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礼儀作法の先生に褒められるのは良いけれど、皇女に益々睨まれる結果になってしまいました
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「げっ、マイヤー先生!」
私はギョッとした。
「アオイさん、何ですか? 『げっ』とは」
ギロリと先生が私を睨みつけてきた。
やばい!
「す、すみません」
噛んでしまった。
「本当に、普段から話す言葉には気をつけなさい。貴方は聖女様なのです。貴族から庶民の方まで、全ての方の希望なのです。そのような方がはしたない言葉を使ってはなりません」
やばい、完全にマイヤー先生のお叱りモードに入ってしまった。
皆固まっている。皇女の取り巻き共が全員こちらを睨んでくるし……
「先生。その聖女は私にもひどい言葉を使ったのです」
ポーラに突っかかって私に注意された令嬢が、言わなくてもいいのに余計な事を言ってくれた。
「ケイトさん。聖女様です。言葉には気をつけなさい!」
マイヤー先生がきっとその生徒を睨みつけた。
「えっ、でも、学園内ではみな平等では」
この女、こんな時だけその言葉を使うんだ。私はその都合のよさに驚いた。
「何を言っているのです。陛下が聖女様を陛下と同格であると謁見の場で示されました。いくら学園が皆平等といえども、あなたは陛下を国王と呼び捨てにするのですか?」
「いえ、そのような畏れ多いことは」
ケイトは慌てた。
「それと同じことです。聖女様を馬鹿にすることは陛下を馬鹿にすることです。心しておきなさい」
「はい」
不服そうにケイトは答えた。
「それとあなた、今、聖女様から注意を受けていましたね。何を注意されていたのですか」
「それはその、ヴァーノン族のいえ、ヴァーノンさんがアマンダ様を貶めた発言をしたので」
ケイトはマイヤー先生の視線を感じて慌てて言い直していた。
「それであのような言葉を発したのですか。ヴァーノンの方々を貶めるような発言を」
マイヤー先生はケイトを叱責した。
「でも先生」
「言い訳は良いです。貴方の言葉は陛下の御心に背くものです。
他の者もよおく聞きなさい」
先生は周りの皆を見渡した。
「陛下はヴァーノン伯爵は勇敢な戦士であり、前皇帝陛下が嘱望されてこの帝国に迎え入れられたと認められたのです。貴方はその陛下の御心に背くのですか」
「とんでもございません」
先生の言葉にケイトは慌てて首を振った。
「確かにポーラさんの言い方にも問題はありました。でも、それに対してあなたが言って良い事と悪いことがあるのです。ケイトさん。判りましたね」
「はい。申し訳ありませんでした」
ケイトは先生に頭を下げた。
「謝る相手は私ではありません」
先生は容赦がなかった。
「ポーラさん申し訳ありませんでした」
ケイトはポーラに頭を下げた。
「私も言い方が悪かったです。申し訳ありませんでした」
ポーラも頭を下げてくれたのだ。
私はほっとした。
これで丸く収まったと思ったのだ。
でも違ったのだ。
「それとキャサリン皇女殿下。今のは本来はあなたが注意しなければいけないところでしょう。何故しなかったのですか」
先生の叱責の矛先が皇女殿下に向かった。
「私ですか?」
「当然です。貴方は生徒会長であるのですよ。その生徒会長が配下の者が間違ったことを口にしたら注意をしないでどうするのですか」
「しかし、ポーラさんがアマンダの事を貶めたから」
「それと言ってはいけないことを言った者を注意しなかったあなたとは全然違うでしょう。貴方のその点については何度も注意しているはずです」
先生は注意しだすと止まらない。
「貴方はアオイさんの事を全然礼儀作法のなっていない者と思っているかもしれませんが、確かにアオイさんは基本的な事はまだまだです。でも、即座にケイトさんを注意した点は上に立つ者としてはとても評価される行動なのです。貴方もそう言う点は見習いなさい」
ええええ! 先生、褒めるのは良いけれど、殿下の前で褒めるのは止めてほしいんですけど。
殿下の刺すような視線がとても怖いんですが……
私の思いはしかし、先生には全然届かなかった。
先生はそれからも殿下を延々怒り続けて、その間中殿下の怒りの視線を私は感じていたのだった。
私はギョッとした。
「アオイさん、何ですか? 『げっ』とは」
ギロリと先生が私を睨みつけてきた。
やばい!
「す、すみません」
噛んでしまった。
「本当に、普段から話す言葉には気をつけなさい。貴方は聖女様なのです。貴族から庶民の方まで、全ての方の希望なのです。そのような方がはしたない言葉を使ってはなりません」
やばい、完全にマイヤー先生のお叱りモードに入ってしまった。
皆固まっている。皇女の取り巻き共が全員こちらを睨んでくるし……
「先生。その聖女は私にもひどい言葉を使ったのです」
ポーラに突っかかって私に注意された令嬢が、言わなくてもいいのに余計な事を言ってくれた。
「ケイトさん。聖女様です。言葉には気をつけなさい!」
マイヤー先生がきっとその生徒を睨みつけた。
「えっ、でも、学園内ではみな平等では」
この女、こんな時だけその言葉を使うんだ。私はその都合のよさに驚いた。
「何を言っているのです。陛下が聖女様を陛下と同格であると謁見の場で示されました。いくら学園が皆平等といえども、あなたは陛下を国王と呼び捨てにするのですか?」
「いえ、そのような畏れ多いことは」
ケイトは慌てた。
「それと同じことです。聖女様を馬鹿にすることは陛下を馬鹿にすることです。心しておきなさい」
「はい」
不服そうにケイトは答えた。
「それとあなた、今、聖女様から注意を受けていましたね。何を注意されていたのですか」
「それはその、ヴァーノン族のいえ、ヴァーノンさんがアマンダ様を貶めた発言をしたので」
ケイトはマイヤー先生の視線を感じて慌てて言い直していた。
「それであのような言葉を発したのですか。ヴァーノンの方々を貶めるような発言を」
マイヤー先生はケイトを叱責した。
「でも先生」
「言い訳は良いです。貴方の言葉は陛下の御心に背くものです。
他の者もよおく聞きなさい」
先生は周りの皆を見渡した。
「陛下はヴァーノン伯爵は勇敢な戦士であり、前皇帝陛下が嘱望されてこの帝国に迎え入れられたと認められたのです。貴方はその陛下の御心に背くのですか」
「とんでもございません」
先生の言葉にケイトは慌てて首を振った。
「確かにポーラさんの言い方にも問題はありました。でも、それに対してあなたが言って良い事と悪いことがあるのです。ケイトさん。判りましたね」
「はい。申し訳ありませんでした」
ケイトは先生に頭を下げた。
「謝る相手は私ではありません」
先生は容赦がなかった。
「ポーラさん申し訳ありませんでした」
ケイトはポーラに頭を下げた。
「私も言い方が悪かったです。申し訳ありませんでした」
ポーラも頭を下げてくれたのだ。
私はほっとした。
これで丸く収まったと思ったのだ。
でも違ったのだ。
「それとキャサリン皇女殿下。今のは本来はあなたが注意しなければいけないところでしょう。何故しなかったのですか」
先生の叱責の矛先が皇女殿下に向かった。
「私ですか?」
「当然です。貴方は生徒会長であるのですよ。その生徒会長が配下の者が間違ったことを口にしたら注意をしないでどうするのですか」
「しかし、ポーラさんがアマンダの事を貶めたから」
「それと言ってはいけないことを言った者を注意しなかったあなたとは全然違うでしょう。貴方のその点については何度も注意しているはずです」
先生は注意しだすと止まらない。
「貴方はアオイさんの事を全然礼儀作法のなっていない者と思っているかもしれませんが、確かにアオイさんは基本的な事はまだまだです。でも、即座にケイトさんを注意した点は上に立つ者としてはとても評価される行動なのです。貴方もそう言う点は見習いなさい」
ええええ! 先生、褒めるのは良いけれど、殿下の前で褒めるのは止めてほしいんですけど。
殿下の刺すような視線がとても怖いんですが……
私の思いはしかし、先生には全然届かなかった。
先生はそれからも殿下を延々怒り続けて、その間中殿下の怒りの視線を私は感じていたのだった。
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