに、陽毬は一彦の部屋へと行こうとする。一彦はその提案に逆らうことなく、二階にある自分の部屋に陽毬を連れていく。
一彦の部屋に入って陽毬と二人で鞄を下ろしたら、どちらからともなく抱き合って、唇を合わせた。先程よりも深く、深くキスをした。
「ん、んん、んぅ……ふ、ぅん」
互いに舌を絡めて、求め合う。どちらも退くことはなく、舌で相手の存在を確かめるかのように深く口づけを続ける。
一彦はキスを続けながら、陽毬の太腿に手を這わせた。びくんと陽毬の身体が反応して、キスを求める唇が強くなる。一彦はキスを止めることなく舌を絡め、陽毬の太腿から尻までのラインを撫で始める。小ぶりな尻をぎゅっと掴むと、陽毬が熱い吐息を漏らした。
「んぅ、ふ……うぅ、んっ」
立ったまま陽毬の身体を求めるというのも珍しいことだ。それくらい一彦も、きっと陽毬も、我慢できなかったのだろう。二人はベッドに移動することもなく、その場で深いキスを続けながら、一彦が陽毬の太腿を愛撫する。張りのある太腿から、すべすべとした内腿に手を動かすと、陽毬が淫靡な声を上げる。
「ふぁ…んっ、や、ねえ、一彦、ベッド行こ」
「立ったままするのもいいかと思ったんだけど」
「だめ。わたし、立っていられないかもしれないし」
恥ずかしそうに言う陽毬が可愛くて、一彦は胸がどくんと脈打つのを感じた。
陽毬の希望を受け、二人はベッドに移動する。一彦が陽毬を押し倒すように上にのしかかり、太腿に舌を這わせた。
「ああっ、あ、なに、するの……っ!」
陽毬の弱い抵抗を受けたが、一彦は無視した。代わりに、太腿に吸い付いてキスマークを落とした。
「や、ばか、そこ見えるでしょ?」
「見えねえよ。陽毬が俺以外の奴とこういうことしねえならな」
「しないよ、ばかぁ……っ、あ、ああぁっ……!」
太腿から鼠径部にかけて舌を這わせる。一彦は再び太腿にキスをして、陽毬に言った。
「脱いでくれよ。それとも、脱がせてほしい?」
陽毬はわずかに逡巡して、答えた。
「脱がせて……ほしい」
「そうか。じゃ、遠慮なく」
一彦は陽毬のワイシャツのボタンを丁寧に外し、白色のキャミソールをあらわにした。それをたくし上げて、空色のブラジャーを露出させる。背中に手を回してブラジャーも外してしまうと、陽毬の乳房が晒される。陽毬は隠すでもなく、ただ一彦に身を委ねていた。
一彦はあらわになった乳房を手で包んだ。壊れ物を扱うかのように優しく揉みしだくと、陽毬がぴくりと反応する。
「あぁ……ん、んぅ、ふ……ぅ」
「陽毬、可愛い」
「やだ、やめてよ……っ、可愛くなんか、ない……っ」
「可愛いって。俺は可愛いって思う」
好きだという言葉が許されなくても、可愛いという言葉は許される。一彦の中では同じような意味を持つ言葉だけれど、陽毬にとっては違うのだろう。だから一彦は好意を伝える時には可愛いということにしていた。たまにうっかり好きだと言ってしまうと、それはだめだと訂正されてしまう。
一彦は乳房を弄びながら、陽毬の首筋にキスを落とす。陽毬は敏感に反応した。
「あぁ、あ、ぁんっ……!」
「陽毬……、陽毬、好きだ」
「だから、それはだめだってばぁ……! 姉さんに怒られちゃう」
どうして陽毬のことが好きだと小毬に怒られるのだろうか。その理由はわからなかったが、訊けるような雰囲気でもないので、一彦は何も言わずに胸を舐め上げた。しっとりとした肌はわずかに汗ばんでいて、一彦の興奮を煽る。
「下、脱がすぞ」
「ん……うん」
陽毬の同意を得て、一彦は空色のショーツを脱がせた。愛液でぬらぬらと光る秘部があらわになる。一彦はごくりと唾を飲み下した。いつ見ても、興奮をそそられる情景だった。
一彦は陽毬の秘部に指を挿入した。愛液で潤っている秘部は難なくその指を受け入れる。
「あぁ、あああぁ……っ!」
指で膣内を刺激してやると、陽毬の口からは官能的な声が漏れる。一彦はもっと犯してやりたいという自分の気持ちに逆らわず、指で秘所を掻き回した。
「ああっ、あ、ん、んんっ、ねえ、一彦……っ」
