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王太子殿下が魔王に攻撃されました
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次の日、学園は大騒ぎになっていた。
何でも南に100キロくらい下ったところにあるアシュバートン伯爵領に魔物が大発生したのだとか。
「大丈夫かな」
私がマリアンに聞くと
「騎士団が討伐に向かったみたいだからなんとかなると思うわ」
マリアンが答えてくれた。
「一応騎士団にも多くの治療師が同行したから大丈夫よ」
マリアンが不安がる私を安心させるために言ってくれた。
まあ、私が心配しても仕方がないだろう。私はそう思うことにした。
付近に家のあるものは結構心配していたが、幸いなことにというか、このクラスにはその辺りの出身者はいなかった。
「あの辺り、穀物地帯なのよね。父さんがきっと穀物買い占めに走っているわ」
「あんたとこも? 私の所も絶対にやっているわよ」
ローズとクラリッサの店はこういう時でも必死に儲けようとしているらしい。
「何か商会って、人の不孝を儲けにするんなだな」
ピーターがボソリと言った。
「えっ」
「いや、そう言うわけではないと思うのだけど」
ローズとクラリッサはピーターの言葉に居心地の悪そうな表情をした。
「でも、商会は何かに失敗したら破産するしか無いからいつも必死なのよ」
「そ、そうよ。私達はいつも破産と隣り合わせだから」
ローズとクラリッサが必死に言い訳を始めた。
「まあ、商会も大変なのよね。でも、人の大変な時に儲けのことしか考えないって、余程図太くないとやっていけないのね」
私がボソリと言ってしまった。
「え、それは」
一瞬、ローズが青くなったが、
「でも、エレに図太さの点でとやかく言われたくないわよ」
「そうよ。エレにだけは言われたくない」
ローズとクラリッサが反論してきた。
「えっ、何でよ。そんな訳無いわよ、ね、みんな!」
私が周り見たけど誰も頷いてくれなかった。
何でかな・・・・納得いかない。
私達はワイワイ話しながら中庭を食堂に向かっていた。
「あっ、殿下よ」
目ざとくローズが私の王太子殿下を見つけた。
いつ見ても格好良い。でも最近は心が少し痛む。マリアンは私が殿下の想い人だって言うけれど、絶対に美化しているだけだし・・・・
「なんか、モモンガさんがくっついているけど」
ローズの険のある言い方に、よく見ると、王太子殿下にすがりついて何か言っているモモンガがいた。
「殿下。魔物が発生したみたいで、私怖いんです」
モモンガが殿下にまとわりつく。
こいつ本当にムカつく。
私ががムッとした時だ。
私は首の後にチリチリした感じがした。
えっ、この感じ、はるか昔に感じた感じだ。
何かめちゃくちゃ不吉な予感がする。
私は周りを見渡すと、男が一人、私達の反対側から二人に近づいて来るのが見えた。
「えっ、あの男って」
そう、確か、モモンガの元彼氏で、伯爵令息に殴られた相手でもあり、確かその前にモモンガに掴みかかったとかで解雇されていたはずだった。
何故その彼がここにいる?
そして、彼からはとても禍々しい瘴気が発せられていた。この禍々しい感じは、はるか昔感じた事がある。私は恐怖で固まってしまった。
嘘? この感じは魔王だ・・・・
「ルイーズ」
男はモモンガに声をかけた。
「あんた、何故ここにいるのよ。学園を解雇されたはずよ」
振り返ったモモンガは驚いて叫んでいた。
「お前、また他の男に言い寄っているのか」
男は怒気を発していた。二人に近づこうとする。
「おい、お前、それ以上殿下に近寄るな」
側近のテディが男と二人の間に入る。
しかし、次の一瞬でテディは吹っ飛ばされていた。
「キャーーー」
モモンガが悲鳴を上げる。
殿下がモモンガを庇おうとした。いや止めて、そんな奴庇うより逃げて。私が思ったときだ。
王太子殿下を男が闇の魔術で攻撃したのだ。
王太子殿下は一瞬で血まみれになって弾き飛ばされていた。
**********************************************
どうなる王太子?
次話更新は明朝予定しています。
何でも南に100キロくらい下ったところにあるアシュバートン伯爵領に魔物が大発生したのだとか。
「大丈夫かな」
私がマリアンに聞くと
「騎士団が討伐に向かったみたいだからなんとかなると思うわ」
マリアンが答えてくれた。
「一応騎士団にも多くの治療師が同行したから大丈夫よ」
マリアンが不安がる私を安心させるために言ってくれた。
まあ、私が心配しても仕方がないだろう。私はそう思うことにした。
付近に家のあるものは結構心配していたが、幸いなことにというか、このクラスにはその辺りの出身者はいなかった。
「あの辺り、穀物地帯なのよね。父さんがきっと穀物買い占めに走っているわ」
「あんたとこも? 私の所も絶対にやっているわよ」
ローズとクラリッサの店はこういう時でも必死に儲けようとしているらしい。
「何か商会って、人の不孝を儲けにするんなだな」
ピーターがボソリと言った。
「えっ」
「いや、そう言うわけではないと思うのだけど」
ローズとクラリッサはピーターの言葉に居心地の悪そうな表情をした。
「でも、商会は何かに失敗したら破産するしか無いからいつも必死なのよ」
「そ、そうよ。私達はいつも破産と隣り合わせだから」
ローズとクラリッサが必死に言い訳を始めた。
「まあ、商会も大変なのよね。でも、人の大変な時に儲けのことしか考えないって、余程図太くないとやっていけないのね」
私がボソリと言ってしまった。
「え、それは」
一瞬、ローズが青くなったが、
「でも、エレに図太さの点でとやかく言われたくないわよ」
「そうよ。エレにだけは言われたくない」
ローズとクラリッサが反論してきた。
「えっ、何でよ。そんな訳無いわよ、ね、みんな!」
私が周り見たけど誰も頷いてくれなかった。
何でかな・・・・納得いかない。
私達はワイワイ話しながら中庭を食堂に向かっていた。
「あっ、殿下よ」
目ざとくローズが私の王太子殿下を見つけた。
いつ見ても格好良い。でも最近は心が少し痛む。マリアンは私が殿下の想い人だって言うけれど、絶対に美化しているだけだし・・・・
「なんか、モモンガさんがくっついているけど」
ローズの険のある言い方に、よく見ると、王太子殿下にすがりついて何か言っているモモンガがいた。
「殿下。魔物が発生したみたいで、私怖いんです」
モモンガが殿下にまとわりつく。
こいつ本当にムカつく。
私ががムッとした時だ。
私は首の後にチリチリした感じがした。
えっ、この感じ、はるか昔に感じた感じだ。
何かめちゃくちゃ不吉な予感がする。
私は周りを見渡すと、男が一人、私達の反対側から二人に近づいて来るのが見えた。
「えっ、あの男って」
そう、確か、モモンガの元彼氏で、伯爵令息に殴られた相手でもあり、確かその前にモモンガに掴みかかったとかで解雇されていたはずだった。
何故その彼がここにいる?
そして、彼からはとても禍々しい瘴気が発せられていた。この禍々しい感じは、はるか昔感じた事がある。私は恐怖で固まってしまった。
嘘? この感じは魔王だ・・・・
「ルイーズ」
男はモモンガに声をかけた。
「あんた、何故ここにいるのよ。学園を解雇されたはずよ」
振り返ったモモンガは驚いて叫んでいた。
「お前、また他の男に言い寄っているのか」
男は怒気を発していた。二人に近づこうとする。
「おい、お前、それ以上殿下に近寄るな」
側近のテディが男と二人の間に入る。
しかし、次の一瞬でテディは吹っ飛ばされていた。
「キャーーー」
モモンガが悲鳴を上げる。
殿下がモモンガを庇おうとした。いや止めて、そんな奴庇うより逃げて。私が思ったときだ。
王太子殿下を男が闇の魔術で攻撃したのだ。
王太子殿下は一瞬で血まみれになって弾き飛ばされていた。
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どうなる王太子?
次話更新は明朝予定しています。
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