40 / 51
王太子殿下とのデートについてうじうじ悩みました
しおりを挟む
その夜、私達はマリアンの屋敷に帰ったのだが、マリアンが王太子殿下とのデートの約束を取り付けてくれた事で私は頭の中がパンクしていた。
なにしろ、あの憧れの王太子殿下とのデートなのだ。
私の命の恩人とのデート。一緒に食事した、マリアンが一緒だったけど、だけでも奇跡だったのだ。
それも一度ならず数回している。
そのうえ今度は一緒にカフェに行ってデートなんて、そんな事が許されて良いのだろうか?。
「良いこと。あなた達のためにお兄様とのデートセッティングしてあげたんだから、感謝してよね」
「別に頼んでないわよ」
私が言い訳した。
「えっ、あんた判っていないの? お兄様は本当に人気あるのよ。私、王宮にいるときに何度周りから頼まれたことか。それが面倒だからこの屋敷に戻ってきたというのもあるのよ。今まで一度もセッティングしたことなかったデートを、私の親友のためにセッティングしてあげたんだから」
「えっ、マリアン、私のこと親友だと思ってくれているの」
「あんたそこ、感激するところ」
「と言うか、天涯孤独な私にとってその言葉とても嬉しい」
私は涙目になって言った。
「いや、あま、そうなんだど、じゃあ、親友のお願い聞いてくれるよね」
「いや、でも、王太子殿下となんてとても」
私が躊躇すると
「何言っているのよ。お兄様はあれだけ言い寄られてまだデートしたこと無いのよ」
「うそ!」
私は信じられなかった。何しろ王太子殿下はイケメンだし、優しいし、頼りになるし、本当に良い方なのだ。
「本当よ。今までどんなに頼まれても、お父様から命令されても、断っていたのよ。どこにいるかわからない、昔助けられた女の子に操を立てるために」
「えっ、それ本当に本当のことなの」
「私と一緒にカフェに行ったことはあるけど、肉親以外では無いはずよ。食事も女性と二人で取ったことのあるのは王妃様か私だけで、肉親以外ではないはずよ」
あの麗しの殿下が女の子とデートしたこともないなんて信じられなかった。
「じゃあ、その子に操立てているのに、私なんかとデートしてもいいの?」
そう言う私をマリアンは本当に残念なものでも見るように見ていた。何故?
「だってどこの誰かも判らないのよ。生きているかどうかも定かでないし」
何故かじっと意味ありげな顔でマリアンは私を見つめていた。
「でも、その子の事を思っていらっしゃるなら私とデートなんて」
私が言うと
「何言ってんのよ。お兄様も今、いろいろと陛下とか王妃様から言われているのよ。女の子とデートしたってなれば少しくらいその圧力が弱まるから、お兄様にとってもプラスなのよ。それにどうやら、エレはその本人みたいだし」
私はエレの最後の言葉はよく聞こえていなかった。
「それに、王太子殿下の初デートが私なんて」
「あんただから良いんじゃない。周りからブス眼鏡と言われている平民の女の子と二人きりでデート、ブス眼鏡と呼ばれて虐められている女の子の、昔からの憧れをかなえられるお優しい王太子殿下、ということで王族のイメージアップに繋がるのよ」
「うーん、何かそれだけ聞くと利用されているだけの気がするんだけど」
「そうでしょ。だから大したこと無いから楽しんでいらっしゃい」
マリアンはそう言ってくれるけど、あの王太子殿下とデートなんて無理・・・・
「いや、でもやっぱり・・・」
「ああん、本当にウジウジウジ、あんたらしくない。いい加減にしなさい。それとも何。あのモモンガに先越されていいと思うの?」
「それは嫌だけど」
そうだ、モモンガに先越されるのだけは嫌だ。
「あの子も聖女候補なのよ。あんたが隠れているから。あんたが聖女だって告白すれば全て丸く収まるけどそれは嫌なんでしょ」
私は頷いた。どう丸く収まるか聞いてみたい気もしたけれど・・・・。魔王に殺されるのは嫌だ。
「王太子のお相手が聖女でも問題ないわけよ。お兄様のお相手があのモモンガになる可能性もあるわけ。あんたそれでいいの?」
「良い訳無いじゃ無い」
私ははっきりと言った。
「じゃあ良いじゃない」
マリアンが言い切ってくれた。
「あんた一生独身でいると決めているかもしれないけど、一生に一度くらいデートしても良いと思わないの。それもそのお相手はあんたの大好きな王太子殿下よ」
「そらあ、そうだけど、王太子殿下とお話できる気がしないんだけど・・・・」
私が言うと、
「本当にあんた変よね。陛下とも普通に話せたのに、お兄様だけが駄目って、カカシと思って話せば良いんじゃない。そうか、黙っているつもりで、いつものように心の声をダダ漏れさせれば丁度いいかも」
何かマリアンにめちゃくちゃ言われているんだけど。
確かに、王太子殿下といるだけで緊張してしまって全然話せないだけど。王太子殿下をカカシと思えって、それ絶対に無理だし、黙っているつもりで心の声ダダ漏れって、まあ、確かにその方がまだ可能性はあるかもしれない。でも、それはデートでやることか。それも、もう絶対に二度と出来ないことだ。
あのあこがれの王太子殿下とデートなんて・・・・夢にまで見た殿下とデート・・・・
ああああああ!もう絶対に無理!