「どうした?」
陽毬が一彦のワイシャツの袖をぎゅっと掴み、静止させる。とろんとした瞳で陽毬が見つめてくる。一彦は何とも言い難い強い官能を抱いた。
「もう、いいから……きて」
その言葉が意味するところがわからないほど一彦は馬鹿ではない。陽毬に頷いて見せて、自身のスラックスとトランクスパンツを脱ぎ去った。隆々と勃起した陰茎が晒されると、陽毬は少しだけ緊張したような面持ちを見せた。
陽毬の脚の間に身体を割り込ませて、陰茎を秘所にあてがう。先端で秘所を何度が擦ってやると、陽毬は小さく声を上げた。その瞳は早くしろと言っているかのようだった。
一彦はそのまま陽毬の秘所に陰茎を沈めていった。ずぶずぶと飲み込まれていく硬い陰茎は、媚肉の手厚い歓迎を受けた。
「あああっ、あ、あああっ……!」
「う……っ」
思わず呻き声が出てしまうほど、陽毬の秘所の歓迎は手荒かった。膣肉が絡みつき、襞が吸い付き、奥へ奥へと引き込んでいく。根元まで挿入しただけで絶頂に達してしまいそうになる。一彦は自分の余裕の無さをごまかすために、陽毬の身体を抱き締めてやり過ごした。
「あ……はぁ、ん、一彦、ねえ、動いて……?」
陽毬は腰の律動を求めてくる。一彦は自分の快感をどうにか耐えて、ゆっくりと肉棒を引き抜いた。追いすがるように媚肉が絡みついてくる。一彦は奥歯を噛みしめて、そう簡単に絶頂を迎えないようにする。
一彦はスローペースで腰を振る。それが焦らされていると感じたのか、陽毬は腕を伸ばして一彦の身体を抱き寄せた。
「いいよ、もっと、激しくして」
無茶なことを言う、と一彦は内心で思っていた。激しく動けばこちらが限界を迎えるのは目に見えている。それでも自身のプライドがあって、一彦は頷いた。
「ああっ、あ、ん、んんっ、ふああっ!」
陽毬が望む通りに、肉棒の抽送を速める。淫肉が絡みつき、一彦の肉棒を締め付ける。一彦は自分が達してしまわないように堪えながら。陽毬が好きなところを突く。
「あぁんっ、ん、はぁ、はぁっ、一彦、一彦ぉっ……!」
陽毬は一彦の名を切なげに呼ぶ。一彦は顔を近づけて、腰を振りながら陽毬の唇を奪った。
「ん、んぅ、ふ、ううっ、んんっ!」
陽毬はそれを求めていたかのように、一彦と舌先を絡め合う。上でも下でも絡み合い、一彦の思考がどんどん淫靡なものに染まっていく。
一彦が唇を離すと、膣内がきゅうっと締まった。突然のことに、一彦は歯を食いしばって堪えた。
「あ、ああっ、だめ、だめぇっ、もっと、もっと、して……!」
「陽毬、でも、俺、もう……っ」
「ん、だめ、もっと、ほしいの……っ、ん、んんっ、はあぁっ!」
陽毬と視線が交わる。淫乱な光を帯びた陽毬の瞳を見ると、自身の肉棒がますます膨れ上がる。一彦はもう我慢の限界だった。
「ああっ、ん、んあっ、あぁんっ、ふ、うぅんっ!」
「陽毬、陽毬……っ、出すぞ……!」
「んぅ、じゃあ、きて、奥に……っ、奥に、出して……っ!」
一彦は一瞬だけ迷ったが、陽毬がよいと言うのならこちらは従うしかない。一彦はそのまま陽毬の媚肉で陰茎を扱く。
「ああっ、ああああっ!」
「う……っ!」
ひときわ強い締め付けを受けて、一彦は絶頂に達した。ぱんぱんに膨らんだ肉棒から精液が迸り、陽毬の膣内を汚していく。
「んん、すごい、びくびくしてる」
陽毬は嬉しそうに微笑んでいた。精液を出し尽くした一彦が陽毬の上に倒れこみ、陽毬の唇を奪うと、陽毬はますます嬉しそうに笑った。
「気持ちよかった?」
「ああ、すごく。でも、中でよかったのか?」
「いいよ、大丈夫。それくらいは管理できてるし、一彦もそのほうが嬉しいでしょ」
「そりゃあ、まあ」
好きな女に中出しできるほど幸せなことはなかなかない。一彦は礼の意味も込めてもう一度陽毬にキスをした。
ああ、幸せだ。こんな幸せがずっと続くのならいいのに。
一彦はそう思ったが、ずっと続かないことはわかっていた。
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