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学園舞踏会 切羽詰まった侯爵が攻撃しようとした時に、王妃様が反撃されました
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「そのアントン・バースの妻はあろうことか、クライエンホフ伯爵を殺したのです」
ソーメルス侯爵の言葉は学園内に爆弾を落としたようなものだった。
「えっ、クライエンホフ伯爵様が殺されたの?」
「バース夫人に」
「悪魔の三つ子の一人のティナならやりかねないわ」
「でも、今はまだ平民よ」
「そんな彼女がお貴族様である伯爵を殺したら下手したら反逆罪になるんじゃ」
「そう、その平民の女ティナは、あろうことか我が妻トゥーナに、水をぶちまけあまつさえ頬を張り飛ばしたとか」
「なんですって!」
「侯爵様の奥様を張り倒すって」
「なんて事なの」
「でも、あのトゥーナなのだから」
「それは仕方がないかも」
なんか最後の方は王妃様とテレシア様がおっしゃられたような気がするんだけど。
その言葉に侯爵はむっとする。
「そして、今その娘が王太子殿下の横におりますが、その娘、何を勘違いしたか、王宮の侍女を3人も連れておりますが、この学園には今日は侍女は連れ込めないはずでは。我が娘ですら侍女は連れてきていないのです。これは思い上がりも甚だしいのではないですか、陛下」
国王陛下は私の後ろをぎょっとした顔で見ていた。まさか、王妃様が侍女の格好をしているとは思ってもおられなかったのだろう。
「何か見てはいけないようなものを見てしまった気がするのじゃが」
陛下が頭を押さえてやおられる。
「そうでしょう。陛下、陛下のいらっしゃるこの舞踏会をこの娘は侮辱しているのです。
殿下の事をその体を使って誘惑した淫乱娘に違いありません。直ちに断罪を」
侯爵様は陛下の頭を押さえていらっしゃる理由を履き違えたみたいだ。更に笠に着て言うんだけど。
ちょっと待て、淫乱娘って誰だ。
「ちょっと、そこの白髪のジジイ、何、私の娘にイチャモンつけてくれているのよ」
そこには完全にプッツン切れた母がいた。やばい、これはやばい奴だ。私は蒼白になった。母は子供を馬鹿にされると後先考えなくなってしまうのだ。
「体を使って殿下を誘惑したですって、それ元々、あんたの隣りにいるトゥーナが陛下に対して使ったことでしょう。王妃様に雷撃くらって吹っ飛んでいたけど。私達が飛び込んだ時には素っ裸で陛下に迫っていたわよね。トゥーナ」
「な、何を言う」
「そうよ、ティナ! そんな嘘をつかないで」
侯爵は赤くなり、鬼婆は真っ青になっていた。
陛下は茫然自失だ。
「ふんっ、これが証拠よ」
母様は投影術で裸で陛下に抱きついている若い頃のトゥーナさんを映し出していた。
「う、嘘よ。これは殺人鬼が作った偽の画像よ」
鬼婆が必死に言い訳している。侯爵は流石にその映像を見て唖然としていた。
「陛下、こいつは、伯爵殺しの罪悪人なのです。伯爵は私がこの女とその仲間に虐められて苦しんでいるのを助けようと話をしようとしてくれたのです。なのに、この女が殺したのです」
我に返った侯爵が話し出した。
「へええええ、話をするって兵士100人も連れてなの? それも人里離れた廃屋敷に連れ込んで?」
侯爵の必死の言い訳を母が笑って言った。
「兵士100人も連れて話すなんてこと無いわよね。ティナとその娘を殺そうとしたに違いないわ」
「本当に、でもそれは侯爵の命令だったのね」
王妃様とテレシア様が大声で皆に話しておられるんだけど。
「何言っているのよ。そこの二人。侍女はここに入ることは本来出来ないはずなのよ」
鬼婆が叫んだ。
「ふんっ、あんたはいつも物忘れが激しいと思っていたけれど、人の顔も忘れたの」
王妃様が仁王立ちで宣言された。
「な、なんですって。侍女の分際で・・・・・えっ、ルイーセ」
鬼婆もとい侯爵夫人の目は驚きで見開かれていた。
「そうよ。あなたの使嗾した伯爵はあろうことか私に襲いかかってきたのよ。王妃の私に。
だから私が正当防衛で処分してあげたのよ。でも、それをあなたが示唆していたとなると、ソーメルス侯爵、あなたも反逆罪に問われるんだけど判っているわよね」
きっとして王妃様は侯爵を睨めつけた。
「な、何を、そのような事実は」
「今トゥーナはそう言っていたじゃない」
「いえ、そんな事は」
必死にトゥーナは言い訳しようとしていた。
「近衛兵、直ちに拘束しなさい」
王妃様が命じられる。
「おのれ、元伯爵家の小娘め」
そう叫ぶと侯爵が杖を振り下ろそうとした。
その前に王妃様の手から雷撃が飛び出していたのだ。
「ギャーーーーー」
その雷撃は侯爵を直撃していた。
