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 三日目ともなれば、さすがにもう夢だとは思わない。亡者がいるのは現実で、わたしが有沙と一緒に亡者に立ち向かわなければならないことも現実で、避けられないことだというのは理解している。

 魔女の拠点での休息は実に有意義だった。わたしも、きっと有沙も、溜まっていた疲労を回復することができた。ふかふかのベッドで眠ることが新鮮に感じられた。有沙はソファで休んでいたらしく、ベッドに来ることはなかった。有沙と二人で眠ることができるくらい広いベッドだったから、有沙が来てもよかったのにと思う。

 食事までは準備されていなかったから、わたしの鞄に入っていた防災用の備蓄パンを食べた。鞄は軽くなったけれど、これで食料はなくなってしまった。どこかで補充しなければならない。

「食事はどうにかなるよ。どこかから拝借すればいい」

 有沙は余裕の表情だった。どこかから、たぶん無人になったコンビニなどからもらってくるということだろう。本来はお金を払わなければいけないだろうが、今はそんなことを言っている場合ではない。レジもきっと動いていないだろうし、払うこともできないのだから、仕方ないのだと自分を納得させた。

 朝食も終えて、二人でリビングのソファに座ってゆっくり身体を休める。でも、もうそろそろここを出なければならないだろう。わたしはそんな予感がしていた。できればここから出たくなくて、いつ出発するのか、わたしから有沙に聞くことはなかった。聞いてしまったら、すぐ出ると言われてしまいそうな気がした。

 有沙は珍しくぼんやりとしていた。有沙でもそんなことはあるらしい。わたしがじっと有沙を見ていたら、有沙と目が合ってしまった。

「行きたくない、でしょ?」

 有沙は苦笑しながらわたしに尋ねた。わたしは頷くことしかできなかった。ここで本音を隠してもよいことはない。

「行かなきゃいけない、でしょ?」
「そうだね。藍水には悪いけれど、そろそろルイに指示を仰ごうか」

 それは出発を意味する言葉だった。やはり、いや当然だが、ここにいることはできないのだ。わたしはソファに身体を預けて、天井を仰ぎ見た。ああ、ここでゆっくりしていられたらなあ。

 有沙は交信魔法を使った。淡い光の球が有沙の手の中に生まれる。

「ルイ、こちらの準備はできた。どこに行けばいい?」

 少し遅れて、光の球から若い男性の声が返ってくる。

「近くにある死霊術師ネクロマンサーの拠点を潰してから、本部に来てほしい。座標を送ったよ」
「ありがとう。拠点を潰したらまた連絡するよ」
「おそらく強力な亡者が守っているはずだ。魔器もいるし、有沙なら問題なく倒せると思うけれど、気をつけて」
「わかった。ルイも、気をつけて」

 淡い光の球が消える。短い交信だったけれど、有沙は笑っていた。何かを得たようだった。

「藍水、喜んでいいよ。ひとつ拠点を潰したら休める」
「それは、喜んでいいの?」

 拠点を潰すという行為の難易度がわからないわたしには、簡単なことなのかどうかがわからないから、素直に喜ぶことができない。有沙はわたしの問いかけに頷いた。

「ああ。拠点潰しをいくつもやらされると思っていたからね。ひとつだけだったら、さっさと潰して本部で休もう」
「そんなに簡単に潰せるの?」
「いや、昨日の大型亡者みたいな奴がいるだろうから、簡単にはいかないよ。厳しい戦いになるだろうね」

 有沙は平然とそう言った。まるで他人事のようだった。

「でも、僕にはきみがいるから。頼りにしているよ」
「わたし、何もできないのに?」
「それだけ魔器の力は有用ってことだよ。さあ、行こうか」

 有沙はソファから立ち上がり、わたしに手を差し出した。そんなことをされてしまったら、その手を取るしかない。わたしはこの安息の地から出るしかない。有沙はそれがわかっていて、わたしに手を差し出したのではないかと思ってしまう。

