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プロローグ2 魔王視点 ガキ聖女にこてんぱんにやられました

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プロローグ2話目なんてあり・・・・すいません。
次に主人公登場です。
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俺様は魔王様だ。

世界に冠たる悪の大権化だ。


人間どもの醜い心を利用し、悪の限りを尽くして、最後に吸収して自らの糧とするのだ。

俺様が体現するまでは、地道な努力をする必要がある。

これが手間なのだが、これを怠ると碌なことがないのだ。

まず、醜い心をもった奴を見つけ出す。どす黒い心が黒ければ黒いほど、思いが強ければ強いほど、良いのだ。

そして、どす黒い心を最大まで焚き付けて、そのものの心をどす黒い思い一色にして俺様が体現するのだ。

その時のどす黒い気持ちが強ければ強いほど俺様の力は強くなる。

うまく行けば、1つの国くらい瞬間で破壊できるだけの力を得られるのだ。

そして巨大な力になったところで世界征服をすれば万々歳だ。

俺様が世界を恐怖で支配するのだ。これほど楽しいものはない。



しかし、地道な努力を怠ると、俺様が体現したとて失敗することになる。

楽しようとすると碌な事がないのだ。

この時も俺様は、ちょっと手抜きをしてしまったのだ。

王都にて冴えない平民の男を見つけた。

この男は貴族の令嬢に懸想をしていたのだ。

何でも学園で一緒だったらしい。皆平等という、学園の嘘に騙されたのだ。本当にこいつは馬鹿だ。皆平等ならばそもそも身分社会なんてある訳はないではないか。そんな子供でも判ることがこの男には判っていなかったのだ。

まあ、俺様がこの男の心に少し働きかけてやったことも原因の一つだが・・・・・

「学園皆平等で、成績優秀なお前ならば、釣り合うぞ」
と、嘘八百だ。

こんな手で引っかかるわけはないと思っていたのに、あっさりと引っかかってくれたのだ。



嘘・・・・

こんな単純な手で引っかかるなんて。

だが、この時にこんな単純な馬鹿に憑依するのは止めておけば良かったのだ。

こんな単細胞が魔王の依代としてうまくいくわけないのだ。

俺様も千年ぶりの地上の空気に浮かれていたのだ。

この男はストーカーまがいのことをして令嬢につきまとった。

うまくいくわけはない。当然の結果として令嬢の婚約者である騎士にこてんぱんにやられたのだ。

ボロボロになって帰ってきた男に俺様は囁いたのだ。


「力を貸してやろうか」と。



男が断るわけはなかった。

元々この男には魔導師の素質があった。

そう闇の魔術の。



そして、令嬢と令嬢の騎士がデートしているところを襲わせたのだ。

カフェとかいう、多くの人間がカップルで利用している場所で。

醜いどす黒い恩讐の塊の男は、想い人の騎士をまず肉片に変えた。

「キャーーー」
想い人が悲鳴を上げる。

次の瞬間には想い人も肉片と変えていた。

このときにはもう男にはどす黒い力はコントロール不能になっていた。

逃げ惑う客やウェイトレスを片っ端から肉片に変えるのに、そんなに時間がかからなかった。



よし、出だしは順調だ。

俺様は喜んだ。

しかしだ。そこにあのガキが駆けてきたのだ。7歳位の女のガキだった。

ガキが何しに来たと、乗っ取った男に闇魔術を発動させた。


しかし、そのガキは
「ヒール」
と叫びやがった。

ふんっ、ヒールかよ。ヒールくらいで俺様魔王様に叶うわけはない、ない、ないはずだ・・・・・

しかし、俺様が放った闇魔術は一瞬でそのヒールに弾き飛ばされた。

何故?ヒールに弾き飛ばされる?、癒やし魔術で闇魔術が弾けるのか?


いや、違う、これは浄化魔法だ。こいつ癒やしの魔法と浄化魔法を勘違いしていやがる。



というか、こいつ聖魔法を使う聖女だ!




俺様はいささか慌てた。

魔王とは対極の力を持つ聖魔法の使い手が聖女だ。

本来は聖魔法の使い手が近くにいないか徹底的にリサーチしてからいつもはやるのだ。

もしいれば、前もって、どんな卑怯な手を使っても始末してからしか、いつもは動かないのだ。今回はその手間を惜しんで省いていた。


「ちっ」
俺様は舌打ちした。

しかし、相手はまだガキだ。

すぐに魔力も枯渇するだろう。

そもそもこんなミニ聖女にこの魔王様が負けるわけはないのだ。

ヒールと浄化の違いがわからないようなガキにこの魔王様がやらるわけはないのだ。

俺様は闇魔法を最大値でガキに叩き込んだ。

でも、ガキはなんとまた「ヒール」
と叫びやがった。

いや、待て、それはヒールではない。

それは浄化魔法だ。

このガキ、何でもヒールとしか言わないのか。馬鹿か。

しかし、俺様の放った闇魔術はガキの放ったヒールと言うか浄化魔術に瞬時に弾き飛ばされた。

そして、そのガキは再度ヒールとのたまったのだ。

いつもだったらこんなガキにまけるわけない。

でも、その時に俺様は復活したばかりだったのだ。

力が足りない。

俺はガキの浄化魔術に弾き飛ばされた。

しばらくはショックのあまり立ち上がれなかった。

くっそう、このままやられるのか。

俺様は珍しく負けを覚悟した。

しかし、いくら待ってもガキは来ない。

何故だ?

俺が目を見開くと、なんとガキは俺様に止めを刺さずに、けが人にヒールをかけているのだ。

何故かその度に片手を上に上げて「ヒール」とのたまっているのだ。

こいつ、俺様をほっておいて他人を助けているとは良い根性していやがる。


「この野郎」
俺様は珍しくキレた。

俺はすべての力を集めて一点攻撃に出ることにした。


「喰らえ、闇の一発」
俺様魔王様は闇の一撃をそのガキに叩きつけた。

ガキは最初は、闇の一撃をモロに受けたのだ。衝撃を受けて体中ぼろぼろになったのだ。

これは行ける。と思った時だ。

「ヒール」
とまた手を上げて叫びやがった。

手を上に上げる必要があるのか。

俺様はしょうもないことを考えながら再度闇の一撃を放とうとした。

しかし、今度はそれよりも早く「ヒール」と叫ばれだのだ。

「うそーーーー」

そのヒールは俺様に直撃した。

俺様は弾き飛ばされた。

やばい、このままではやられる。

「そこのガキ、いつか必ず、この恨み必ず晴らしてやるからな」
俺はそう叫ぶと一目散で逃げ出そうとした。

でも、そんな余計なことを叫ぶ必要はなかったのだ。

その暇があれば逃げれば良かったのだ。

「くらえ、エリアヒール」
えっ、エリアヒールも使えるのか。しかし、待て、今までのがヒールだったんだから、それがもっと強いエリアヒールに代わったら。そもそもこいつのはヒールじゃなくて浄化なんじゃ・・・・
俺様はめちゃくちゃ嫌な予感がした。

次の瞬間今までの浄化魔法なんて屁みたいなすさまじい浄化魔法が俺様を襲った。

「ギャーーーーーー」
俺様はその超強力な歴代聖女の中でも最強の浄化魔法を受けて地の果てへ弾き飛ばされてしまったのだった・・・・


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