侯爵は黒焦げになって吹っ飛んでいた。
そして、逃げようとした鬼婆の侯爵夫人も山姥も近衛兵たちに捕まっていたのだった。
ソーメルス侯爵の言葉は学園内に爆弾を落としたようなものだった。
「えっ、クライエンホフ伯爵様が殺されたの?」
「バース夫人に」
「悪魔の三つ子の一人のティナならやりかねないわ」
「でも、今はまだ平民よ」
「そんな彼女がお貴族様である伯爵を殺したら下手したら反逆罪になるんじゃ」
「そう、その平民の女ティナは、あろうことか我が妻トゥーナに、水をぶちまけあまつさえ頬を張り飛ばしたとか」
「なんですって!」
「侯爵様の奥様を張り倒すって」
「なんて事なの」
「でも、あのトゥーナなのだから」
「それは仕方がないかも」
なんか最後の方は王妃様とテレシア様がおっしゃられたような気がするんだけど。
その言葉に侯爵はむっとする。
「そして、今その娘が王太子殿下の横におりますが、その娘、何を勘違いしたか、王宮の侍女を3人も連れておりますが、この学園には今日は侍女は連れ込めないはずでは。我が娘ですら侍女は連れてきていないのです。これは思い上がりも甚だしいのではないですか、陛下」
国王陛下は私の後ろをぎょっとした顔で見ていた。まさか、王妃様が侍女の格好をしているとは思ってもおられなかったのだろう。
「何か見てはいけないようなものを見てしまった気がするのじゃが」
陛下が頭を押さえてやおられる。
「そうでしょう。陛下、陛下のいらっしゃるこの舞踏会をこの娘は侮辱しているのです。
殿下の事をその体を使って誘惑した淫乱娘に違いありません。直ちに断罪を」
侯爵様は陛下の頭を押さえていらっしゃる理由を履き違えたみたいだ。更に笠に着て言うんだけど。
ちょっと待て、淫乱娘って誰だ。
「ちょっと、そこの白髪のジジイ、何、私の娘にイチャモンつけてくれているのよ」
そこには完全にプッツン切れた母がいた。やばい、これはやばい奴だ。私は蒼白になった。母は子供を馬鹿にされると後先考えなくなってしまうのだ。
「体を使って殿下を誘惑したですって、それ元々、あんたの隣りにいるトゥーナが陛下に対して使ったことでしょう。王妃様に雷撃くらって吹っ飛んでいたけど。私達が飛び込んだ時には素っ裸で陛下に迫っていたわよね。トゥーナ」
「な、何を言う」
「そうよ、ティナ! そんな嘘をつかないで」
侯爵は赤くなり、鬼婆は真っ青になっていた。
陛下は茫然自失だ。
「ふんっ、これが証拠よ」
母様は投影術で裸で陛下に抱きついている若い頃のトゥーナさんを映し出していた。
「う、嘘よ。これは殺人鬼が作った偽の画像よ」
鬼婆が必死に言い訳している。侯爵は流石にその映像を見て唖然としていた。
「陛下、こいつは、伯爵殺しの罪悪人なのです。伯爵は私がこの女とその仲間に虐められて苦しんでいるのを助けようと話をしようとしてくれたのです。なのに、この女が殺したのです」
我に返った侯爵が話し出した。
「へええええ、話をするって兵士100人も連れてなの? それも人里離れた廃屋敷に連れ込んで?」
侯爵の必死の言い訳を母が笑って言った。
「兵士100人も連れて話すなんてこと無いわよね。ティナとその娘を殺そうとしたに違いないわ」
「本当に、でもそれは侯爵の命令だったのね」
王妃様とテレシア様が大声で皆に話しておられるんだけど。
「何言っているのよ。そこの二人。侍女はここに入ることは本来出来ないはずなのよ」
鬼婆が叫んだ。
「ふんっ、あんたはいつも物忘れが激しいと思っていたけれど、人の顔も忘れたの」
王妃様が仁王立ちで宣言された。
「な、なんですって。侍女の分際で・・・・・えっ、ルイーセ」
鬼婆もとい侯爵夫人の目は驚きで見開かれていた。
「そうよ。あなたの使嗾した伯爵はあろうことか私に襲いかかってきたのよ。王妃の私に。
だから私が正当防衛で処分してあげたのよ。でも、それをあなたが示唆していたとなると、ソーメルス侯爵、あなたも反逆罪に問われるんだけど判っているわよね」
きっとして王妃様は侯爵を睨めつけた。
「な、何を、そのような事実は」
「今トゥーナはそう言っていたじゃない」
「いえ、そんな事は」
必死にトゥーナは言い訳しようとしていた。
「近衛兵、直ちに拘束しなさい」
王妃様が命じられる。
「おのれ、元伯爵家の小娘め」
そう叫ぶと侯爵が杖を振り下ろそうとした。
その前に王妃様の手から雷撃が飛び出していたのだ。
「ギャーーーーー」
その雷撃は侯爵を直撃していた。
侯爵は黒焦げになって吹っ飛んでいた。
そして、逃げようとした鬼婆の侯爵夫人も山姥も近衛兵たちに捕まっていたのだった。
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