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公爵令嬢らにザマアしました

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「ちょっと、アオイ、どういう事なの! 私のクリフ様をあなたが誘って休みの間旅に出ていたって本当なの?」
「違います。私がポーラの所に遊びに行こうとしたら、クリフ様が無理やりついてこられたのです」
私はアマンダに事実を言ったのだ。

「なんですって。あなた、私のクリフ様に強引に迫って旅に連れ出したですって!」
おい、人の話を聞けよ、私は叫びたかった。

「私がせっかくの休みだからってクリフ様を誘いに王宮に行ったのに、叔母様からはクリフ様はアオイとかいう性悪女に騙されて、旅に出たって言われるじゃない。今日という今日は許さないわ」
「ちょっとあなた。私の話をちゃんと聞いてくれたの?」
私はアマンダに言ったのだが、今度はアマンダの周りの取り巻きに無視されたのだ。

「可哀想なアマンダ様」
「この性悪女に婚約者様が、騙されて連れて行かれたのですね」
「本当に許されませんわ」
後ろの取り巻き共が言ってくれるんだけど。

「それに聞く所によると、あなた、クリフ様をあのヴァーノン族の所に連れて行ったんですって」
「まあ、あの蛮族のところに」
「信じられませんわ」
アマンダと取り巻きたちが言うんだけど。

その言葉を聞いて、ポーラとエイブが文句を言おうとしたが、私がそれよりも先に啖呵を切っていた。
「ちょっと待ちなさいよ。あなた達、私の友達を何けなしてくれているのよ」
ポーラの一族を馬鹿にされて私は完全に切れたのだ。
「ヴァーノン一族はとても勇敢で帝国に取って頼りになる一族だわ」
私がそう言うと、

「ふんっ、あなたは辺境伯の遠縁か何か知らないけれど、あなたは知らないの? ヴァーノン族は前の大戦で、前皇帝陛下を襲って傷つけた蛮族よ。その傷が元で前皇帝陛下がお亡くなりになったのよ。その蛮族がこの帝国に許されているのがおかしいのよ」
アマンダが言い切ったのだ。

「本当ですわ」
「あなた、そんな事も知らないの」
「飛んだ常識知らずね」
取り巻きたちが好きなことを言ってくれるんだけど。

「私の父も申しておりました。ヴァーノン族はキンロスに帰れと」
「そうよ、私の父も申しておりましたわ。奴隷としてこき使えば言いのではないかと」
そう言うと、令嬢たちが嘲笑したのだが、コイツラは馬鹿なのか。

「常識知らずの愚かな方々ね。あなたたちに比べればテイラゴンのほうが余程常識を知っているわ」
私はバカにして言ってやったのだ。

「なんですって」
「アオイさん。あなた、そんなことを私達に言っていいの?」
「お父様に言いつけてやるわ」
令嬢たちが文句を言ってくるが
「勝手にどうぞ。ただ、その前にはっきりと言っておいてあげたほうが良いと思うので、よおく、耳の穴を広げて聞きなさいよ」
私は眼の前の令嬢たちを見渡して、言ってやったのだ。

「今回クリフォード殿下は皇帝陛下の勅書を持ってヴァーノンの地に行かれたのよ。その勅書によって、族長カルヴィン・ヴァーノン様は伯爵に昇爵されたのよ」
「えっ」
「うそ!」
皆顔が青くなった。

特に後ろの子爵令嬢共が青くなっていた。
それはそうだ。自分たちよりも高い爵位の令嬢に対して貶めることを言ったのだ。親の立場がなくなる。

「本当だ。俺はたしかにこの目で見た」
エイブも言ってくれた。
「それは、近衛の方々もはっきりと見られたわ。というか、家に帰ってご両親に確認されたらどうなの。もう公表されているはずよ」
ポーラが言った。

「殿下はこうも言われたわ。無知無能な者たちが、ヴァーノンの悪口を口に出しているが、皇帝の名のもとにそう言ったことは今後一切なくさせると。今、あなた方は何かおっしゃったようだけど、それは陛下のお言葉に反することになるのではないかしら」
私が言い切ると、皆顔が更に青くなった。

「そんなの嘘よ」
アマンダが言ってきたが、

「そんなのご両親に確認すれば済む話でしょう。なんだったら私が、皇帝陛下に確認させていただきましょうか? アマンダ様はじめご令嬢方々は陛下のお考えに反対していらっしゃるようですがって」
「はあ、あなた、クリフ様の覚えめでたいからって、陛下にお話なんて出来るわけ無いでしょう」
「さあ、それも確認して頂いていいわよ」
私はニコリと笑った。

「でも、私も友人が貶められてちょっと切れているのよね。悪いと思ったのならば、明日中にポーラにちゃんと謝ってよね。そうすればここでのことは不問にしてあげるわ。そうでなかったらつい口が滑っても私の責任じゃないわよ」
私は人の悪い笑みを浮かべて皆を見回してやったのだ。

「あ、アマンダ様。ここは一旦引いたほうが」
「そ、そうね」
令嬢たちは慌てて退散していったのだ。

そして、私としては脅しただけのつもりで、まさか本当に来るとは思ってもいなかったのだが、10人の令嬢のうち、アマンダを除く9人の令嬢が翌日ポーラに頭を下げてきたのだった。
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