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独立派視点 憎っき侯爵家の子供たちを攫う事にしました
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俺はデービー、とある元貴族の末裔だ。
我がリーズ王国は50年前の帝国との戦いで敗れて帝国の属国になってしまった。その時に王家に忠誠を誓っていた我が家は取り潰しになったのだ。王家もその時の陛下の一族が監禁されて、帝国に裏切った陛下の甥が国王になった。
そして、この国はいびつな王家になったのだ。
我等は陛下の血をひいた殿下を旗印に、このリーズ王国を正統派に戻し、再び独立国家とするために日々働いているのだ。
まあ、もっとも我ら二世は父らに比べればその意識は薄いが。
50年も経つと皆感覚が麻痺するのだ。
帝国の属国になってからは、それまで戦争三昧だった我が国も戦が少なくなって、帝国に払う分の賦課金の税金は少し増えたかもしれないが平和になったのだ。庶民の暮らしも変わらない。戦いに行かされることが減って、却って楽になったと捉える庶民も多いだろう。
正当な俺らの行いも、時が経つに連れて、貴族を誘拐して身代金を盗ったり、盗賊になったりと犯罪行為が多くなっていた。
大義の前の小事だと皆言うが、犯罪には変わりないんじゃないかと俺は思う。
その最近の俺の任務は王家を裏切ったアープロース侯爵家に入り込んで、工作することだった。
家名を偽って豪商の息子デービーとして執事として入り込んだのだ。
屋敷の中は平和ボケしたのか、調べ放題だった。アーブロース家は防諜活動が全然できていなかった、
騎士も秩序も何もなく、訓練中でも精細に欠いて、こんなので騎士と言えるのかと俺は疑問だった。
外への連絡は通いの庭師ケントがしてくれた。
そして、俺はローズお嬢様の侍女から婚約者のパーマン侯爵家の息子と一緒にお忍びで街に出る情報を掴んだのだ。パーマン家は元伯爵家で今の国王家と組んで我が国を裏切って出世した者だ。さすがに防諜機能もきっちりとしていて、我らが手の者もなかなか入り込めていないのが現状だった。
そのパーマン家に対して、ついに、鉄槌が下せる時が来たのだ。
俺は連絡のために、いつものように使われていない食糧庫に来たのだ。
俺たちの話し合いの時にあまり人が寄って来ないように、幽霊の話まででっち上げたのだ。
近付くものはいないだろうと。
でも、いつも開いているのに、何故か食糧庫に鍵がかかっていた。
そして、扉の隙間から光が見えたのだ。
「おかしいな?」
俺は入り口で出会ったケントと顔を見合わせたが、仕方がない。奥の手だ。
ヘアピンをカギ穴に差し込むとガチャガチャやった。
鍵はあっという間に開いたのだが、中に入るとランプは付いていなかった。
「変だな。ランプがついてると思ったんだが」
「でも、鍵がかかっていたんだ。誰もいないだろう」
ケントの声に俺も頷いた。
こんなところにお嬢様のいたずらで閉じ込められた奴がいるなんて思ってもいなかったのだ。
俺がお忍びの件を話すとと、
「判った。これはチャンスだな。街のアジトにその二人を連れ込めればこっちのもんだ」
ケントは喜んだ。
まあ、パーマン家から付いてくる警護がネックだが、こちらの方が人数は多いはずだ。なんとかなるだろう。
俺もその時はそう思っていたのだ。
そんな時だ。急にランプが点滅はじめた。
「ナ、何だ?」
俺たちは慌てて周りを見た。
しかし次の瞬間真っ暗になったのだ。
「えっ?」
俺たちは慌てた。
何か生暖かい風が吹いてくるんだけど……
元々お化けの情報はこちらが流したのだ。お化けなんている訳はない。
俺がそう言おうとした時だ。
薄闇に何か見えたのだ。
それはゆっくりとこちらに歩いてくる。
そこにはなんと、巨大なドラゴンの顔があったのだ。
「ぎゃーーーー」
「出た!」
俺たちは後ろも見ずに飛び出したのだ。
「はあ、はあ」
庭に飛び出した俺たちは後ろを振り向いた。
何も追いかけてこなかった。
俺たちはホッとしてその場に膝をついた。
息が荒い。
「おい、今の見たか」
「ああ、ドラゴンの生首がいた」
「でも、そんなのがあり得るか」
「そうだよな」
「おかしいよな。目の錯覚じゃないか」
そうだ。ドラゴンがいたのなら今頃屋敷で大暴れしているはずだ。
俺たちはもう一度戻ってみたがそこには何もなかった。代わりに砂糖の袋を漁った跡があったのだ。
「ちっ、猫か何かと間違えたんだな」
「そうみたいだ」
俺たちはいささか恥ずかしかったのか、すぐに別れた。
しかしだ、そこに女がいて俺たちの話を聞いていたのだ。
翌朝、その当のローズお嬢様らがいつもイジメている侍女の前で教えてくれたのだ。
やばい、バレたか?
俺は一瞬女を消そうと思った。
でも考えたらこのパなんちゃらの侍女はいつもお嬢様らに虐められている。
多少は恨みに思っているはずだ。
これはなんとかなるかもしれない。俺は思い返したのだ。
「黙っていたらオレたちが仕返ししてやる」と言えば、この女は頷いてくれたのだ。
「おいおい、良いのかよ」
ケントが聞いてきた。
「なあに、少しの間はこちらの味方になってくれるだろう。いざとなったらその女が恨みで破落戸を雇ってやつたことにすれば良いのさ」
俺は笑って言ってやったのだ。
「なるほど、その手があったか」
ケントは単純に笑ってくれた。
「これで細工は万全だ」
俺たち二人は笑い合ったのだった。
********************************************************
お待たせしました。明朝決行です。
果たしてパティの運命や如何に?
我がリーズ王国は50年前の帝国との戦いで敗れて帝国の属国になってしまった。その時に王家に忠誠を誓っていた我が家は取り潰しになったのだ。王家もその時の陛下の一族が監禁されて、帝国に裏切った陛下の甥が国王になった。
そして、この国はいびつな王家になったのだ。
我等は陛下の血をひいた殿下を旗印に、このリーズ王国を正統派に戻し、再び独立国家とするために日々働いているのだ。
まあ、もっとも我ら二世は父らに比べればその意識は薄いが。
50年も経つと皆感覚が麻痺するのだ。
帝国の属国になってからは、それまで戦争三昧だった我が国も戦が少なくなって、帝国に払う分の賦課金の税金は少し増えたかもしれないが平和になったのだ。庶民の暮らしも変わらない。戦いに行かされることが減って、却って楽になったと捉える庶民も多いだろう。
正当な俺らの行いも、時が経つに連れて、貴族を誘拐して身代金を盗ったり、盗賊になったりと犯罪行為が多くなっていた。
大義の前の小事だと皆言うが、犯罪には変わりないんじゃないかと俺は思う。
その最近の俺の任務は王家を裏切ったアープロース侯爵家に入り込んで、工作することだった。
家名を偽って豪商の息子デービーとして執事として入り込んだのだ。
屋敷の中は平和ボケしたのか、調べ放題だった。アーブロース家は防諜活動が全然できていなかった、
騎士も秩序も何もなく、訓練中でも精細に欠いて、こんなので騎士と言えるのかと俺は疑問だった。
外への連絡は通いの庭師ケントがしてくれた。
そして、俺はローズお嬢様の侍女から婚約者のパーマン侯爵家の息子と一緒にお忍びで街に出る情報を掴んだのだ。パーマン家は元伯爵家で今の国王家と組んで我が国を裏切って出世した者だ。さすがに防諜機能もきっちりとしていて、我らが手の者もなかなか入り込めていないのが現状だった。
そのパーマン家に対して、ついに、鉄槌が下せる時が来たのだ。
俺は連絡のために、いつものように使われていない食糧庫に来たのだ。
俺たちの話し合いの時にあまり人が寄って来ないように、幽霊の話まででっち上げたのだ。
近付くものはいないだろうと。
でも、いつも開いているのに、何故か食糧庫に鍵がかかっていた。
そして、扉の隙間から光が見えたのだ。
「おかしいな?」
俺は入り口で出会ったケントと顔を見合わせたが、仕方がない。奥の手だ。
ヘアピンをカギ穴に差し込むとガチャガチャやった。
鍵はあっという間に開いたのだが、中に入るとランプは付いていなかった。
「変だな。ランプがついてると思ったんだが」
「でも、鍵がかかっていたんだ。誰もいないだろう」
ケントの声に俺も頷いた。
こんなところにお嬢様のいたずらで閉じ込められた奴がいるなんて思ってもいなかったのだ。
俺がお忍びの件を話すとと、
「判った。これはチャンスだな。街のアジトにその二人を連れ込めればこっちのもんだ」
ケントは喜んだ。
まあ、パーマン家から付いてくる警護がネックだが、こちらの方が人数は多いはずだ。なんとかなるだろう。
俺もその時はそう思っていたのだ。
そんな時だ。急にランプが点滅はじめた。
「ナ、何だ?」
俺たちは慌てて周りを見た。
しかし次の瞬間真っ暗になったのだ。
「えっ?」
俺たちは慌てた。
何か生暖かい風が吹いてくるんだけど……
元々お化けの情報はこちらが流したのだ。お化けなんている訳はない。
俺がそう言おうとした時だ。
薄闇に何か見えたのだ。
それはゆっくりとこちらに歩いてくる。
そこにはなんと、巨大なドラゴンの顔があったのだ。
「ぎゃーーーー」
「出た!」
俺たちは後ろも見ずに飛び出したのだ。
「はあ、はあ」
庭に飛び出した俺たちは後ろを振り向いた。
何も追いかけてこなかった。
俺たちはホッとしてその場に膝をついた。
息が荒い。
「おい、今の見たか」
「ああ、ドラゴンの生首がいた」
「でも、そんなのがあり得るか」
「そうだよな」
「おかしいよな。目の錯覚じゃないか」
そうだ。ドラゴンがいたのなら今頃屋敷で大暴れしているはずだ。
俺たちはもう一度戻ってみたがそこには何もなかった。代わりに砂糖の袋を漁った跡があったのだ。
「ちっ、猫か何かと間違えたんだな」
「そうみたいだ」
俺たちはいささか恥ずかしかったのか、すぐに別れた。
しかしだ、そこに女がいて俺たちの話を聞いていたのだ。
翌朝、その当のローズお嬢様らがいつもイジメている侍女の前で教えてくれたのだ。
やばい、バレたか?
俺は一瞬女を消そうと思った。
でも考えたらこのパなんちゃらの侍女はいつもお嬢様らに虐められている。
多少は恨みに思っているはずだ。
これはなんとかなるかもしれない。俺は思い返したのだ。
「黙っていたらオレたちが仕返ししてやる」と言えば、この女は頷いてくれたのだ。
「おいおい、良いのかよ」
ケントが聞いてきた。
「なあに、少しの間はこちらの味方になってくれるだろう。いざとなったらその女が恨みで破落戸を雇ってやつたことにすれば良いのさ」
俺は笑って言ってやったのだ。
「なるほど、その手があったか」
ケントは単純に笑ってくれた。
「これで細工は万全だ」
俺たち二人は笑い合ったのだった。
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お待たせしました。明朝決行です。
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