 わたしも重い腰を上げた。行くんだ。行って、さっさと有沙に片付けてもらって、早く安全なところに行くんだ。自分を激励して、わたしは顔を上げた。

「行こ、有沙。わたしは大丈夫」
「そう? じゃあ、出発しよう」

 わたしは少し軽くなったボストンバッグを肩にかけて、有沙の後ろに続いて魔女の拠点を出る。外は綺麗な快晴で、爽やかな風が吹いていた。ここに亡者がいるとは思えないくらい平和に見えた。

 しかし、亡者は存在していたのだとわかる。住宅のブロック塀には黒い跡が残っていて、これはおそらく亡者の血液だろうと思う。人間の血液の跡にも見える赤黒い痕跡もあって、魔女と亡者がここで交戦したのだろうと窺える。どちらが勝ったのかはわからないけれど、今ここに亡者の影がないということは、魔女側が勝っているのだろう。有沙が請け負ったのは残党処理かもしれない。

 有沙はどこかを目指して歩いていく。学校の中よりもゆっくりと、注意深く周りを見ながら進んでいく。角を曲がった先に亡者がいるのではないかと思うと、わたしも緊張感に晒される。

「何もいないね?」

 わたしが有沙に言うと、有沙は頷いて応えた。

「おそらく未制圧の拠点の近くまでは安全だろう。この地域はもう制圧されたんだと思う。ただどこまで安全なのかは、僕にもわからない」

 だから有沙は警戒しながら進んでいるのだろう。いつ亡者が飛び出してきてもいいように。

 住宅街を進み、大通りのほうに出てくる。乗り捨てられた乗用車や、何かに追突されて曲がってしまった街灯、抉られた地面。大通りは酷い有様だった。発生当時はかなり混乱していたのだろうと思わせた。学校の中にいたほうが安全だというのは、こういうことだったのかもしれない。

 大通りを横切り、また住宅街に入っていく。そこで、有沙はわたしの手を取った。青紫色の亡者がわたしたちを発見して、おおおお、と雄叫びを上げた。

雷刃魔法サンブレディオ!」

 有沙が放った雷が亡者の頭を貫いた。亡者は頭から黒い液体を噴出して倒れる。

 亡者を倒したというのに、有沙の顔は晴れなかった。むしろ曇っていた。

「まずいな。今のは斥候か?」
「相手に見つかったってこと?」
「そうかもしれない。ここに集まってきたら厄介だ。少し遠回りしよう」

 有沙はわたしの手を引いて細い脇道に入っていく。しかし、少し進んだけでまた亡者に出くわした。亡者がすかさず咆哮する。確かに、わたしたちの位置を伝えているように思えた。

火炎魔法フリメディオ!」

 燃え盛る火炎が亡者を飲み込み、亡者が倒れ臥す。一体一体は弱いけれど、強い亡者にわたしたちの位置を伝えられているのだとしたら、それは大きな問題ではないだろうか。相手から奇襲されてしまう危険性が増すのではないか。

 有沙は周囲を素早く確認して、早足で歩いていく。

「雑魚がうろうろしているだけ、ではないだろうね。拠点を守っている奴に、僕たちが来たことを知らせているんだろう」
「それ、結構まずいよね?」
「そうだね。とてもよくない」

 脇道から出て、角を曲がる。また亡者に遭遇して、おおおお、と叫ばれる。有沙は舌打ちして魔法を放った。

雷刃魔法サンブレディオ!」

 雷が迸り、亡者の頭を貫通する。亡者は力なく倒れた。昨日学校にいた亡者とは同じように見えるけれど、有沙の魔法一発で倒せるし、どうやらそうでもないようだった。

 有沙は歩きながら何かを考えている。きっと、この状況の打開策を。

「早々に親玉を倒して制圧しないとまずいな。藍水、ちょっと急ぐよ」
「う、うん、わかった」

 有沙は小走りに近い速度で進んでいく。走ろうとしないのはわたしへの配慮だろう。有沙ひとりだったらもっと早く動けているはずだ。それを封じてしまっている自分が恨めしい。

