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第一皇子視点4 辺境伯夫人らに鬼畜皇子と思われた誤解を解くのが大変でした
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部屋に帰ると、アオイはまだ眠っていた。何か寝顔も可愛い。
俺は思わず抱きしめそうになってしまった。
慌てて風呂に向かう。
頭から水を被ると熱せられた頭が一気に冷えた。
俺が頭を冷やしていると
「きゃっ」
という悲鳴と共に目を両手で覆ったアオイがいたのだ。
「人を覗いておいて、悲鳴を上げるやつがいるかよ」
俺は驚いたが、余裕を見せて答えたはずだ。
良かった欲望を押さえていて……
見られて恥ずかしい姿じゃないはずだ。体も鍛えているし、均整が取れたからだのはずだ。
でも、後ろを向いて素足で立つアオイの姿は煽情的なんだけど。
ダメだダメだ。
俺は慌てて頭を振ると服を着た。
了解してくれるか心配したのだが、アオイは辺境伯らと朝食を取るのを了解してくれた。
食事会場に無向かう途中に、出会う使用人たちも何故か好奇の視線を俺とアオイに向けてくる。
なんだ、どいつもこいつも、俺とアオイを見比べて、アオイを可哀想な者のように見て、俺を鬼畜みたいに見るのは止めてほしい。
俺は、何もしていないぞ! って思わず叫びそうになった。
食事会場に出迎えてくれた辺境伯夫人はさすがに大人で、そんな視線をこちらには向けて来なかったが、アオイに対しては含むところがあったようだ。
まあ、夫人にしてみればあわ良くば自分の娘を俺の婚約者にあてがいたいと思っていたのだろう。
でも、そんな、夫人にアオイが昨日の件を謝りだしたのだ。
「いえ、構いませんのよ。お体の調子はもう大丈夫になったのですか? 体調を崩されたとお伺いしたのですが」
「すみません。私、もともと病弱で、ほとんど外に出たこと無かったんです。しばらく大丈夫だったんですけれど、昨日は、騎士の方々に拷問にかけるぞって脅されて、三人がかりで襲いかかられたのがトラウマになってしまって……」
夫人はアオイの言葉に驚愕していた。
詳しい事は聞いていなかったらしい。
夫人は烈火の如く怒って辺境伯と騎士団長を叱り飛ばしていた。
そして、今度はアオイに同情しだしたのだ。
「本当にごめんなさいね。騎士たちに脅されて怖かったでしょう! 昨日は怖くて寝れなかったのではないの?」
辺境伯夫人が態度をガラリと変えて聞いていた。
「いえ、あの、クリフ様が寝るまで側にいて頂きましたので」
「殿下。こんないたいけな子と昨日は夜を過ごされたと聞きましたが」
そこで、夫人の怒りは俺に向いて来たんだが、俺は手は出していないぞ。
ただ単に震えるアオイを抱きしめていただけだ!
俺はそう言いたかったが、そこに更にアオイが問題発言をしてくれた。
「すみません。無理やりクリフ様に抱いてほしいとお願いしたのは私なんです」
「えっ?」
皆が固まった瞬間だった。
おいおいおいおい!、アオイ、皆が誤解するようなことを言うなよ。
俺は真っ青になった。みんなの視線が怖い。
「殿下、どういう事なんですか? あなたは、こんないたいけな子を抱かれたのですか?」
真っ先に夫人が叱責してきたのだが、
「いや、誤解だ。辺境伯夫人、アオイが抱いたというのは、震える、アオイを慰める意味で」
「それで、このいたいけな少女を自分の物にして、自分の欲望のままに目に隈を作るほど盛ったと」
夫人、それは辺境伯夫人が行って良い言葉ではないぞ!
「お前、盛ると言うのはさすがにいかがなものかと」
「あなたはだまらっしゃい!」
しかし、怒った辺境伯夫人は窘めた辺境伯を一括して黙らせていた。
「殿下、こんなまだ小さい子供を抱くなどどういう事です」
更に詰問してきたんだけど、そこに更にアオイの問題発言が……
「すみません。私が抱いてくれと言ったんです」
「アオイ、頼むから黙っていてくれ」
俺は必死にアオイに頼んだのだ。そうしないとこのままますます俺が悪者になるではないか!
俺は身振り手振りで、アオイには一切手を出していない旨を必死に説明したのだ。
辺境伯夫人は中々信じてくれなくて、もう大変だった。
やっと辺境伯夫人が理解してくれた時は俺はもう汗だくだった。
その横でアオイは他人事のような顔をしているんだが、お前のことだっていうのに!
