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伯爵視点 王女を慰み者にしようと考えました

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「なんじゃと。勇者が失敗したと申すのか」
俺は家令に思わず大声を上げていた。

「はい。王女に素手で殴り飛ばされたそうでございます」
「なんと、女に殴り飛ばされるとは本当に軟弱なやつよ」
俺はつくづく呆れてしまった。



俺は反乱の起こったヴァルドネル伯爵領の隣のクイバニ伯爵だ。ヴァルドネルの馬鹿は前王妃アンネ様の遠縁とかで、密かに隣国に逃れたその娘アンネローゼを支援していたらしい。
本当に愚か者だ。

ブルーノ様が反乱を起こしてからもう15年も経っているのだ。そんな時に今更前王妃の娘を持ち出して無敵のブルーノ様に逆らって何の得があるのだ?

案の定、伯爵はブルーノ様の怒りを買って、領地は疫病を流行らされて多くの死人を出して、伯爵本人は殺された。

本当に馬鹿だ。

なのに、今度はその息子が私に話があるからと王女と一緒にやってくると言うではないか。

本当にマヌケだ。この二人をブルーノ様に差し出せば恩賞も思いのままだ。うまく行けば侯爵位に陞爵出来るかもしれない。どう考えてみても我が家が弱小反乱軍の味方するわけがないだろうが。今回の王女訪問は鴨がネギを背負ってくるようなものだ。

元王女も隣国で静かにしていれば長生きできたものを。

ヴァルドネル側からは早くもダール子爵が内応の意向を表明してきた。

王女の護衛は剣も禄に使えぬ奴らを寄越すようにしたとか言っている。

まあ、子爵の命など知ったことではないが、今後俺のために動いてくれるなら、考えておいてやろうと返事は送った。


そんな時だ。王都からブルーノ様からの使者が来たのは。

俺は丁重にお迎えすると、なんとブルーノ様は反乱軍を討伐するために、勇者と聖女を寄越してくだされたのだ。

勇者はまだ少年のようであったが、たくましい体つきをしていた。剣の腕は良いようだ。まあ、俺は男に興味はないが。

聖女はブルーノ様の手下で無ければ、いつものように強引に俺のものにしていただろう。それほど魅力的な体つきをしていた。俺は思わず湧き出たよだれを飲み込んだ。

それを聖女は嫌悪の表情で見ていたが。

おのれ聖女め。ブルーノ様の手のものでなければ、絶対にそんな目で俺を見たことを後悔させてやるのに! 俺は聖女に手が出せないことに歯噛みした。

それとせっかく侯爵になれる機会なのにと残念に思ったが、ブルーノ様の意向は絶対だ。
それに、どのみち殺すならば、殺す前に元王女という高貴な女も陵辱の限りを尽くしてやれたのに、俺は残念でならなかった。

俺は案内の兵士たちを見張り代わりに付けて案内させたのだ。


その結果が家令が報告した事態だ。

勇者らの襲撃はおそらく、一行に警戒心しか与えないだろう。

何しに奴らが来たか判らなかった。

「本当に余計なことをしてくれたものよ」
俺は愚痴が口から出た。

まあ、しかし、これで王女一行を捕まえてブルーノ様に差し出せば、恩賞は独り占めだ。そう考えると俺は嬉しくなった。

ついでに元王女も差し出す前に慰み者にしてやろう。あんなことやこんな事が出来る。高貴な女を犯す機会など、もう二度と無いかもしれない。

俺は笑みが溢れた。

「よし、直ちに100騎ばかり騎士を連れて王女殿下を迎えに行くのだ」
俺は家令に命じた。

「お迎えするのですか?」
「そうだ。この館に入れてしまえば後はこちらのものだ」
不審そうにする家令に俺は笑って言った。

「しかし、相手は素手で勇者を倒すくらいの者ですぞ」
「ふんっ、そんなものは魔力避けの手錠でも嵌めてしまえば良いわ。幸い王都で買い求めた品があろう」
「ああ、先日フリーの魔術師を手籠にされた時に用いられたもので」
「そうじゃ。大きな口を叩いておったが、あの手錠の前には手も足も出んでヒイヒイ泣いておったわ」
俺は大口を開けて笑った。

「左様でございましたな」
俺の声に家令もいやらしい笑みを浮かべて、即座に王女を迎えに出ていった。

俺はやってくる王女をいたぶった時にどんな表情で泣くのかとても楽しみだった。
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