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学園に行ったら第二皇子の婚約者にいじめられました
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本日3話目です
*****
翌日の朝は最悪だった。
目がものすごく腫れている。
結局昨日は泣きつかれて寝てしまったのだ……
「おはようございます!」
朝から元気にエイミーが起こしてくれたけれど、私は最悪だ。
「アオイ様。大丈夫ですか?」
彼女はレナちゃん。新しく私の担当になったメイドだ。
年は私より少し上だけれど、子供っぽい感じのする子だ。
そう言ったら
「アオイ様には言われたくありません」
とはっきり言われてしまったんだけど……
基本はこの二人体制だ。
しっかりもののエイミーと二人の子供って感じよねと皇后様に言われたけれど。
そんなことはないはずだ。
いつもはそんなことを思いながら起きるんだけど、今日はもう最悪だ。
「昨日あれから何度かクリフォード殿下が謝りに来られましたけど……」
そうなんだ。クリフは謝りに来てくれたんだ! 私は一瞬嬉しくなって……
「レナ、何言っているの。あんな殿下、許す必要はないわよ」
エイミーはぷりぷり怒ってくれた。
「あの女たらしの殿下は、アオイ様の目の前で、あろう事か、あの淫乱令嬢に抱きつかれていたのよ。それも皇太后様等皆様方の前でよ。信じられる?」
私についてきていたエイミーも、クリフがアマンダに抱きつかれているところをはっきりと見ていたのだ。
私以上に怒ってくれていた。
「でも、何回もこのリビングに謝りにこられましたけれど」
少し、きまりが悪そうにレナが言うんだけど、
「ふんっ、そんなの当たり前よ。そもそも殿下がアマンダ様に抱きつかれなかったら良かったのよ」
エイミーは取り付く島もなかった。
「でも、クリフは何故こちらの部屋から回って来たの? いつも扉を開けてくる……」
私はクリフの部屋との間の扉がしっかりと施錠されているが目に入ったのだ。向こうからこちらには入れないようにでっかい留め金が見えた。
「ああ、アオイ様のお気持ちを慮ってしっかりと鍵は閉めさせて頂きました」
エイミーが当然とばかりに言ってくれた。
それであちらの扉経由で来たんだ!
それは判っても、私は今はあんまりクリフと会いたくはなかった。
というかどんな反応していいか判らなかったし。
まあ、おそらく、皇太后様らに煽られてクリフが私のことが好きだと私が単に勘違いしただけだ。
そう思ったらまた少し悲しくなってきた。
ダメた、ダメだ!
こんなんじゃ!
今日は学園もあるのだ。
私は自分に鞭打って、早めに朝食を食べると、学園に向かったのだ。
学園では、ポーラたちが迎えてくれた。
「アオイ、謁見の間では堂々としていて、様になっていたってお祖父様に聞いたわよ」
「本当に、見た目も聖女様に見えたって、我が家の爺様も言っていたぞ」
会うなり、ポーラとエイブが褒めてくれた。
「そうかな、とても緊張してうまく出来なかったと思ったんだけど」
私は謙遜して言った。
「えっ、そうか。爺さんはそんな事言っていなかったぞ。陛下の横に立っても堂々としていたって言ってたけれど」
「それは無いわよ。もう心臓もバクバクだったし」
「でも、クリフォード殿下がフォローしてくれたんでしょ」
悪気が無くてポーラが言ってくれた。
おそらくまだ聞いていないんだ。
「ん、どうかしたの? 元気ないけれど」
「えっ、そんなことないよ」
私は精一杯、元気なふりを装った。
「そう? なんかおかしいわ」
「そうだよな。少し元気ないのかも」
「気のせい、気の所為」
私が流そうとした時だ。
「ああああ、そこのあなた。聞いたわよ。ついにクリフォード殿下がアマンダ様を取ったんだって」
そこには失礼な第二王子殿下の婚約者、チェルシー・ポウナル公爵令嬢が歩いてきたのだ。
こいつ、この前は私を貧乳だから、第2皇子殿下がどう転んでも私なんか気にするはずはないと馬鹿にしてくれた奴だ。それは第2皇子殿下には興味がなかったから言いんだけど、今度は言わなくてもいいのに、私がクリフに振られたことを皆にバラしてくれたのだ。
もっとも、元々クリフは私にそんな感情を持っていなかったと思うから振られたというのはおかしいかもしれないけれど……
「何でも殿下はあなたが聖女として認められるように、一生懸命周りに根回しされたりして、とても努力されたそうなの。あなたの物覚えが悪いからとても疲れたとアマンダ様に愚痴っていらしたそうよ」
チェルシーの一言は、辛うじて崖の上に立っていた私を、谷底に突き落としてくれるには十分だった。
私の目から涙がポロポロ流れ出したのだった。
*******************************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
続きは明朝です。
皆様のお陰で書籍化出来た『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』
書籍化によるアルファポリスの規約で第一部は殆ど削除したけど、二部から五部までは残ってて、それだけでも十二分に楽しめます。ぜひとも読んでみて下さい。
