上 下
1 / 69

『魔王』と言われて怒りのあまり勇者を素手で殴り倒した事にされました

しおりを挟む
この話見つけていただいて有難うございます。
この前の話はこちらです。作品のずっと下に紹介とリンク張ってありますが
『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/337638866

********************************************************:
私の名前はアン・シャーリー、でも、『赤毛のアン』の主人公ではない。
正式な名前はアンネローゼ・スカンディーナ、この国スカンディーナ王国の元王女だ。両親の国王と王妃は私が1歳の時に今の摂政ブルーノによって弑逆された。その時、母親によって隣国オースティン王国に逃された私は、私の侍女だったグレタ・シャーリーによって何も知らずにその娘のアンとして匿われていたのだ。
そして、いろいろあって、この母国スカンディーな王国に王女として戻って来た。

両親を殺された悲劇の王女として、正当な王位後継者として、この国に戻ってきたのだ。両親の仇の憎っきブルーノを倒し王位につくために!
私はこの国に来れば、大歓迎と言わないまでも悲劇の王女として、多少は歓迎されるかなと期待していた・・・・

でも実際は全然だった。

何故に?

普通は両親を殺され、悪逆非道のブルーノの魔の手から逃れて苦労していた悲劇の王女として、歓迎されてしかるべきだと思うんだけど・・・・

物語の中ならば確かにそうだろう。物語の中では・・・・


でも、現実は世知辛いのだ。周りの庶民の人々はちゃんと生きて生活をしているのだ。私も今までは普通の平民だったからよく判る。平民は上が誰であろうと自分がちゃんと生活できていれば文句を言うことはないのだ。
上で何が起ころうと、へええええとは思うけど、自分の生活に変わりがなければそんなに気にはしない。増して、反乱を起こそうなんてだいそれた事は考えないのだ。
そう、皆はブルーノの政策に満足と言わなくても、反乱を起こすほどの不満を抱いていないのだ。何しろ反乱は命がけだ。平民が起こすのは生きていけないような時だけだ。国王陛下が殺された。それは大変だ。でも、それが何? それも15年も前の話だ。

「まあ、ご両親が殺されましたの。それは大変でしたわね」
同情されて終わりだ。

そこへ、さあ、兵を起こして戦争しましょう!と私が帰ってきても歓迎されるわけはないではないか!

基本的に戦が好きだというのは、人を殺す事に喜びを感じる殺人狂や、軍需産業、戦いで儲けられる国だけだ。当事者なんて嬉しいはずはない。親兄弟や恋人が戦場に送られ、下手したら自分の住んでいるところも戦場になって、殺されるかもしれないのだ。自分の家が焼かれ田畑を荒らされて自分が死ぬかもしれない。誰が喜んで戦争を歓迎するのだ?

前世で日本人として生きてきた私も、自国で戦いが起こるとなれば反対することは必至だ。

故あって私が国を起こした私の名前を取ったアンネローゼ王国でも皆の反応は似たような反応だった・・・・



そして、今、それ以上に私は唖然としていた。

「この平和な世に戦乱を起こし、世を乱す悪の魔王、赤髪の山姥アンネローゼよ。この正義の味方・勇者ミカエル・ラスクが成敗してくれるわ」
私は賊が襲ってきたと聞いて戦うために馬車から降り立ったら、いきなり魔王討伐宣言されてしまったのだ。

ちょっと待ってよ。山姥って何よ! 山姥って! 私はまだ花の16歳よ。その若い乙女を捕まえて山姥って何よ!

私は一瞬、何故そんな事を言われなければいけないか判らなかった。

剣を振り上げて叫んでいる男を見ると凛々しい顔貌をしているけれど、下手したら私より若い少年だ。

ちょっと待ってよ。私は悲劇の王女ではないの?

こんな子に魔王だ、山姥だって言われて討伐されるって、どういう事よ!

「はあ、何を言う、聖女アン様に向かってその雑言、山賊の分際で戯言が過ぎよう」
私の騎士のメルケルが言ってくれた。そうよ、よく言った!
私が思った時だ。

「ふんっ、お前は赤髪の山姥、いや魔王に騙されているのだ。退けーーーーー」
ミカエルと名乗った男が剣を構えて、突っ込んできた。

メルケルが対処しようとしたが、即座に剣を振りかぶったミカエルに叩き斬られていた。メルケルが吹っ飛ぶ。

「メルケル!」
私が叫ぶ。

「アン様。危ない」
私の前にイリヤが手を広げて身を盾にしようとしてくれたのだ。

「イリヤ!」
私は慌ててイリヤの前に障壁を張った。

しかし、振り下ろされたミカエルの剣は私の障壁を叩き割ったのだ。

そして、そのままミカエルの剣がイリヤに振り下ろされる。

「イリヤ!」
私の目の前でイリヤが斬られる。

スローモーションのようにイリヤが血まみれになって倒れ込んだ。


その瞬間私は完全にぷっつん切れていた。
「おのれ!」

私は怒り狂った。

剣で斬りかかってくる男に向けて素手で殴りかかったのだ。

普通はありえない暴挙だった。
しかし、そんなの知ったことではなかった。私の可愛い妹分のイリヤがこの山賊、そう、誰がなんと言おうがかわいいイリヤに刃を向けた奴は勇者ではなくて山賊だ、に斬られたのだ。許すわけにはいかなかった。

山賊は私の動きに多少驚いたみたいだったが、そのまま斬りかかってきた。

私の怒りの鉄拳が、その光り輝く剣に激突した。本来ならばか弱い私の拳なんて勇者の宝剣に敵う筈はないのだ。しかし、怒りまくった私の拳は宝剣をも凌駕したのだ!

パリンッ

という音とともに勇者の宝剣が根本から割れた。

「えっ?」
驚愕する勇者の顔面を私の怒りの鉄拳が捉えたのだ。

バシーーーン

という音とともに唖然とした顔の勇者を私は怒りの鉄拳で吹っ飛ばしていた。

**********************************************************::
ここまで読んで頂いて有難うございます。

お気に入り登録、感想して頂けたら嬉しいです!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい

斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。 ※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。 ※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈 
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

性格が悪くても辺境開拓できますうぅ!

エノキスルメ
ファンタジー
ノエイン・アールクヴィストは性格がひねくれている。 大貴族の妾の子として生まれ、成人するとともに辺境の領地と底辺爵位を押しつけられて実家との縁を切られた彼は考えた。 あのクソ親のように卑劣で空虚な人間にはなりたくないと。 たくさんの愛に包まれた幸福な人生を送りたいと。 そのためにノエインは決意した。誰もが褒め称える理想的な領主貴族になろうと。 領民から愛されるために、領民を愛し慈しもう。 隣人領主たちと友好を結び、共存共栄を目指し、自身の幸福のために利用しよう。 これはちょっぴり歪んだ気質を持つ青年が、自分なりに幸福になろうと人生を進む物語。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載させていただいています

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

この野菜は悪役令嬢がつくりました!

真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。 花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。 だけどレティシアの力には秘密があって……? せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……! レティシアの力を巡って動き出す陰謀……? 色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい! 毎日2〜3回更新予定 だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

処理中です...