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ドサクサに紛れて帝国の皇子様に一生涯を捧げられました!
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「ヒール!」
私は大きな声で叫んでいた。
その瞬間、私の体が金色の光に包まれて、その光が私の手からカルヴィンさんの右足に向けて飛んでいく。光がカルヴインさんの右足を包んだ。
そして、何もなかったように、光が消えた。
えっ、失敗した?
なんか、治ったにしてはあまりにもあっさりしていた。
「ふんっ、やはり所詮小娘の戯言。アリストン王国にいらっしゃる聖女様とは違うわ」
私を馬鹿にするサイラスの声が聞こえた。
カルヴィンさんは何事もなかったようにこちらに歩いてきた。
いつもの如く足を引きずっていなかった……
「お、おじいちゃん。足を引きずっていないわ」
ポーラの声が響いた。
「本当だ」
「治っている」
「族長の足が!」
「何!」
カルヴィンさんは思わず立ち止まって自分の足を見た。
そして、動かしてみる。
「動くぞ、昔のように」
そう言ってこちらに走ってきた。
「凄いじゃない! おじいちゃん」
ポーラがカルヴィンさんに抱きついていた。
「「「ウォーーーー」」」
ヴァーノン族の歓声が広場に鳴り響いたのだ。
「せ、聖女様!」
そう言うとカルヴィンさんが跪いたのだ。
「えっ、カルヴインさん」
私は驚いた。
族長に習ってみんな私に向かって跪いているんだけど。
ちょっ、ちょっと止めてよ。ポーラまで跪いているんだけど。
「わが足を治して頂いて、有難うございます。聖女様」
カルヴィンさんがお礼を言ってくれるんだけど、
「いえ、あの、カルヴィンさん。私は聖女ではありません」
私が否定するが
「何をおっしゃるのです。聖女様。
女神様に祈りも捧げずに、癒やし魔術が使えるなど、普通はいないのです。更には20年も昔の古傷を治せるものなど、癒やし魔術師の中にいるわけはありません。このようなことが出来るのは、世界広しと言えども聖女様しかいらっしゃいません。あなた様は聖女様にちがいありません」
そう言うとカルヴィンさんは広場のみんなを見渡したのだ。
「皆の者、聖女様が、この辺境の地、ヴァーノンの地にいらして頂けた。このヴァーノン族始まって以来のことだ。皆して感謝の祈りを捧げようではないか」
そう言うとカルヴィンさんは私に頭を垂れて祈りだしてくれたんだけど。
それに釣られてみんな私に向かって祈っている。
ちょっ、ちょっと待ってほしいんだけど。
「ちょっと、ポーラ、一緒に祈っていないで、みんなを止めてよ」
私が頼むが、
「何言っているのよ。私を治してくれた時から思っていたんだけど、ゴードン先生の言う通り、あなたは聖女様だったのよ」
「そうだ。アオイは俺の聖女様だ」
その横でボビーはなんか頓珍漢な事を言っているように思うんだけど、今はそれどころではない。
さっさとこの私に向かって祈るっていう変な一団を止めさせないと。
私は新興宗教の教祖様でもなければ、聖女様なんて良いものではない。
「ちょっと、クリフ。この変な祈りを止めさせてよ」
私は最後の頼みの綱のクリフに縋ったんだけど……
「まあ、アオイ、これは仕方がないことかな」
クリフが右から左へ流してくれたんだけど。
「天におはします女神様。この帝国の地に聖女様を降臨させて頂けたこと感謝の言葉もありません」
空に向かって祈り始めたんだけど……ちょっと、クリフまで止めてよ。
私はもう恥ずかしくって真っ赤になっていた。
「聖女様に感謝を」
クリフはそう言うと私の前に跪いたのだ。
「「「聖女様に感謝を!」」」
後ろのみんなもそれに続いてくれたんだけど。
「われ、帝国第一皇子クリフォード・モンターギュはここに宣誓する。この身を一生涯、聖女様に捧げん事を!」
そう言うとクリフは私に再度跪いた。
「どうか我が願いをお認め下さい」
そして、クリフは私に手を差し出してきたのだ。
「えっ?」
私はもう、恥ずかしくてクリフが何を言っているのかほとんど理解していなかったのだ。
手を何回か、クリフが振ってきた。その手を取れということだろうか?
私は釣られて思わずその手を取ってしまったのだ。
「「「「「ウォーーーーーーーーー」」」」」
大歓声が広場に響き渡ったのだ。
私はその意味するところを全く理解していなかった。
横でボビーが固まっているのも判らなかった。
つぎの瞬間、クリフが私を腕に抱きあげて持ち上げてくれたのだ。
「えっ、ちょっと、クリフ、恥ずかしいから」
私は慌てて叫ぶ。
まあ私は軽いからクリフにとっては大したことがないのかも知れないが、とても高いのだ。
完全にみんなを見下ろす事になってしまったんだけど。
みんな大歓声が続いていて、私はよく判らなかった。
「皆の者、めでたい事だ。今宵は聖女様が我が地に降臨して頂けた。盛大に祝おうぞ」
族長の声とともに大宴会が始まったのだ。
私はクリフが私に何を言ったのか全く理解していなかったのだ。
***********************************************************
皇子様に一生涯を捧げられたアオイ、その意味するところは……
*********************************************************************
御忙しい中、ここまで読んで頂いて有難うございました。
『つぎラノ2023』にもノミネートされた『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです』
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私は大きな声で叫んでいた。
その瞬間、私の体が金色の光に包まれて、その光が私の手からカルヴィンさんの右足に向けて飛んでいく。光がカルヴインさんの右足を包んだ。
そして、何もなかったように、光が消えた。
えっ、失敗した?