作者にもかかわらず、先程も書かないで読みふけっておりました。
それが、面白かったら第一部すなわち書籍も買ってもらえたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
下にリンク張っています
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翌日の朝は最悪だった。
目がものすごく腫れている。
結局昨日は泣きつかれて寝てしまったのだ……
「おはようございます!」
朝から元気にエイミーが起こしてくれたけれど、私は最悪だ。
「アオイ様。大丈夫ですか?」
彼女はレナちゃん。新しく私の担当になったメイドだ。
年は私より少し上だけれど、子供っぽい感じのする子だ。
そう言ったら
「アオイ様には言われたくありません」
とはっきり言われてしまったんだけど……
基本はこの二人体制だ。
しっかりもののエイミーと二人の子供って感じよねと皇后様に言われたけれど。
そんなことはないはずだ。
いつもはそんなことを思いながら起きるんだけど、今日はもう最悪だ。
「昨日あれから何度かクリフォード殿下が謝りに来られましたけど……」
そうなんだ。クリフは謝りに来てくれたんだ! 私は一瞬嬉しくなって……
「レナ、何言っているの。あんな殿下、許す必要はないわよ」
エイミーはぷりぷり怒ってくれた。
「あの女たらしの殿下は、アオイ様の目の前で、あろう事か、あの淫乱令嬢に抱きつかれていたのよ。それも皇太后様等皆様方の前でよ。信じられる?」
私についてきていたエイミーも、クリフがアマンダに抱きつかれているところをはっきりと見ていたのだ。
私以上に怒ってくれていた。
「でも、何回もこのリビングに謝りにこられましたけれど」
少し、きまりが悪そうにレナが言うんだけど、
「ふんっ、そんなの当たり前よ。そもそも殿下がアマンダ様に抱きつかれなかったら良かったのよ」
エイミーは取り付く島もなかった。
「でも、クリフは何故こちらの部屋から回って来たの? いつも扉を開けてくる……」
私はクリフの部屋との間の扉がしっかりと施錠されているが目に入ったのだ。向こうからこちらには入れないようにでっかい留め金が見えた。
「ああ、アオイ様のお気持ちを慮ってしっかりと鍵は閉めさせて頂きました」
エイミーが当然とばかりに言ってくれた。
それであちらの扉経由で来たんだ!
それは判っても、私は今はあんまりクリフと会いたくはなかった。
というかどんな反応していいか判らなかったし。
まあ、おそらく、皇太后様らに煽られてクリフが私のことが好きだと私が単に勘違いしただけだ。
そう思ったらまた少し悲しくなってきた。
ダメた、ダメだ!
こんなんじゃ!
今日は学園もあるのだ。
私は自分に鞭打って、早めに朝食を食べると、学園に向かったのだ。
学園では、ポーラたちが迎えてくれた。
「アオイ、謁見の間では堂々としていて、様になっていたってお祖父様に聞いたわよ」
「本当に、見た目も聖女様に見えたって、我が家の爺様も言っていたぞ」
会うなり、ポーラとエイブが褒めてくれた。
「そうかな、とても緊張してうまく出来なかったと思ったんだけど」
私は謙遜して言った。
「えっ、そうか。爺さんはそんな事言っていなかったぞ。陛下の横に立っても堂々としていたって言ってたけれど」
「それは無いわよ。もう心臓もバクバクだったし」
「でも、クリフォード殿下がフォローしてくれたんでしょ」
悪気が無くてポーラが言ってくれた。
おそらくまだ聞いていないんだ。
「ん、どうかしたの? 元気ないけれど」
「えっ、そんなことないよ」
私は精一杯、元気なふりを装った。
「そう? なんかおかしいわ」
「そうだよな。少し元気ないのかも」
「気のせい、気の所為」
私が流そうとした時だ。
「ああああ、そこのあなた。聞いたわよ。ついにクリフォード殿下がアマンダ様を取ったんだって」
そこには失礼な第二王子殿下の婚約者、チェルシー・ポウナル公爵令嬢が歩いてきたのだ。
こいつ、この前は私を貧乳だから、第2皇子殿下がどう転んでも私なんか気にするはずはないと馬鹿にしてくれた奴だ。それは第2皇子殿下には興味がなかったから言いんだけど、今度は言わなくてもいいのに、私がクリフに振られたことを皆にバラしてくれたのだ。
もっとも、元々クリフは私にそんな感情を持っていなかったと思うから振られたというのはおかしいかもしれないけれど……
「何でも殿下はあなたが聖女として認められるように、一生懸命周りに根回しされたりして、とても努力されたそうなの。あなたの物覚えが悪いからとても疲れたとアマンダ様に愚痴っていらしたそうよ」
チェルシーの一言は、辛うじて崖の上に立っていた私を、谷底に突き落としてくれるには十分だった。
私の目から涙がポロポロ流れ出したのだった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございました。
続きは明朝です。
皆様のお陰で書籍化出来た『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』
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