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第7話

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「やはりな。あの妹は姉から祈りの力と聖魔法を奪っていたのか」
「ああ、ウルティアを見てみろ。聖魔法を使いこなしている」

 ウルティアを見ると、彼女は手の平を輝かせていた。
 それはあまりに清浄な光で、とても神々しい。
 彼女はそれを熊のぬいぐるみに放った。

「見て見て、伯爵様! 私、魔法が使えますわ!」

 ウルティアは熊を浮遊させ、嬉しそうに笑っている。
 それを見詰めるヴィンスとクレイグも微笑んでいた。

「良かったね、ウルティア。君は素晴らしい才能を持っている」
「ああ、ウルティアは凄いよ。きっと誰よりも魔法を上手く使える」
「うふふ! 私、この魔法で沢山の人を救いますわ! 見ていて下さいね!」

 そう言ってウルティアは熊のぬいぐるみの額にキスをした。
 すると熊には仮初めの命が宿り、トコトコと歩き出した。
 熊は丁寧なお辞儀をして、彼女をダンスに誘う。

「まあ、王子様! 私とダンスがしたいのですね?」

 それを目にしたヴィンスは少しだけ嫉妬に駆られた。
 手を取り合って踊る熊とウルティアを恨めそうに見詰める。

「おい、嫉妬するな。それより祈りを教えてやれ」
「祈り……? 何を祈らせるんだ……?」
「俺達の計画が上手くいくようにだよ」

 そしてヴィンスはウルティアに祈りを教えた。

「神様……神様……どうか私達の全てが上手くいきますように……」
「そうだよ、ウルティア。君の祈りは本当になる」
「そうなんですか、伯爵様。教えて下さって、ありがとうございます」

 ウルティアはにっこりと微笑んだ。
 それは天使の笑みだったが、その歯はボロボロだ。
 顔もそばかすだらけで、お世辞にも可愛いとは言えない。

「クレイグ……そろそろ顔を戻してやってくれ……」
「分かってるよ。そうするつもりだった」
「それにしても、システィアは酷い奴だ。淑女としての美徳、祈りの力と聖魔法、そして美貌を奪っていったんだから――」
「ああ、でもそれは全部俺達の手で奪い返そう」
「その通りだ、クレイグ。さあ、仕事を始めよう」

 そして二人はウルティアを呼び戻すと、精神魔術式の鎖の先端を弄った。

「これで最後だ。ウルティアの美貌を返してもらう――」
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