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悪役令嬢が侯爵令嬢をやっつけてくれました
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「あなたよくも平気な顔して私の前に出て来れたわね!」
ローズお嬢様は超お怒りモードだった。
でも、ローズは侯爵家令嬢で当然王都にタウンハウスがあるはずだ。なのに、何故、寮の歓迎会にいるのだ?
後で聞いた話では、わざわざ呼ばれて来たらしい。
誰よ! 呼ばなくてもいいのに呼んだのは!
「あ、アープロース様!」
横でヘーゼルが固まっている。そう、相手は田舎の男爵令嬢のヘーゼルですら知っている超有名人だ。
「誰、あの子?」
「パトリシアよ、あのアープロース侯爵家で侍女やっていて、そこの家の婚約者を寝取ったとかいう」
「ああ、あの、パーマン侯爵家のブラッドリー様を」
外野が騒がしい。
そうか、低位貴族の間でも、私は有名なんだ!
私は横のヘーゼルを見ると私を凝視していた。
私は折角できた友達がなくなる予感がした。
というか同室なんだけど、今後どうなるんだろう?
ブラッドは皆の誤解は解いておくと言っていたけれど、全然解けてないじゃない。
と言うか、ブラッドが私の家に毎月来る点で誤解は解けないだろう!
もうこの先ボッチの学園生活が確定したのだ……
私はこの先の学園生活を考えると頭が痛くなってきた。
「でもなんてあなたみたいな雑用しか出来ない能無しが、この学園に入れたの?」
失礼にもローズは余計なことを宣ってくれたんだけど……
「あなたのことだから、また、その体で学園の先生を籠絡したのかしら?」
「まあ、あの子そんな事したの?」
「流石に田舎者は違うわね」
外野がまた騒ぎ出した。
「人の婚約者をその体を使って寝取って更に学園に入学……」
ダンッ
その時だ。ローズはいきなり後ろから突き飛ばされて、最後まで言えなかった。
「キャッ」
そのまま、周りで私の事を白い目で見ていた令嬢たちの中に突っ込んでいったのだ。
そして、数人を巻き添えにして地べたに倒れ込んだ。
誰だ。こんな事をしたのは?
みんな、ぎょっとした顔でその後ろの人物を見ていた。
そこには赤いドレスを着た金髪のとても顔形の整ったきつそうな顔立ちをした令嬢が仁王立ちしていたのだ。
「ああら、御免遊ばせ。誰か入り口に邪魔な人形を置いたのかと思って皆のためにどけてしまいましたわ」
そこには全然悪いと思っていない令嬢がいた。
えっ、こんなことして許されるの?
私は唖然とした。
「な、何をしてくれるのよ。私はアープロース侯爵の娘ローズと知っての狼藉なの」
倒れ込んだローズが怒り狂って立ち上がった。
私は相手の真っ赤な衣装を着た令嬢の未来を心配したのだ。
しかしだ。
「知っているわよ。自分の侍女に婚約者を寝取られた哀れな令嬢の話は有名ですもの」
「な、なんですって。私に対してその態度、お前は何者なの?」
ローズは怒りで震えて叫んでいた。
「ああら、失礼。私はマチルダ・デールよ」
「デール? そんな、家あったかしら」
「これだから無知無能は困るのよ。デールは帝国の由緒ある子爵家の名前よ」
「はあああ? あなた子爵令嬢風情がこの侯爵令嬢の私に逆らううっていうの? 例え帝国貴族と言えども許されないわ」
「馬鹿ね。誰が令嬢だって言ったの?」
「えっ?」
「私本人が子爵なのよ」
マチルダは爆弾を落とした。
「あなただってまだ若いし」
「ふんっ、若くても有能な者は帝国では若くから爵位を賜るのよ」
マチルダは優越感にしたって言った。
「それに比べてあなたの爵位は何」
「えっ、私は侯爵家の」
「それはあなたのお父様でしょ。あなた自身はあるの」
「……」
「ふんっ、侯爵令嬢って言うけれど、何もなければ私からしたら無位無官の平民とおんなじだわ」
「な、何ですって」
「だってそうでしょ。親の爵位自慢するってスネカジリの青臭い子供でしかないじゃない」
マチルダは完全にローズを言い負かしたのだ。
ハンカチを噛んでローズが耐える。
「それに、あなた、人前でこの子に婚約者を寝取られたなんて話して恥ずかしくないの?」
「な、何ですって」
きっとしてローズはマチルダに掴みかかりそうになった。
「だって、この子、どう見てもおぼこよ」
ちょっと待って、このマチルダ、何言い出すのよ! 私に向かって!
