ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ
古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
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婚約者の言いがかりを論破して、辺境伯は罠を仕掛けました。
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「これはこれは、またですか? 王子殿下ともあろうものが、証拠もなしに私を貶めるなど。前回の断罪失敗で身に沁みて判っていらっしゃると思ったのですが」
私が馬鹿にしたように言ってやった。
「何を言うか。ハメたのはその方であろうが。私は強く推してもいないのに、私に突き落とされたと嘘をついたのは」
私の言葉に女たらしは文句を言ってきた。
ふんっ、何を言っているんだか! あれは証人が5万といるんだけど!
「何をおっしゃるのやら。その場にいらっしゃった方は皆さん、ご覧になっていたのですよ。あなた様が私を押されるのをはっきりとね。そうですよね。ハロルド殿下」
「そうだ。私もはっきりとこの目で見たし、司法長官も頷かれたぞ」
私の言葉にハロルドが頷いてくれた。言う前に一瞬私を呆れたように見たけれど、私に足を蹴飛ばされたくなかったのだろう。素直に頷いてくれた。
「なんと、ロンド王国の王太子殿下は我が国の聖女様を暗殺されようとしたのですか」
私の前に、ヘリフォード泊が身を挺して私と女たらしの間に出てきてくれたんだけど・・・・。そこまでされるとさすがの私も良心の呵責が・・・・。
「だからやっていないと申し上げている。キャサリンは自分で落ちたのだ」
「殿下。キャサリン様は今は我が国の王太子殿下の婚約者なのです。前の婚約者とはいえ、呼び捨てはいかがなものかと」
エイブさんがやんわりと注意してくれた。そうだ。様付けで呼べ。
「それはキャサリン様、申し訳ないことをした。つい今までの癖で」
エイベルが仕方なしに謝ってきた。
「その事よりも今回の魔物のスタンピードがどうして起こったかではありませんか。聞く所によると貴国では、キャサリン様が聖女でもないのに、聖女と呼ばれているとか。それを神が怒って魔物を發生させたと申すものもおりましてよ」
「アデラ様。そこは何をもってして聖女とするかでござろう。我が国の建国の聖女様と同じ装いのキャサリン様は我が国王自らが聖女と認定されたのです。それにケチを付けられるおつもりか」
「左様。これは下手をすると外交問題ですぞ」
エイブさんの言葉にヘリフォード伯も淫乱聖女を脅してくる。
「何をおっしゃっていらつしゃるのですか。聖女とは癒やしの担い手。キャサリン様はヒールはお使いになれないでしょう?」
「それはロンド王国の倫理だろう。聖女様とは必ずしもヒールを使えなくても宜しかろう。聖女の定義は基本は神に愛される心の清らかな方を言うものではございませんかな」
「いや、我が教会においては」
「貴国の教会云々はどうでも宜しかろう。我が国の陛下が認定されたのです」
「そ、そんな」
聖女が真っ赤になっているが、確かにエイブさんが言うように、聖女が必ず、ヒールを使えなければいけないという万国共通のルールは無いのだ。
もっともエイブさんの心清らかなという面では絶対に淫乱聖女には当てはまらない。
自分の言うことを聞かないやつは暗殺や、ならず者に襲わせて娼館送りとか、こいつはえげつないことを今までしているのだから。
「ならば、今回の魔物発生に関しては、ベルファスト王国側としてはどのような見解がお有りなのですか」
まずいと思ったのかエイベルが話題を変えてきた。
「今回の魔物の大量発生はダンジョンに設置されていた闇の魔導器具が使われたと思われます。それを聖女キャサリン様が破壊して頂いたところ、魔物はいなくなりましたから」
「や、闇の魔道具ですか」
淫乱聖女は青くなって聞いてきた。
「左様です。そこに置かれた黒い十字架から大量の魔物が出てきていたのです」
「それを破壊していただけということはもう魔物は出ないということですか?」
ロンドの騎士団長が聞いてきた。
「基本はそのはずです。後は残党のみですな」
「失礼ですが、ベルファスト王国には当初大量の魔物が出現したと聞いておったのですが、全て退治されたのですか」
「さよう。聖女キャサリン様のお力で多くの魔物を浄化されたのです」
エイブさんが大げさに言ってくれる。まあ、障壁で叩き潰したとはいえないよね。
「キャサリン様は浄化魔術を使われるのか」
騎士団長が驚いて聞いてきた。
「そんなバカな」
女たらしと淫乱は私に食って掛かりそうだったが。
「そうでなかったら、我々が対処の仕様がなかったでしょう」
エイブさんが大仰に私を援護してくれるんだけど。
ロンド側としても、そう言われるとそれを頷くしか無かった。まあ、龍が脅して大量の魔物がロンド王国に行ったのも原因だとは思うけれど、元々黒い十字架を設置したのはロンド側だ。それも致し方ないはずだ。
「後は、その十字架を誰が設置したかです」
エイブさんは淫乱聖女を睨んで言った。
「本当に、どこの馬の骨がそのような無謀なことをしたのか」
「許せませんな」
淫乱と女たらしが引きつった笑いをするんだけど。
「ものは完全に破壊されましたが、残骸はこちらで回収いたしました。王都で研究すれば誰が設置したかも判るかも知れません。残留魔術の行方を追えば判るやも知れませんし」
エイブさんがそう言うんだけど。あれ? 黒い十字架は私がプッツン切れたので、完全に木端微塵に潰してしまったんだけど、破片でも集めたんだろうか? 私が不思議そうな顔をして、エイブさんを見るとエイブさんは何故か大きく頷いてくれたんだけど。何でだろう?
その前では女たらしの王太子と淫乱聖女の顔が引きつっているのがはっきりとわかったのだが、それと関連があるのだろうか?