 角を曲がると、また亡者が現れた。今度は相手が叫ぶよりも有沙のほうが早かった。

雷刃魔法サンブレディオ!」

 雷に頭を吹き飛ばされた亡者が地面に倒れる。亡者の数が増えているのは、気のせいではないのだろう。わたしたちがいる場所に集まってきているのかもしれない。

 もうひとつ角を曲がる。すると、前を歩いていた有沙が足を止めた。

防御魔法ブロキア!」

 有沙が初めて防御に転じる。見えない壁が防いだのは、あの黒い石のような塊だった。

 まさか。わたしは信じられない気持ちで有沙の前を見た。

 昨日倒した大型の亡者を一回り大きくしたような亡者が立っていた。大型の亡者は拳を突き合わせて空に咆哮する。それは威嚇か、それとも他の意味があるのか、わからなかった。

 大型の亡者は何か変な空気を身にまとっているように見えた。それはわたしの勘違いではなくて、有沙が舌打ちして呟く。

「また対魔法結界か。よくもまあ、こんな奴を用意してくれたものだね」
「対魔法結界って、魔法が効きにくくなるってことだったよね?」
「そう。何か、昨日の水晶玉みたいなものがあるはずだ。それを壊さないことには勝てない。藍水、いったん鞄は置いて」

 わたしが鞄を地面に置くと、有沙はわたしを軽々と抱き上げた。大型の亡者が腕を振り、伸びた腕が鞭のように有沙に襲いかかる。

飛翔魔法レビテシア!」

 有沙はわたしを抱いたまま空中に逃げる。追撃するように飛んできた黒い塊を避けて、有沙は大きく距離を取って降下した。大型の亡者は接近してくることはなく、ある家の前に立ったままわたしたちを睨みつけている。

探知魔法サティシア!」

 有沙を中心にして、空気が振動していく。どこかでその振動が跳ね返ってきたのはわたしにもわかった。有沙は険しい表情のままだった。

「家の中だ。あの家の一階のどこかにある」
「あの、あいつが玄関を守ってる家?」
「そう。さて、どうやって入るかな。防御魔法ブロキア!」

 飛んできた黒い塊を、見えない壁が弾き飛ばす。有沙はすぐさま反撃する。

雷刃魔法サンブレディオ!」

 有沙の手から放たれた雷は大型の亡者の左腕に直撃した。けれど、浅く皮膚を裂いただけで、大きな傷と呼べるようなものではなかった。やはり対魔法結界があると、こちらの攻撃は全然通らないのだ。

 大型の亡者が腕を伸ばして殴りかかってくる。有沙は右に跳んで躱し、再び魔法を放つ。

探知魔法サティシア!」

 空気の振動が伝わっていく。感覚を研ぎ澄ますと、確かにあの大型の亡者がいる家の中から振動が返ってきたのがわかる。一階の、窓際。

 有沙は大型の亡者を見据えたまま、わたしに問いかけた。

「どう、藍水。場所はわかった?」
「一階の、窓際? それ以上はわかんない」
「それだけわかればいいだろう。どうにかしてきみをあの家の中に入れるから、壊してきてくれないか」
「ええ? わたしが?」
「それ以外に方法がない。僕があいつを足止めしている間に壊してきてほしい」

 それは危険な賭けのように思えた。わたしには探知魔法サティシアがない。一階の窓際にあることだけはわかるけれど、それ以外の情報がないのだ。だいたい、壊すべき対象は見ただけで判別できるのだろうか。

 しかし、有沙は静かに言った。

「大丈夫。今のきみなら、魔力を感じられるはずだ」
「そうなの?」
「そうだよ。僕を信じて。きみにならできる」

 大型の亡者が咆哮する。周囲の亡者を呼び寄せているのではないと信じたかった。

 そう、時間がないのだ。早く親玉を倒さなければ、周りにいる亡者が集まってきてしまうかもしれない。戦う力がないわたしにもできることがあるのだ。いや、今の状況で言えば、わたしにしかできないことなのだ。

 わたしの覚悟が決まったことを悟ったのか、有沙がわたしに告げた。

飛翔魔法レビテシアであの家の前に降りる。きみはそこからどうにかして魔力の源を壊してくれ」
「わかった。頑張る」
「できるだけ早く壊してくれると助かるよ。きみの支援なしであいつと戦うのは辛い」

 忘れていたけれど、今の有沙はわたしの魔力を使っているのだ。有沙にとっては、魔器の支援を失いながら戦うことになる。それがどれほど厳しいのかはわからない。だからこそ、わたしは早く魔力の源を見つけて、壊さなければならない。

 一拍置いて、有沙が魔法を詠唱した。さあ、わたしが戦う時だ。

飛翔魔法レビテシア!」

 身体が急激な加速に悲鳴を上げる。あまりにも速すぎて、わたしは何が起こっているのか理解するのに時間がかかった。有沙が地面を滑るように動いて、あいつの目の前で飛翔したのだとわかったのは、空中に上がってからだった。そこから、また一気に下降する。有沙はわたしを家の玄関の前に下ろした。

「行け!」

 わたしは有沙の声に弾かれるようにして、玄関の扉を開けようとした。しかし鍵がかかっていて開かない。後ろを振り返ると、有沙が大型の亡者の腕を避けたところだった。

 有沙の力は借りられない。わたしひとりで何とかするしかないのだ。

 わたしは家の庭のほうに入っていく。家の横の細い道を抜けて、小さな庭に出た。庭に面した大きな窓が印象的な家だった。どう見ても普通の家で、ここが死霊術師の拠点だとは信じられない。魔女も、死霊術師も、普段は人間の世界にうまく溶け込んでいるのだろう。

 ここから家の中に入ることはできないだろうか。窓は施錠されているけれど、硝子窓だから、割ってしまえば開けることができる。わたしは手近な範囲で石を探したけれど、手頃な石はそう簡単に見つからなかった。

 そうだ、固いものなら靴がある。わたしは革靴を脱いで手に持ち、思い切り硝子窓に叩きつけた。がしゃんと音がして、硝子が割れて飛び散る。そこから窓の鍵を開けて、わたしは室内に侵入した。

 どこにでもある普通の住宅だった。わたしが入ったのはリビングの窓のようだ。座り心地のよさそうなソファが置いてあって、その向かいに大きなテレビが設置されている。ダイニングには四人掛けのテーブルと椅子があって、魔女の拠点よりは若干の生活感があった。

 探険している余裕はない。どこかの窓際にあるはずの、魔力の源を探さなければならない。リビングの窓際にはない。ダイニングの窓際にもない。それなら、引き戸で仕切られているリビングの奥の部屋だろうか。

 わたしは引き戸を勢いよく開けた。そこは何も置かれていない和室だった。畳には奇妙な文様が刻み込まれているくらいで、それ以外に変わった点はなかった。いや、それだけが、この家の中でいかにも魔法を意識させるようなものだった。

 絶対にここだ。わたしは直感した。窓際のほうを見ると、石で作られたような人型の像が何体か並んでいた。仏像、ではないけれど、似たようなものだと思った。

 その中で、ひとつだけ異様な空気をまとっているものがあった。恐る恐る触れてみると、なんだか嫌な感じが伝わってくる。早く手放してしまいたくなるような、ぞわぞわする感じ。

 これだ。でも、どうやって壊せばよいのだろうか。わたしは試しに石像を落としてみたけれど、畳の上では全然割れる気配がなかった。リビングに持っていってフローリングの上で試してみたけれど、やはり割れそうになかった。

 やむなく、わたしは石像を持ったまま家を出た。庭の地面の上に落としてみても、石像は割れない。ああもう、早く壊さないといけないのに。

 わたしは石像の頭のような部分を持って、地面に叩きつけた。すると、石像が頭からぽきっと折れた。中から紫色の靄のようなものが出てくる。煙草の煙のような臭いがして、わたしは手でその靄を払った。

 これで、あいつの対魔法結界がなくなったはずだ。これで、有沙なら勝てるはず。

 わたしは急いで有沙のもとに戻る。少し時間がかかってしまったけれど、有沙は無事でいてくれるだろうか。いや、大丈夫だよね、有沙だって戦い慣れているし、あんなにも強いんだから。

 家の玄関の前に出る。そこには、血だらけの有沙と、無傷の亡者がいた。

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