私は頭を抱えて真っ赤になってしまった。
「まあ、食い意地の張ったあんたのことだから、チョコレートパフェ見て食べれないってことはありえないけど」
私はマリアンの言葉もよく聞いていなかった。
その夜は緊張して全然寝れなかったのだ。
なにしろ、あの憧れの王太子殿下とのデートなのだ。
私の命の恩人とのデート。一緒に食事した、マリアンが一緒だったけど、だけでも奇跡だったのだ。
それも一度ならず数回している。
そのうえ今度は一緒にカフェに行ってデートなんて、そんな事が許されて良いのだろうか?。
「良いこと。あなた達のためにお兄様とのデートセッティングしてあげたんだから、感謝してよね」
「別に頼んでないわよ」
私が言い訳した。
「えっ、あんた判っていないの? お兄様は本当に人気あるのよ。私、王宮にいるときに何度周りから頼まれたことか。それが面倒だからこの屋敷に戻ってきたというのもあるのよ。今まで一度もセッティングしたことなかったデートを、私の親友のためにセッティングしてあげたんだから」
「えっ、マリアン、私のこと親友だと思ってくれているの」
「あんたそこ、感激するところ」
「と言うか、天涯孤独な私にとってその言葉とても嬉しい」
私は涙目になって言った。
「いや、あま、そうなんだど、じゃあ、親友のお願い聞いてくれるよね」
「いや、でも、王太子殿下となんてとても」
私が躊躇すると
「何言っているのよ。お兄様はあれだけ言い寄られてまだデートしたこと無いのよ」
「うそ!」
私は信じられなかった。何しろ王太子殿下はイケメンだし、優しいし、頼りになるし、本当に良い方なのだ。
「本当よ。今までどんなに頼まれても、お父様から命令されても、断っていたのよ。どこにいるかわからない、昔助けられた女の子に操を立てるために」
「えっ、それ本当に本当のことなの」
「私と一緒にカフェに行ったことはあるけど、肉親以外では無いはずよ。食事も女性と二人で取ったことのあるのは王妃様か私だけで、肉親以外ではないはずよ」
あの麗しの殿下が女の子とデートしたこともないなんて信じられなかった。
「じゃあ、その子に操立てているのに、私なんかとデートしてもいいの?」
そう言う私をマリアンは本当に残念なものでも見るように見ていた。何故?