私は伯爵もハロルドも頷くので一人判っていなかったが、愛想笑いしてその場は誤魔化したのだ。
私が馬鹿にしたように言ってやった。
「何を言うか。ハメたのはその方であろうが。私は強く推してもいないのに、私に突き落とされたと嘘をついたのは」
私の言葉に女たらしは文句を言ってきた。
ふんっ、何を言っているんだか! あれは証人が5万といるんだけど!
「何をおっしゃるのやら。その場にいらっしゃった方は皆さん、ご覧になっていたのですよ。あなた様が私を押されるのをはっきりとね。そうですよね。ハロルド殿下」
「そうだ。私もはっきりとこの目で見たし、司法長官も頷かれたぞ」
私の言葉にハロルドが頷いてくれた。言う前に一瞬私を呆れたように見たけれど、私に足を蹴飛ばされたくなかったのだろう。素直に頷いてくれた。
「なんと、ロンド王国の王太子殿下は我が国の聖女様を暗殺されようとしたのですか」
私の前に、ヘリフォード泊が身を挺して私と女たらしの間に出てきてくれたんだけど・・・・。そこまでされるとさすがの私も良心の呵責が・・・・。
「だからやっていないと申し上げている。キャサリンは自分で落ちたのだ」
「殿下。キャサリン様は今は我が国の王太子殿下の婚約者なのです。前の婚約者とはいえ、呼び捨てはいかがなものかと」
エイブさんがやんわりと注意してくれた。そうだ。様付けで呼べ。
「それはキャサリン様、申し訳ないことをした。つい今までの癖で」
エイベルが仕方なしに謝ってきた。
「その事よりも今回の魔物のスタンピードがどうして起こったかではありませんか。聞く所によると貴国では、キャサリン様が聖女でもないのに、聖女と呼ばれているとか。それを神が怒って魔物を發生させたと申すものもおりましてよ」
「アデラ様。そこは何をもってして聖女とするかでござろう。我が国の建国の聖女様と同じ装いのキャサリン様は我が国王自らが聖女と認定されたのです。それにケチを付けられるおつもりか」
「左様。これは下手をすると外交問題ですぞ」
エイブさんの言葉にヘリフォード伯も淫乱聖女を脅してくる。
「何をおっしゃっていらつしゃるのですか。聖女とは癒やしの担い手。キャサリン様はヒールはお使いになれないでしょう?」
「それはロンド王国の倫理だろう。聖女様とは必ずしもヒールを使えなくても宜しかろう。聖女の定義は基本は神に愛される心の清らかな方を言うものではございませんかな」
「いや、我が教会においては」
「貴国の教会云々はどうでも宜しかろう。我が国の陛下が認定されたのです」
「そ、そんな」
聖女が真っ赤になっているが、確かにエイブさんが言うように、聖女が必ず、ヒールを使えなければいけないという万国共通のルールは無いのだ。
もっともエイブさんの心清らかなという面では絶対に淫乱聖女には当てはまらない。
自分の言うことを聞かないやつは暗殺や、ならず者に襲わせて娼館送りとか、こいつはえげつないことを今までしているのだから。
「ならば、今回の魔物発生に関しては、ベルファスト王国側としてはどのような見解がお有りなのですか」
まずいと思ったのかエイベルが話題を変えてきた。
「今回の魔物の大量発生はダンジョンに設置されていた闇の魔導器具が使われたと思われます。それを聖女キャサリン様が破壊して頂いたところ、魔物はいなくなりましたから」
「や、闇の魔道具ですか」
淫乱聖女は青くなって聞いてきた。
「左様です。そこに置かれた黒い十字架から大量の魔物が出てきていたのです」
「それを破壊していただけということはもう魔物は出ないということですか?」
ロンドの騎士団長が聞いてきた。
「基本はそのはずです。後は残党のみですな」
「失礼ですが、ベルファスト王国には当初大量の魔物が出現したと聞いておったのですが、全て退治されたのですか」
「さよう。聖女キャサリン様のお力で多くの魔物を浄化されたのです」
エイブさんが大げさに言ってくれる。まあ、障壁で叩き潰したとはいえないよね。
「キャサリン様は浄化魔術を使われるのか」
騎士団長が驚いて聞いてきた。
「そんなバカな」
女たらしと淫乱は私に食って掛かりそうだったが。
「そうでなかったら、我々が対処の仕様がなかったでしょう」
エイブさんが大仰に私を援護してくれるんだけど。
ロンド側としても、そう言われるとそれを頷くしか無かった。まあ、龍が脅して大量の魔物がロンド王国に行ったのも原因だとは思うけれど、元々黒い十字架を設置したのはロンド側だ。それも致し方ないはずだ。
「後は、その十字架を誰が設置したかです」
エイブさんは淫乱聖女を睨んで言った。
「本当に、どこの馬の骨がそのような無謀なことをしたのか」
「許せませんな」
淫乱と女たらしが引きつった笑いをするんだけど。
「ものは完全に破壊されましたが、残骸はこちらで回収いたしました。王都で研究すれば誰が設置したかも判るかも知れません。残留魔術の行方を追えば判るやも知れませんし」
エイブさんがそう言うんだけど。あれ? 黒い十字架は私がプッツン切れたので、完全に木端微塵に潰してしまったんだけど、破片でも集めたんだろうか? 私が不思議そうな顔をして、エイブさんを見るとエイブさんは何故か大きく頷いてくれたんだけど。何でだろう?
その前では女たらしの王太子と淫乱聖女の顔が引きつっているのがはっきりとわかったのだが、それと関連があるのだろうか?
私は伯爵もハロルドも頷くので一人判っていなかったが、愛想笑いしてその場は誤魔化したのだ。
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