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佐々木亮介と言うの友達Part2
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「そういやチーム名とかどうする?」
解散し、それぞれ教室に戻っていると亮介は俺にそんなことを聞いてきた。
正直、どうでもいいので、
「なんでもいいよ」
とだけ言っておいた。
「じゃ、チーム春樹でどう?」
「安直な上にしんどい」
「なんでもいいっていったじゃん」
そんな会話をしていると、亮介は何か言いたそうにもじもじし始めた。
「なんだよ?」
「いやさ、千冬は大丈夫なのか? その、今回みたいなことがあって、どんなに明るい性格だろうと、怪我までしてんだろ? 結構しんどいと思うし。春樹なら家隣だから、なんか知ってんのかなって」
そもそも今回の件で一番の被害者は間違いなく千冬だ。
それに、俺の目的は罪を認めさせ、千冬に謝らせることにある。
だとすれば、この事件の中核にいる千冬のことを気になっても仕方ない。
「……連絡はない」
亮介を信用してないわけじゃないが、千冬は今、俺のポケットの中にいる、なんて言ったところで、ついに頭がイカれちまったか、と思われるだけだ。
なので、正直に伝えることはしない。
「……そうか、千冬はきっと、春樹のこと信頼してるから、気持ちが落ち着いたら連絡があると思うんだ、そのときは……!」
亮介は背中を思いっきり叩く。
俺は油断していたこともあって、うっかり転びそうになったが、どうにか留まった。
「なにすんだよ!」
「景気付けだよ、ちゃんとやれよ!」
ガハハ、と豪快に笑いながら何度も背中を叩く。
亮介は高校で出会い、未だ三ヶ月と言うの短い時間の付き合いでしかない。
しかし、亮介と言う人間は驚くほど、俺の心にすっと入ってきた。
そして、何より、どうしようもない俺をこんなにも前向きにさせてくれる。
「……ありがとな」
「は! お礼は全部終わってからな! ジュース奢れよ?」
「あぁ」
「序にキンタマ揉ませろよ?」
「なんでだよ! あれ痛いんだぞ!」
「はははっ!! そう言うや、今のお前、調子いいぞ?」
「……は? どういうことだ?」
「いいのいいのー」
そんなこと言いながら亮介は手をフリフリする。
よく分からないが、ただ言えることは亮介が友達で良かったということ、それだけだ。
教室に到着すると咲は何食わぬ顔でスミレとお喋りをしていた。
「…………」
スミレと目が合うがガン無視。
こいつ、ある意味肝が座ってやがる。
俺は憤りを感じていると、
「♪~!」
俺のポケットでアラーム音が鳴り響く。
皆の視線をより一層感じつつ、スマホを開くと、画面には拗ねた様子の千冬がいる。
「……千冬が鳴らしたのか?」
俺は小さな声で話す。
スマホに話しかけている変やつと思われないよう。
千冬がここにいることがバレないよう。
「そうだよ、言いたいことがあってね」
「なんだ?」
「……咲ちゃんには気をつけたほうがいいよ」
そんなことは言われる前からわかっている。が、千冬はそれ以上に感じているのだろう。
チーム春樹(仮)に参加する理由が不透明な上にそもそも、千冬をいじめた一人だ。
何なら、謝ってほしいぐらいだ。
あの場で謝れ!!って怒ってもいいけど、それでは何の解決にもならん。
というか千冬がスマの中にいるのにどうやって謝らせるべきか、正直、難しい。
「……わかったよ。でもこれから言いたいことあるときは音を鳴らすんじゃなくて、振動で頼む、携帯没収とかになったら、終わるからな」
「……わかったよ」
千冬はそれ以上何も言わなかった。
何事もなく、学校を終え、帰宅すると、ラインに連絡が入った。
【チーム春樹】というグループに誘われたようだ。本当にこと名前でやるのか? 恥ずかしいし、結構嫌だ。
そのグループに入るとこれからの方針について会議があった。
まず、初めにやることは、学校が責任を俺に擦り付けたことを認めさせることだ。
皆は千冬に殴られたことを説明させることが早いと言ったが、それは、できない。
何故ならスマホの中にいるからだ。
だとすれば何か他の方法はないだろうか。
皆良案がないまま、今日の会議は終わった。
それから二日後。
俺と亮介の元にある男が現れた。
名前は草場太一(くさばたいち)。彼は俗に言うヲタクで、両ポケットにライトノベルをツッコミ、毎日アニメの話ばかりしている。
女子から当然のようにキモがられているが、俺はそうは思わない。
というのも、俺だって、ゲームやアニメ、漫画やライトノベル好きだし、それを否定させることの悔しさは当然知っている。
だから、彼のような生き方には寧ろかっこよさすら覚える。
俺のように適当に空気を読んで生きてきたやつより、よっぽど、まともだ。
「あ、あの、取引しないか?」
「……なんのだ?」
亮介の最もな指摘に太一はうろたえる。
亮介は家の男子の中でもかなり陽キャでリーダー的存在だ。
太一とはあまり、肌感が合わない様子だ。
「俺、お前らがいま、欲しいであろう動画持ってるよ?」
「……ほう?」
動画ってなんだろう?
