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山姥の配下に襲われました

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それからが、また、大変だった。

王妃様とテレシア様の前で二人に虐められていて、悲惨だったとマルテイーナさんが愚痴ってしまい、お二人がへそを曲げられたのだ。
そのお二人のご機嫌を治すのが大変で、結局マルテイーナさんは、私とおそろいのドレスを王妃様とテレシア様と母に作るのを約束させられていた。

「嘘ーーー、これって貫徹3回くらいしなければならないんじゃ・・・・」
頭を抱えておられたけど。王妃様とテレシア様はニンマリ笑っておられたから、絶対にわざとだったんだと思う。

私はマルティーナさんに合掌していた。



そして、パーティーの前日の夕方、私はまた、王妃様らに拉致されてマルティーナさんの所に衣装を取りに向かったのだ。

「マルティーナ、どんな衣装にしてくれたからしら」
「それは素晴らしい出来になっていると思うわ」
王妃様とテレシア様は期待に胸を膨らませていらっしゃるんだけど・・・・。これって元々私の衣装を作るためにお二人が協力して頂けたのよね?

「やっとマルティーナに衣装作らせることに成功したわ」
「本当に、今まで頼んでも、色んな理由で拒否してくれていたものね」
やっぱりこの二人、私にかこつけて自分の衣装を作る気満々だったのだ・・・・
母は頭を抱えていたけど。


「あれ、道が少し変わっていない?」
テレシア様が目ざとく言われた。

何か外が物寂しくなっている。

「あれっ、本当ね」
王妃様も驚いてみておられた。

「ちょっとこれ、まずくない」
慌てて母が言うが。

「まあ、行けるところまで行ってみましょうよ。誰が後ろにいるか知りたいし」
王妃様は婉然と笑っておられるんだけど。いやいやいやいや、そういう問題じゃないでしょう。

これって誘拐のたぐいでは。

私や母はいざしらず、王妃様と公爵夫人がいるんだけど。流石にまずくない?

そもそも、考えたら護衛の騎士もいなかったのだ。王妃様と公爵夫人がいるのにどう考えてもおかしい。でも、王妃様もテレシア様も平然としているんだけど。母まで諦めの表情で泰然としているんだけど。何故?

馬車はいつの間にか森の中に入っていた。

「ちょっと流石にまずくないですか」
私が言うと、

「そうね、あまり遠くに来てしまうと、店の営業時間に間に合わなくなってまた、マルティーナに文句を言われるわね」
王妃様が見当違いなことを言われるんだけど。

「『殆ど寝ていないのに、遅すぎます』ってマルティーナはまた、ピーピー文句言いそうね」
テレシア様まで言われるんだど、この二人の感覚は絶対におかしい。

私の火の玉では高々しれているし、どうすれば良いんだろう?

「でも、ここで終点じゃない」
母の言葉に外を見ると寂れた廃屋敷の前で馬車は止まったのだ。

廃屋敷になってからずいぶん年代が、立っているみたいだった。

私達が到着すると、馬車の周りは男達に囲まれてしまった。

「オラオラ、いつまでも中にいるつもりだ。さっさと出ろ」
男の一人が扉を開けて王妃様に手をかけようとした。

その瞬間だ。

王妃様の手が光った。

「ギャーーーーーー」
男は王妃様からの雷撃の直撃を受けて、大声を上げると吹っ飛んで、ピクピクと痙攣していた。

周りにいた男達は慌てて飛び退る。

「ふんっ、あなた達、高貴な者を迎える態度がなっていないわね」
王妃様はそう宣うと、優雅に馬車からおりられた。

「本当に下品な者たちはなっていないわ」
続いてテレシア様が降りられる。

「な、何だと」
男達はいきり立つが、王妃様の雷撃が効いたのか、一旦、距離を置いている。

「次に死にたいのは誰」
王妃様が不敵に笑われた。

そして、一歩前に出られる。

ぎょっとした男達は一歩後ろに下がった。

「なんなの? 軟弱な男達ね。そんな気概で私達を襲ったわけ」
呆れて王妃様が言われた。

「まあ、どのみち、私を襲った段階で絞首刑は確実だけど。誰に示唆されたのか教えてくれたら、命は助けてあげてもいいわよ」
「ルイーセ、何言っているのよ。せっかく暴れられるチャンスなのよ。そんなの生き残ったやつから聞けばいいじゃない」
王妃様の言葉にテレシア様が言われるんだけど、この二人完全に戦う気なんだ。


「何をしている、者共、そんな女はさっさとやってしまえ」
男達の後ろから大声が響いた。

「あーーら。これはこれはクライエンホフ伯爵」
王妃様が声をかけられた。

「な、侍女風情が俺の名を呼ぶな」
「あーーら、もう、耄碌したの。私の顔を忘れるなんて」
王妃様が笑って言われた。

「何だと、侍女の分際で・・・・・あなたは王妃様」
侍女の顔を凝視した伯爵の顔が驚愕で歪んだ。

「えっ」
「そんなバカな」
その言葉に周りの一同は驚愕していた。まさか、王妃様が侍女の格好をしてこの馬車に乗っているとは思ってもいなかったのだ。


「やっと判ったの。本当にとろいわね。で、王妃である私を襲ったということは陛下に反逆することにしたのね」
王妃様はニヤリと笑った。

「反逆罪は親子もろとも絞首刑だけどそれで良いのね」
王妃様は人の悪そうな顔で皆を見回した。

周りにいた男たちの間に動揺が走る。


「動くな。動くとこの女の命がなくなるぞ」
その時後ろから声がした。

見ると母が後ろからナイフを突きつけられていた。


「閣下、その者たちは王妃様を名乗る偽物です。さっさと殺してしまいなさい」
ナイフを母に突きつけた男が言いきったのだ。

「そうだな。そうだ。この者たちは王妃様を名乗る偽物だ。直ちに殺してしまえ」
伯爵が大声でみんなに命じていた。

ここには100名くらいいる。おそらく殆どが騎士か兵士だ。それには母ナイフが突きつけられているし、これは絶対にやばい。

私は最悪の事を覚悟した。
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