でも、更にマチルダは酷いことを言い出したのだ。
「体型は幼児体型だし、出る所は出ていないし腰も寸胴だし、顔は地味だわ。私と見比べても月とすっぽんで女の魅力なんて皆無よ」
このへぼマチルダ、事実だけど、なんてこと言ってくれるのよ! めちゃくちゃむかつくんだけど……
「そんな子に婚約者を寝取られたなんて、恥ずかしくて事実だったら私は首をくくっているわ」
強烈な嫌味にローズはあいた口がふさがらなかった。
周りの皆も私とローズを比べている。
そして、皆残念な者のようにローズを見るんだけど。
「あんたが余程酷いいじめをしていて、婚約者がこの子に同情してしまったんじゃないの?」
「そんな訳ないでしょ」
ローズは言い訳した。
「ふんっ、虐めている本人はいつもそういうのよ。あなたの我儘はこの国でも有名よ」
どう見てもこのマチルダの方が我儘そうなんだけど……でもこの視線、この態度、どこか知っている人間ととても似ているんだけど。
「何ですって!」
「ほら、あなたも言いなさい。どんないじめを受けていたの」
マチルダは怒り狂っているローズを無視して私を見た。
「いえ、それは」
私は思わず口ごもってしまった。だってこんなところで正直に言えるわけ無いじゃない。
「大丈夫よ。パティ、正直にこのお姉さんに話してごらん。この女の魅力があなた以下だと自慢している残念なローズからはどんな事があっても守ってあげるわ。前世みたいに」
「えっ?」
最後に私は不吉な言葉を聞いたような気がした。
「どのみち、全ての掃除を一人でさせられたとか、婚約者が余計な事を言いそうだったから、黙れって目で合図したら、流し目をしたと勘違いされたんでしょう」
「何故それを」
私は驚いてマチルダを見た。
「そんなの判るわよ。あなたとは長い付き合いなんだから」
いや、私はこんな威張った態度の貴族は知らない。
それに本人が帝国の子爵だということは親はもっと偉い人だ。絶対に関わりたくない。
でも、私の意志はまたしても無視されてしまったのだ。
*****************************************************
今世でも、強烈な町田さんは健在でした。
この後パテ位の運命や如何に?
ここから学園恋愛編のはずです。
ローズお嬢様は超お怒りモードだった。
でも、ローズは侯爵家令嬢で当然王都にタウンハウスがあるはずだ。なのに、何故、寮の歓迎会にいるのだ?
後で聞いた話では、わざわざ呼ばれて来たらしい。
誰よ! 呼ばなくてもいいのに呼んだのは!
「あ、アープロース様!」
横でヘーゼルが固まっている。そう、相手は田舎の男爵令嬢のヘーゼルですら知っている超有名人だ。
「誰、あの子?」
「パトリシアよ、あのアープロース侯爵家で侍女やっていて、そこの家の婚約者を寝取ったとかいう」
「ああ、あの、パーマン侯爵家のブラッドリー様を」
外野が騒がしい。
そうか、低位貴族の間でも、私は有名なんだ!
私は横のヘーゼルを見ると私を凝視していた。
私は折角できた友達がなくなる予感がした。
というか同室なんだけど、今後どうなるんだろう?
ブラッドは皆の誤解は解いておくと言っていたけれど、全然解けてないじゃない。
と言うか、ブラッドが私の家に毎月来る点で誤解は解けないだろう!
もうこの先ボッチの学園生活が確定したのだ……
私はこの先の学園生活を考えると頭が痛くなってきた。
「でもなんてあなたみたいな雑用しか出来ない能無しが、この学園に入れたの?」
失礼にもローズは余計なことを宣ってくれたんだけど……
「あなたのことだから、また、その体で学園の先生を籠絡したのかしら?」
「まあ、あの子そんな事したの?」
「流石に田舎者は違うわね」
外野がまた騒ぎ出した。
「人の婚約者をその体を使って寝取って更に学園に入学……」
ダンッ
その時だ。ローズはいきなり後ろから突き飛ばされて、最後まで言えなかった。
「キャッ」
そのまま、周りで私の事を白い目で見ていた令嬢たちの中に突っ込んでいったのだ。
そして、数人を巻き添えにして地べたに倒れ込んだ。
誰だ。こんな事をしたのは?
