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金勘定は大切だけど大変真面目に計算すると自殺するしかありえません。

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今回はお金の話です。計算嫌な方は飛ばしていただいても良いかも・・・・
基本はこの考え方ですべての物語書いています

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イェルド様の教育は地獄だった。
私も金勘定は多少は出来るが、計算はそんなに得意ではない。
なのに、なのに、死ぬほど計算させられたのだ。

これならばブルーノと対峙したほうがマシだと思ったことは内緒だ。

でも、それで判ったことがある。

この国栖カンディーナ王国の人口は1000万人。中堅国家だ。
隣国の大国と言われる私の今まで住んでいたオースティン王国は2000万人。その半分だ。

そして、その農地経営の基本は農家だ。
全人口の80%は農民だ。
800万人が農民。その一家の大黒柱の、40前後のお父さん。お母さん。
それにおじいちゃんとおばあちゃん。
子供が3人。一家は7人。
そこに居候のおじさんおばさんもいるかもしれない。
押し並べて平均は7人なんだそうだ。

そして、日本で作られたゲームだからか、主食は米だ。まあ、米のほうが耕地面積あたりの取り分が多いのだが。1アールで20キロの米が取れる。
人間1人で年間160キロの米を消費するそうだ。

8アール分だ。7人で56アール。
1ヘクタールだと半分は自家消費分だ。
江戸時代の5公5民だと、50%の税率だから、税金払ったら殆ど何も残らない。
今我々のいる地域は裕福みたいで、普通は2ヘクタール持っているそうで、5割が税金で、残りが、取り分とすると、残り100アール分。自家消費分56アールを引くと44アール。
1アール20キロで880キロ。
10キロ3千円で商人が買ってくれても、26万円くらいしか利益が出ない。
農民も大変だ。

取れ高は200アールで120万円だ。
一家7人で年収が120万円。これが普通だそうだ。

例えばムオニオ村、此度の戦いで、村長自ら身を呈してがんばってくれたので、男爵位に陞爵させた。
2000人のうち、農民が、80%で1600人。230家。
兵士の家族が14%で、280人だが、そのうち大黒柱の兵士は40人。
その他次男三男、傭兵等で40人。この中には使用人も含む。
鍛冶屋さんとかの工人と商人等が残り6%として120人。20家族だ。

税金の大半は農家だから、米が230ヘクタール分。23000アールだから460000キロ。国に2割を渡すから、残りは368000キロ。自己消費で使用人の分を280人分渡すから323200キロ。
10キロ3千円で約1億円の収入があるのだが、食料以外の給与が100万円としても80人分で、8000万円。
実質領主の手取りは2千万円。
屋敷の維持費用や馬の維持費等で1億の収入でもトントンの場合が多い。
娘の衣装なんか下手したら100万円もするものもあるし、完全に赤字になる場合もある。
飢饉なんか起こった日には援助しないと餓死者が続出して大変だ。
男爵家では中々日々の生活も大変なのだ。


次に1000人の軍を起こすと、給与として農民と同じだけ与えるとなると120万円かける1000人で
12億円。それで全ての武具、食費等は準備させると考える。

それで村1つ取れても、1億円しか儲からず、12年償却。
男爵の取り分2千万円で考えると60年償却だ。

人が死ねば、少しくらい見舞金を出さざる負えず、更に出ることになる。

今回クリスティーン様が1000人の兵士を率いてくれているが、伯爵家の規模は男爵家の25倍、5億円だ。まあ、多少なりとも足しにはなったかなと思う。それでも、全てを兵力維持に回しても過剰戦力千人分を1年間は、維持は出来ないのだ。
なおかつ、普通は1000人で伯爵領は占拠できない。伯爵家も1000人前後の戦力を抱えているのだ。
クリスティーン様ならではと言えた。

「殿下。このスカンディーナの総戦力はいくらかご存知ですか」
「さあ、考えたことなどありません」
イェルド様の言葉に私は答えた。というか、考えたくなかった。

「基本、この国の戦力は全人口の2%とすると20万人です」
「そんなにいるのですか」
私は驚いた。

「そうです。本来国攻めには倍以上の戦力がいると申します。最低でも同程度の戦力は入りましょう」
互角でも、本来は20万人の戦力がいるのだ。
「その維持にいくら掛かるかご存知ですか」
「えっと1000人の200倍。12億の200倍は2400億・・・・」
私は絶句してしまった。

2400億・・・・・

私が一生かかっても到底返せない金額だ!

そんなの無理だ。

ブルーノが本気で全軍で攻めてきたら1000人なんて一瞬で壊滅されてしまうだろう。

今はエスカール王国の対処をしているみたいだけど、それが終わってこちらに攻めてきたら、と思うとゾッとした。

「その事、くれぐれも心の片隅にお留め置きください」
イェルド様が黒いオーラ全開で話されるんだけど、そんなの到底無理だ。

この自転車操業、いつまで続けられるのか。

私は不安しか心に思い描けなかった。
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