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「ふんっ、やはり所詮小娘の戯言。アリストン王国にいらっしゃる聖女様とは違うわ」
私を馬鹿にするサイラスの声が聞こえた。
カルヴィンさんは何事もなかったようにこちらに歩いてきた。
いつもの如く足を引きずっていなかった……
「お、おじいちゃん。足を引きずっていないわ」
ポーラの声が響いた。
「本当だ」
「治っている」
「族長の足が!」
「何!」
カルヴィンさんは思わず立ち止まって自分の足を見た。
そして、動かしてみる。
「動くぞ、昔のように」
そう言ってこちらに走ってきた。
「凄いじゃない! おじいちゃん」
ポーラがカルヴィンさんに抱きついていた。
「「「ウォーーーー」」」
ヴァーノン族の歓声が広場に鳴り響いたのだ。
「せ、聖女様!」
そう言うとカルヴィンさんが跪いたのだ。
「えっ、カルヴインさん」
私は驚いた。
族長に習ってみんな私に向かって跪いているんだけど。
ちょっ、ちょっと止めてよ。ポーラまで跪いているんだけど。
「わが足を治して頂いて、有難うございます。聖女様」
カルヴィンさんがお礼を言ってくれるんだけど、
「いえ、あの、カルヴィンさん。私は聖女ではありません」
私が否定するが
「何をおっしゃるのです。聖女様。
女神様に祈りも捧げずに、癒やし魔術が使えるなど、普通はいないのです。更には20年も昔の古傷を治せるものなど、癒やし魔術師の中にいるわけはありません。このようなことが出来るのは、世界広しと言えども聖女様しかいらっしゃいません。あなた様は聖女様にちがいありません」
そう言うとカルヴィンさんは広場のみんなを見渡したのだ。
「皆の者、聖女様が、この辺境の地、ヴァーノンの地にいらして頂けた。このヴァーノン族始まって以来のことだ。皆して感謝の祈りを捧げようではないか」
そう言うとカルヴィンさんは私に頭を垂れて祈りだしてくれたんだけど。
それに釣られてみんな私に向かって祈っている。
ちょっ、ちょっと待ってほしいんだけど。
「ちょっと、ポーラ、一緒に祈っていないで、みんなを止めてよ」
私が頼むが、
「何言っているのよ。私を治してくれた時から思っていたんだけど、ゴードン先生の言う通り、あなたは聖女様だったのよ」
「そうだ。アオイは俺の聖女様だ」
その横でボビーはなんか頓珍漢な事を言っているように思うんだけど、今はそれどころではない。
さっさとこの私に向かって祈るっていう変な一団を止めさせないと。
私は新興宗教の教祖様でもなければ、聖女様なんて良いものではない。
「ちょっと、クリフ。この変な祈りを止めさせてよ」
私は最後の頼みの綱のクリフに縋ったんだけど……
「まあ、アオイ、これは仕方がないことかな」
クリフが右から左へ流してくれたんだけど。
「天におはします女神様。この帝国の地に聖女様を降臨させて頂けたこと感謝の言葉もありません」
空に向かって祈り始めたんだけど……ちょっと、クリフまで止めてよ。
私はもう恥ずかしくって真っ赤になっていた。
「聖女様に感謝を」
クリフはそう言うと私の前に跪いたのだ。
「「「聖女様に感謝を!」」」
後ろのみんなもそれに続いてくれたんだけど。
「われ、帝国第一皇子クリフォード・モンターギュはここに宣誓する。この身を一生涯、聖女様に捧げん事を!」
そう言うとクリフは私に再度跪いた。
「どうか我が願いをお認め下さい」
そして、クリフは私に手を差し出してきたのだ。
「えっ?」
私はもう、恥ずかしくてクリフが何を言っているのかほとんど理解していなかったのだ。
手を何回か、クリフが振ってきた。その手を取れということだろうか?
私は釣られて思わずその手を取ってしまったのだ。
「「「「「ウォーーーーーーーーー」」」」」
大歓声が広場に響き渡ったのだ。
私はその意味するところを全く理解していなかった。
横でボビーが固まっているのも判らなかった。
つぎの瞬間、クリフが私を腕に抱きあげて持ち上げてくれたのだ。
「えっ、ちょっと、クリフ、恥ずかしいから」
私は慌てて叫ぶ。
まあ私は軽いからクリフにとっては大したことがないのかも知れないが、とても高いのだ。
完全にみんなを見下ろす事になってしまったんだけど。
みんな大歓声が続いていて、私はよく判らなかった。
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