みんな、ぎょっとした顔でその後ろの人物を見ていた。
そこには赤いドレスを着た金髪のとても顔形の整ったきつそうな顔立ちをした令嬢が仁王立ちしていたのだ。
「ああら、御免遊ばせ。誰か入り口に邪魔な人形を置いたのかと思って皆のためにどけてしまいましたわ」
そこには全然悪いと思っていない令嬢がいた。
えっ、こんなことして許されるの?
私は唖然とした。
「な、何をしてくれるのよ。私はアープロース侯爵の娘ローズと知っての狼藉なの」
倒れ込んだローズが怒り狂って立ち上がった。
私は相手の真っ赤な衣装を着た令嬢の未来を心配したのだ。
しかしだ。
「知っているわよ。自分の侍女に婚約者を寝取られた哀れな令嬢の話は有名ですもの」
「な、なんですって。私に対してその態度、お前は何者なの?」
ローズは怒りで震えて叫んでいた。
「ああら、失礼。私はマチルダ・デールよ」
「デール? そんな、家あったかしら」
「これだから無知無能は困るのよ。デールは帝国の由緒ある子爵家の名前よ」
「はあああ? あなた子爵令嬢風情がこの侯爵令嬢の私に逆らううっていうの? 例え帝国貴族と言えども許されないわ」
「馬鹿ね。誰が令嬢だって言ったの?」
「えっ?」
「私本人が子爵なのよ」
マチルダは爆弾を落とした。
「あなただってまだ若いし」
「ふんっ、若くても有能な者は帝国では若くから爵位を賜るのよ」
マチルダは優越感にしたって言った。
「それに比べてあなたの爵位は何」
「えっ、私は侯爵家の」
「それはあなたのお父様でしょ。あなた自身はあるの」
「……」
「ふんっ、侯爵令嬢って言うけれど、何もなければ私からしたら無位無官の平民とおんなじだわ」
「な、何ですって」
「だってそうでしょ。親の爵位自慢するってスネカジリの青臭い子供でしかないじゃない」
マチルダは完全にローズを言い負かしたのだ。
ハンカチを噛んでローズが耐える。
「それに、あなた、人前でこの子に婚約者を寝取られたなんて話して恥ずかしくないの?」
「な、何ですって」
きっとしてローズはマチルダに掴みかかりそうになった。
「だって、この子、どう見てもおぼこよ」
ちょっと待って、このマチルダ、何言い出すのよ! 私に向かって!
でも、更にマチルダは酷いことを言い出したのだ。
「体型は幼児体型だし、出る所は出ていないし腰も寸胴だし、顔は地味だわ。私と見比べても月とすっぽんで女の魅力なんて皆無よ」
このへぼマチルダ、事実だけど、なんてこと言ってくれるのよ! めちゃくちゃむかつくんだけど……
「そんな子に婚約者を寝取られたなんて、恥ずかしくて事実だったら私は首をくくっているわ」
強烈な嫌味にローズはあいた口がふさがらなかった。
周りの皆も私とローズを比べている。
そして、皆残念な者のようにローズを見るんだけど。
「あんたが余程酷いいじめをしていて、婚約者がこの子に同情してしまったんじゃないの?」
「そんな訳ないでしょ」
ローズは言い訳した。
「ふんっ、虐めている本人はいつもそういうのよ。あなたの我儘はこの国でも有名よ」
どう見てもこのマチルダの方が我儘そうなんだけど……でもこの視線、この態度、どこか知っている人間ととても似ているんだけど。
「何ですって!」
「ほら、あなたも言いなさい。どんないじめを受けていたの」
マチルダは怒り狂っているローズを無視して私を見た。
「いえ、それは」
私は思わず口ごもってしまった。だってこんなところで正直に言えるわけ無いじゃない。
「大丈夫よ。パティ、正直にこのお姉さんに話してごらん。この女の魅力があなた以下だと自慢している残念なローズからはどんな事があっても守ってあげるわ。前世みたいに」
「えっ?」
最後に私は不吉な言葉を聞いたような気がした。
「どのみち、全ての掃除を一人でさせられたとか、婚約者が余計な事を言いそうだったから、黙れって目で合図したら、流し目をしたと勘違いされたんでしょう」
「何故それを」
私は驚いてマチルダを見た。
「そんなの判るわよ。あなたとは長い付き合いなんだから」
いや、私はこんな威張った態度の貴族は知らない。
それに本人が帝国の子爵だということは親はもっと偉い人だ。絶対に関わりたくない。
でも、私の意志はまたしても無視されてしまったのだ。
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今世でも、強烈な町田さんは健在でした。
この後パテ位の運命や如何に?
ここから学園恋愛編のはずです。
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