このタイミングでエロ動画ってわけじゃないんだろうし。
「ち、千冬ちゃんがスミレから殴られてる動画、あるよ」
「まじか!」
それは間違いなく希望だーー。
解散し、それぞれ教室に戻っていると亮介は俺にそんなことを聞いてきた。
正直、どうでもいいので、
「なんでもいいよ」
とだけ言っておいた。
「じゃ、チーム春樹でどう?」
「安直な上にしんどい」
「なんでもいいっていったじゃん」
そんな会話をしていると、亮介は何か言いたそうにもじもじし始めた。
「なんだよ?」
「いやさ、千冬は大丈夫なのか? その、今回みたいなことがあって、どんなに明るい性格だろうと、怪我までしてんだろ? 結構しんどいと思うし。春樹なら家隣だから、なんか知ってんのかなって」
そもそも今回の件で一番の被害者は間違いなく千冬だ。
それに、俺の目的は罪を認めさせ、千冬に謝らせることにある。
だとすれば、この事件の中核にいる千冬のことを気になっても仕方ない。
「……連絡はない」
亮介を信用してないわけじゃないが、千冬は今、俺のポケットの中にいる、なんて言ったところで、ついに頭がイカれちまったか、と思われるだけだ。
なので、正直に伝えることはしない。
「……そうか、千冬はきっと、春樹のこと信頼してるから、気持ちが落ち着いたら連絡があると思うんだ、そのときは……!」
亮介は背中を思いっきり叩く。
俺は油断していたこともあって、うっかり転びそうになったが、どうにか留まった。
「なにすんだよ!」
「景気付けだよ、ちゃんとやれよ!」
ガハハ、と豪快に笑いながら何度も背中を叩く。
亮介は高校で出会い、未だ三ヶ月と言うの短い時間の付き合いでしかない。
しかし、亮介と言う人間は驚くほど、俺の心にすっと入ってきた。
そして、何より、どうしようもない俺をこんなにも前向きにさせてくれる。
「……ありがとな」
「は! お礼は全部終わってからな! ジュース奢れよ?」
「あぁ」
「序にキンタマ揉ませろよ?」
「なんでだよ! あれ痛いんだぞ!」
「はははっ!! そう言うや、今のお前、調子いいぞ?」
「……は? どういうことだ?」
「いいのいいのー」
そんなこと言いながら亮介は手をフリフリする。
よく分からないが、ただ言えることは亮介が友達で良かったということ、それだけだ。
教室に到着すると咲は何食わぬ顔でスミレとお喋りをしていた。
「…………」
スミレと目が合うがガン無視。
こいつ、ある意味肝が座ってやがる。
俺は憤りを感じていると、
「♪~!」
俺のポケットでアラーム音が鳴り響く。
皆の視線をより一層感じつつ、スマホを開くと、画面には拗ねた様子の千冬がいる。
「……千冬が鳴らしたのか?」
俺は小さな声で話す。
スマホに話しかけている変やつと思われないよう。
千冬がここにいることがバレないよう。
「そうだよ、言いたいことがあってね」
「なんだ?」
「……咲ちゃんには気をつけたほうがいいよ」
そんなことは言われる前からわかっている。が、千冬はそれ以上に感じているのだろう。
チーム春樹(仮)に参加する理由が不透明な上にそもそも、千冬をいじめた一人だ。
何なら、謝ってほしいぐらいだ。
あの場で謝れ!!って怒ってもいいけど、それでは何の解決にもならん。
というか千冬がスマの中にいるのにどうやって謝らせるべきか、正直、難しい。
「……わかったよ。でもこれから言いたいことあるときは音を鳴らすんじゃなくて、振動で頼む、携帯没収とかになったら、終わるからな」
「……わかったよ」
千冬はそれ以上何も言わなかった。
何事もなく、学校を終え、帰宅すると、ラインに連絡が入った。
【チーム春樹】というグループに誘われたようだ。本当にこと名前でやるのか? 恥ずかしいし、結構嫌だ。
そのグループに入るとこれからの方針について会議があった。
まず、初めにやることは、学校が責任を俺に擦り付けたことを認めさせることだ。
皆は千冬に殴られたことを説明させることが早いと言ったが、それは、できない。
何故ならスマホの中にいるからだ。
だとすれば何か他の方法はないだろうか。
皆良案がないまま、今日の会議は終わった。
それから二日後。
俺と亮介の元にある男が現れた。
名前は草場太一(くさばたいち)。彼は俗に言うヲタクで、両ポケットにライトノベルをツッコミ、毎日アニメの話ばかりしている。
女子から当然のようにキモがられているが、俺はそうは思わない。
というのも、俺だって、ゲームやアニメ、漫画やライトノベル好きだし、それを否定させることの悔しさは当然知っている。
だから、彼のような生き方には寧ろかっこよさすら覚える。
俺のように適当に空気を読んで生きてきたやつより、よっぽど、まともだ。
「あ、あの、取引しないか?」
「……なんのだ?」
亮介の最もな指摘に太一はうろたえる。
亮介は家の男子の中でもかなり陽キャでリーダー的存在だ。
太一とはあまり、肌感が合わない様子だ。
「俺、お前らがいま、欲しいであろう動画持ってるよ?」
「……ほう?」
動画ってなんだろう?
このタイミングでエロ動画ってわけじゃないんだろうし。
「ち、千冬ちゃんがスミレから殴られてる動画、あるよ」
「まじか!」
それは間違いなく希望だーー。
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