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ブルーノの息子をミニアンちゃんの弟子にすることを許さざるを得ませんでした

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「はああああ? どういう事?」
私はミニアンちゃんがブルーノの息子のオットーを弟子にしたと聞いて思わず目を剥いた。

「どうも、こうも、このオットーを弟子にしたから」
ミニアンちゃんは私の使い魔にもかかわらず、とんでもない事を言い出したんだけど。

「あなたそんな大切なことを、私に相談することもなしに勝手に決めたの?」
「だって、してくれないと自殺するって言うんだもの。仕方がないじゃない」
私が非難して言うと、言い訳がましくミニアンちゃんが答えた。

「そうか、アンは自分さえ幸せで、このオットーがブルーノのとドロテーアの息子というだけで牢に入っていなければならないというの?」
「いやそうは言わないけれど、でも、オットーはドロテーアの息子で新スカンディーナ王国の王子だったじゃない」
「そして、形式上はあなたの兄よ」
「でも、実際はブルーノの息子で」
「でも、実際はドロテーアの息子でエスカール王族の血を引いているわ」
「それはそうだけど、そこが問題なんじゃ・・・・」
「これから攻め込むエスカールの王家の血を引いているんだから、使えるわよね。イェルド」
ミニアンちゃんが言うんだけど、こいつ私の使い魔のくせにイェルド様を呼び捨てするなんて大物だ。私はとても混乱していた。

「それはそうです。オットーの行動をミニアン様が責任をもってもらうなら」
「それは当然よ。ちゃんとするわよね。オットー」
「はい。天使様のお傍に置いてもらえるなら」
殊勝にもオットーが言うんだけど。ミニアンちゃんが勝手に天使になっているし。どういうことなのだ。それは? あの傲岸不遜なオットーがとてもしおらしくなっているんだけど。何があった?


「でも待って。ミニアンちゃんの責任という事は私の責任ってことじゃないの?」
私は気付いてしまった。

「まあ、さようでございますな。ミニアン様は女王陛下の使い魔ですから、当然その責は女王陛下におありかと」
イェルド様が黒い笑みで言うんだけど。

「それは困るわよ」
「何でよ。アン。あなた、ペチャパイって言われたことを未だに根に持っているの?」
ミニアンちゃんがむっとすることを言ってくれるんだけど。
なぜかその瞬間男どもが私から距離を置くんだけど、何故?

「煩いわね。そういえばあなたはいつの間にあなたは胸が大きくなったのよ」
昔、ガープリエル様に自分の胸がないからと必要以上に胸を強調しすぎだと注意されて、確か、ミニアンちゃんの胸を私並みに小さくしたはずなのに、いつの間にか大きくなっている。

「ふんっ、元からでかいわよ。あなたと違って」
傍若無人なミニアンちゃんの発言にさらに男どもが引くんだけど・・・・。

「な、何ですって!」
私は完全に切れてしまったんだけど、

「仕方がないわね。そこのフィルにでも揉んでもらったら大きくなるわよ」
呆れたようにミニアンちゃんが言うんだけど。

「はああああ。何を言うのよ」
ミニアンちゃんの言葉に私は真っ赤になっていた。

「ねえ、フィルもそうしたいでしょ」
「えっ、いや、アンが許してくれるなら」
しどろもどろになってフィル様が言うんだけど

「良い訳ないでしょ」
私が胸を押さえて真っ赤になって、必死に反論した。
でも、心の片隅でこの胸が大きくなるならば試してみたいと思ったのは内緒だ。

「ええええ! アンったら付き合っているのに、胸さえ揉ませたことないの? 大きくなるのに」
「本当に?」
思わず聞いてしまったのは許してほしい。私の反応にみんな絶句している。

「そんな訳ないでしょ」
イングリッドが即座に突っ込んで来たんだけど

「何言っているのよ。実際にそうよ。あなたもイェルドに試してもらえばわかるわ」
「な、何を言うのよ」
イングリッドとあのイェルド様まで少し赤くなっているんだけど。もう、ミニアンちゃんの傍若無人ぶりに呆れてしまった。あのイェルド様にそれを言うか? でも、イェルド様が赤くなるなんてすごく珍しい。みんな驚いてイェルド様を見ていた。

「まあ、陛下。罪を憎んで人を憎まずという言葉もございます。エスカール併合にはオットーがいてくれた方がやりやすいですし、お許しいただければ良いのではないですか」
イェルド様は咳払いをするちと慌てて言い出したんだけど、あのイェルド様にそう言わしめたミニアンちゃんの交渉術には私は驚いた。

「まあ、イェルド様がそうおっしゃるなら」
私も認めた。これでオットーが何かしても、私が一方的に責められることは無いだろう。

イェルド様も認めた責任があるし。

でも、本当に大丈夫なんだろうか?
私はとても不安だった。

だが、何故かミニアンちゃんに心酔したオットーは、エスカール戦では大活躍するのだ。
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