「だってどこの誰かも判らないのよ。生きているかどうかも定かでないし」
何故かじっと意味ありげな顔でマリアンは私を見つめていた。
「でも、その子の事を思っていらっしゃるなら私とデートなんて」
私が言うと
「何言ってんのよ。お兄様も今、いろいろと陛下とか王妃様から言われているのよ。女の子とデートしたってなれば少しくらいその圧力が弱まるから、お兄様にとってもプラスなのよ。それにどうやら、エレはその本人みたいだし」
私はエレの最後の言葉はよく聞こえていなかった。
「それに、王太子殿下の初デートが私なんて」
「あんただから良いんじゃない。周りからブス眼鏡と言われている平民の女の子と二人きりでデート、ブス眼鏡と呼ばれて虐められている女の子の、昔からの憧れをかなえられるお優しい王太子殿下、ということで王族のイメージアップに繋がるのよ」
「うーん、何かそれだけ聞くと利用されているだけの気がするんだけど」
「そうでしょ。だから大したこと無いから楽しんでいらっしゃい」
マリアンはそう言ってくれるけど、あの王太子殿下とデートなんて無理・・・・
「いや、でもやっぱり・・・」
「ああん、本当にウジウジウジ、あんたらしくない。いい加減にしなさい。それとも何。あのモモンガに先越されていいと思うの?」
「それは嫌だけど」
そうだ、モモンガに先越されるのだけは嫌だ。
「あの子も聖女候補なのよ。あんたが隠れているから。あんたが聖女だって告白すれば全て丸く収まるけどそれは嫌なんでしょ」
私は頷いた。どう丸く収まるか聞いてみたい気もしたけれど・・・・。魔王に殺されるのは嫌だ。
「王太子のお相手が聖女でも問題ないわけよ。お兄様のお相手があのモモンガになる可能性もあるわけ。あんたそれでいいの?」
「良い訳無いじゃ無い」
私ははっきりと言った。
「じゃあ良いじゃない」
マリアンが言い切ってくれた。
「あんた一生独身でいると決めているかもしれないけど、一生に一度くらいデートしても良いと思わないの。それもそのお相手はあんたの大好きな王太子殿下よ」
「そらあ、そうだけど、王太子殿下とお話できる気がしないんだけど・・・・」
私が言うと、
「本当にあんた変よね。陛下とも普通に話せたのに、お兄様だけが駄目って、カカシと思って話せば良いんじゃない。そうか、黙っているつもりで、いつものように心の声をダダ漏れさせれば丁度いいかも」
何かマリアンにめちゃくちゃ言われているんだけど。
確かに、王太子殿下といるだけで緊張してしまって全然話せないだけど。王太子殿下をカカシと思えって、それ絶対に無理だし、黙っているつもりで心の声ダダ漏れって、まあ、確かにその方がまだ可能性はあるかもしれない。でも、それはデートでやることか。それも、もう絶対に二度と出来ないことだ。
あのあこがれの王太子殿下とデートなんて・・・・夢にまで見た殿下とデート・・・・
ああああああ!もう絶対に無理!
私は頭を抱えて真っ赤になってしまった。
「まあ、食い意地の張ったあんたのことだから、チョコレートパフェ見て食べれないってことはありえないけど」
私はマリアンの言葉もよく聞いていなかった。
その夜は緊張して全然寝れなかったのだ。
10
お気に入りに追加
1,024
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~
待鳥園子
恋愛
若き侯爵ジョサイアは結婚式直前、愛し合っていたはずの婚約者に駆け落ちされてしまった。
急遽の結婚相手にと縁談がきた伯爵令嬢レニエラは、以前夜会中に婚約破棄されてしまった曰く付きの令嬢として知られていた。
間に合わせで自分と結婚することになった彼に同情したレニエラは「私を愛して欲しいなどと、大それたことは望んでおりません」とキッパリと宣言。
元々結婚せずに一人生きていくため実業家になろうとしていたので、これは一年間だけの契約結婚にしようとジョサイアに持ち掛ける。
愛していないはずの契約妻なのに、異様な熱量でレニエラを大事にしてくれる夫ジョサイア。それは、彼の元婚約者が何かおかしかったのではないかと、次第にレニエラは疑い出すのだが……。
また傷付くのが怖くて先回りして強がりを言ってしまう意地っ張り妻が、元婚約者に妙な常識を植え付けられ愛し方が完全におかしい夫に溺愛される物語。
え?私、悪役令嬢だったんですか?まったく知りませんでした。
ゆずこしょう
恋愛
貴族院を歩いていると最近、遠くからひそひそ話す声が聞こえる。
ーーー「あの方が、まさか教科書を隠すなんて...」
ーーー「あの方が、ドロシー様のドレスを切り裂いたそうよ。」
ーーー「あの方が、足を引っかけたんですって。」
聞こえてくる声は今日もあの方のお話。
「あの方は今日も暇なのねぇ」そう思いながら今日も勉学、執務をこなすパトリシア・ジェード(16)
自分が噂のネタになっているなんてことは全く気付かず今日もいつも通りの生活をおくる。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい
三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。
そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる