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村の皆を治したら失礼な公爵がやってきて私の事を貧相な愛人と言ってくれました

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「ああん、クリフ、怖かったよ」
私はクリフに抱きついて、また泣いてしまった。

涙もろすぎると思うのだけど、本当に怖かったのだ。

でも、散々泣いた後でふと気付いたのだ。

「なんでクリフ入ってきたの?」
そうなのだ。隔離している中に入ってきては本来いけないのだ。

普通は安全が確保されるまで外に出ることは出来ない。帝国の皇子様ともあろう人が何をしてくれるのだ。

「お前にだけは、言われたくない」
クリフが怒っていうんだけど、
平民の私と皇子様では違うと思うのだ。

「お前が心配だったんだろう」
クリフのセリフはとても嬉しいと思うのだけど、軽々しく帝国の皇子様がして良いことではないと思う。

「元はと言えばその中に入るアオイが悪い」
平然とクリフが言ってくれるんだけど、絶対にクリフは入ってはいけなかったと思う。
平民Aの事はあっさりと見捨てないと。

「何を言っている。そもそも俺の入るなという命令に背いたのはお前だ。次やったら俺は絶対について行くからな」
クリフは言い切るんだけど。
私が悪いのか? 何か違うと思うけれど。

「本当ですよ。これで俺が黒死病にかかったら一生涯アオイ様には責任取っていただきますからね」
ジムが言ってくれるんだけど、

「判った。一生涯地下牢に隔離してやるよ」
私に代わってクリフが言ってくれるんだけど、
「殿下、それはないでしょう。殿下が第三騎士団長の静止を振り払って入ってくるから慌ててついてきたんですから」
「それにしては遅かったぞ」
「それは無理ですって。殿下のホワイトにはついていけませんから」
ジムが泣き言を言っていんだけど……

私に襲いかかった男爵や兵士たちは遅れてやってきたケン、トム、ジムによって牢屋に入れられていた。必死に言い訳していたけれど、クリフと私は聞く耳を持たなかった。
疫病が流行りだしたのに何もしなかったのだ。
男爵は愛人との逢瀬を楽しんでいたらしい。
その愛人が病で倒れたので、慌てて情報を集め出して、かかった住民を治していた私を有無を言わさずに連れて来て、拷問しようとしたのだ。なぜ拷問しようとしたか知らないけれど。
治してほしいと頼んだら治してあげたのに!

病を広めた犯人にしして私を突き出すつもりだったらしい。

こういう言い方はあれだけど、私は善意で治してあげたのに!

問答無用だ。

その後、皆して黒死病を発病していた。

クリフなんてほっておけばいいと言い放っていたけれど、さすがに可哀そうになって、一番最後に治してあげたんだけど。


私が落ち着くとクリフは皆を動員して、病人の数を調べてくれた。どこの誰が重病だとか図示してくれたのだ。そして、私をホワイトに乗せて重症の病人の所から順に回ってくれた。

「だ、第一皇子殿下!」
こんな田舎の村でもクリフの事を知っている人はいたのだ。流石に皇子様だ。今回は皇子様がいたこともあってスムーズにヒールをかけられた。

「ありがたやありがたや」
クリフを拝むおばあちゃんまでいたんだけど。

クリフだけでなくて私の事を
「聖女様」
と言ってみんな拝みだしたんだけど。

「あの私は聖女じゃなくて……」
「何をおっしゃいます。黒死病を治せるものなど聖女様以外にはいらっしゃいません」
みんな私のいう事を聞いてはくれなかった。

でも、私は女神教の総本山から聖女じゃないって追放されたんですけど……

「まあ、良いじゃないか。みんながそう言うんだから」
クリフは笑って言ってくれるんだけど……何か違うような気がする。

また、クリフは元気になった人たちを組織立てて炊き出しを始めてくれた。食料は外から第三騎士団の人が運んできてくれて入り口に置いたのをジムたちが村の真ん中の広場に運んできてくれたのだ。
おかみさんの作ってくれた鍋料理の美味しかった事と言ったら無かった。

結局3日も立てば最後に治した男爵も含めてみんな元気になっていた。
そして、そろそろ閉鎖を解除しようという話になっていた。

そんな所にボールドウィン公爵がやってきたのだ。
見た感じとても気難しそうなおじいちゃんだった。

「殿下、お久しぶりですな。自ら疫病の渦中に飛び込まれるなど王子殿下のされることではありませんぞ」
いきなりクリフに苦言を呈してきたんだけど。
そして私を見るなり言ってくれたのだ。
「これはこれはまた貧相な愛人を連れていらっしゃるのですな」
私がプッツン切れた瞬間だった。


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ここまで読んでいただいてありがとうございました。
どうするアオイ?
続きをお楽しみに!
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