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第4話
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「嘘だと……? 今、この結婚紋の共鳴を嘘と言ったな……?」
ライオネスの声を聞き、伯爵達は黙った。
今の発言は失敗だった――そんな顔をしている。
やがてライオネスは三人の前に立つと、こう言った。
「伯爵、今の発言は無効にしてやろう。しかしお前はこれまで何をしてきた? 本来、養女であるエメラインは大事に育てるベきだろう? さあ、答えてみろ」
ライオネスの問いに伯爵は答えた。
「ああ、ライオネス様! わたくしはエメラインを大切にしていました!」
「しかしエメラインはお前らに虐待を受けていたと言っていたが?」
「それは嘘でございます! あの子の体に傷はありません!」
「ほう、傷がないとな?」
そしてライオネスはカミラとジャスティーナに問うた。
「お前達もそうだと申すか? 発言を許す」
「は、はい! ライオネス様! 夫の言う通りです!」
「ええ、ライオネス様! 私達は虐待などしていません!」
「ほう……なるほどな……」
するとライオネスは宮廷魔術師を前に呼んだ。
そしてすぐにジャスティーナのオーラを鑑定させる。
宮廷魔術師は彼女の体に手を翳して透視を行い、発言した。
「ライオネス様、このジャスティーナは黒魔術師です。体に一切の傷を残さないままあらゆる拷問を加える黒魔術が使えます」
「……と言う訳だ。どうだ、伯爵。発言しろ」
直後、伯爵は叫んだ。
「な、何をおっしゃいます! ジャスティーナが黒魔術師だったとしても、虐待の証拠はありません! 私達はエメラインに黒魔術など使っていません!」
「ふむ、そうか。その発言、確かだな?」
「確かにございます!」
ライオネスは今度は宮廷魔術師にエメラインを調べさせた。
宮廷魔術師は顔を青ざめさせ、こう訴える。
「こ、これは……オーラに酷い傷が大量にあります……! これは明らかにジャスティーナの黒魔術の波動です……! エメライン様は酷い虐待を受けています……!」
聖堂に集まった人々は驚きの声を上げる。
その途端、伯爵達がうるさく喚き出した。
「な、何だと!? 嘘だ! こいつは嘘を吐いている!」
「そうだわ! 私達を陥れるための罠に違いないわ!」
「その通りよ! 私は黒魔術なんて使っていない!」
それを聞いたライオネスは冷たい目でこう言った。
「宮廷魔術師の力を嘘と申すか? それは宮廷魔術師の力によって嘘判定が行われる裁判を否定し、彼を連れてきた俺すらも否定している発言か? どうなんだ?」
三人はその言葉に息を飲んだ。
ライオネスの声を聞き、伯爵達は黙った。
今の発言は失敗だった――そんな顔をしている。
やがてライオネスは三人の前に立つと、こう言った。
「伯爵、今の発言は無効にしてやろう。しかしお前はこれまで何をしてきた? 本来、養女であるエメラインは大事に育てるベきだろう? さあ、答えてみろ」
ライオネスの問いに伯爵は答えた。
「ああ、ライオネス様! わたくしはエメラインを大切にしていました!」
「しかしエメラインはお前らに虐待を受けていたと言っていたが?」
「それは嘘でございます! あの子の体に傷はありません!」
「ほう、傷がないとな?」
そしてライオネスはカミラとジャスティーナに問うた。
「お前達もそうだと申すか? 発言を許す」
「は、はい! ライオネス様! 夫の言う通りです!」
「ええ、ライオネス様! 私達は虐待などしていません!」
「ほう……なるほどな……」
するとライオネスは宮廷魔術師を前に呼んだ。
そしてすぐにジャスティーナのオーラを鑑定させる。
宮廷魔術師は彼女の体に手を翳して透視を行い、発言した。
「ライオネス様、このジャスティーナは黒魔術師です。体に一切の傷を残さないままあらゆる拷問を加える黒魔術が使えます」
「……と言う訳だ。どうだ、伯爵。発言しろ」
直後、伯爵は叫んだ。
「な、何をおっしゃいます! ジャスティーナが黒魔術師だったとしても、虐待の証拠はありません! 私達はエメラインに黒魔術など使っていません!」
「ふむ、そうか。その発言、確かだな?」
「確かにございます!」
ライオネスは今度は宮廷魔術師にエメラインを調べさせた。
宮廷魔術師は顔を青ざめさせ、こう訴える。
「こ、これは……オーラに酷い傷が大量にあります……! これは明らかにジャスティーナの黒魔術の波動です……! エメライン様は酷い虐待を受けています……!」
聖堂に集まった人々は驚きの声を上げる。
その途端、伯爵達がうるさく喚き出した。
「な、何だと!? 嘘だ! こいつは嘘を吐いている!」
「そうだわ! 私達を陥れるための罠に違いないわ!」
「その通りよ! 私は黒魔術なんて使っていない!」
それを聞いたライオネスは冷たい目でこう言った。
「宮廷魔術師の力を嘘と申すか? それは宮廷魔術師の力によって嘘判定が行われる裁判を否定し、彼を連れてきた俺すらも否定している発言か? どうなんだ?」
三人はその言葉に息を飲んだ。
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