アオイは絶対に皆がどう取ったかなんか理解していないはずだ。
その後、夫人はますますアオイに同情してやたらとアオイに構うようになっていた。
まあ、口うるさい、辺境伯夫人を味方に付けるに越した事はないので俺は黙っていたが、何故か、アオイは自分よりも年上の同姓にとても好かれる事になっていくのだ。
「アオイ様は本当にババ誑しですね」
ジムが言っていた。本当にそのとおりだ。
でも、余計なことを言ったのを侍女の一人が聞いていたようで、ジムの食事はいつの間にか下げられていたそうだ。口は災いの元なのだ。俺はくれぐれも気をつけようと心に記したのだ。
***************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
今日もガンガン更新していきます
俺は思わず抱きしめそうになってしまった。
慌てて風呂に向かう。
頭から水を被ると熱せられた頭が一気に冷えた。
俺が頭を冷やしていると
「きゃっ」
という悲鳴と共に目を両手で覆ったアオイがいたのだ。
「人を覗いておいて、悲鳴を上げるやつがいるかよ」
俺は驚いたが、余裕を見せて答えたはずだ。
良かった欲望を押さえていて……
見られて恥ずかしい姿じゃないはずだ。体も鍛えているし、均整が取れたからだのはずだ。
でも、後ろを向いて素足で立つアオイの姿は煽情的なんだけど。
ダメだダメだ。
俺は慌てて頭を振ると服を着た。
了解してくれるか心配したのだが、アオイは辺境伯らと朝食を取るのを了解してくれた。
食事会場に無向かう途中に、出会う使用人たちも何故か好奇の視線を俺とアオイに向けてくる。
なんだ、どいつもこいつも、俺とアオイを見比べて、アオイを可哀想な者のように見て、俺を鬼畜みたいに見るのは止めてほしい。
俺は、何もしていないぞ! って思わず叫びそうになった。
食事会場に出迎えてくれた辺境伯夫人はさすがに大人で、そんな視線をこちらには向けて来なかったが、アオイに対しては含むところがあったようだ。
まあ、夫人にしてみればあわ良くば自分の娘を俺の婚約者にあてがいたいと思っていたのだろう。
でも、そんな、夫人にアオイが昨日の件を謝りだしたのだ。
「いえ、構いませんのよ。お体の調子はもう大丈夫になったのですか? 体調を崩されたとお伺いしたのですが」
「すみません。私、もともと病弱で、ほとんど外に出たこと無かったんです。しばらく大丈夫だったんですけれど、昨日は、騎士の方々に拷問にかけるぞって脅されて、三人がかりで襲いかかられたのがトラウマになってしまって……」
夫人はアオイの言葉に驚愕していた。
詳しい事は聞いていなかったらしい。
夫人は烈火の如く怒って辺境伯と騎士団長を叱り飛ばしていた。
そして、今度はアオイに同情しだしたのだ。
「本当にごめんなさいね。騎士たちに脅されて怖かったでしょう! 昨日は怖くて寝れなかったのではないの?」
辺境伯夫人が態度をガラリと変えて聞いていた。
「いえ、あの、クリフ様が寝るまで側にいて頂きましたので」
「殿下。こんないたいけな子と昨日は夜を過ごされたと聞きましたが」
そこで、夫人の怒りは俺に向いて来たんだが、俺は手は出していないぞ。
ただ単に震えるアオイを抱きしめていただけだ!
俺はそう言いたかったが、そこに更にアオイが問題発言をしてくれた。
「すみません。無理やりクリフ様に抱いてほしいとお願いしたのは私なんです」
「えっ?」
皆が固まった瞬間だった。
おいおいおいおい!、アオイ、皆が誤解するようなことを言うなよ。
俺は真っ青になった。みんなの視線が怖い。
「殿下、どういう事なんですか? あなたは、こんないたいけな子を抱かれたのですか?」
真っ先に夫人が叱責してきたのだが、
「いや、誤解だ。辺境伯夫人、アオイが抱いたというのは、震える、アオイを慰める意味で」
「それで、このいたいけな少女を自分の物にして、自分の欲望のままに目に隈を作るほど盛ったと」
夫人、それは辺境伯夫人が行って良い言葉ではないぞ!
「お前、盛ると言うのはさすがにいかがなものかと」
「あなたはだまらっしゃい!」
しかし、怒った辺境伯夫人は窘めた辺境伯を一括して黙らせていた。
「殿下、こんなまだ小さい子供を抱くなどどういう事です」
更に詰問してきたんだけど、そこに更にアオイの問題発言が……
「すみません。私が抱いてくれと言ったんです」
「アオイ、頼むから黙っていてくれ」
俺は必死にアオイに頼んだのだ。そうしないとこのままますます俺が悪者になるではないか!
俺は身振り手振りで、アオイには一切手を出していない旨を必死に説明したのだ。
辺境伯夫人は中々信じてくれなくて、もう大変だった。
やっと辺境伯夫人が理解してくれた時は俺はもう汗だくだった。
その横でアオイは他人事のような顔をしているんだが、お前のことだっていうのに!
アオイは絶対に皆がどう取ったかなんか理解していないはずだ。
その後、夫人はますますアオイに同情してやたらとアオイに構うようになっていた。
まあ、口うるさい、辺境伯夫人を味方に付けるに越した事はないので俺は黙っていたが、何故か、アオイは自分よりも年上の同姓にとても好かれる事になっていくのだ。
「アオイ様は本当にババ誑しですね」
ジムが言っていた。本当にそのとおりだ。
でも、余計なことを言ったのを侍女の一人が聞いていたようで、ジムの食事はいつの間にか下げられていたそうだ。口は災いの元なのだ。俺はくれぐれも気をつけようと心に記したのだ。
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