ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ
古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
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ベルファスト第二王子視点3 伯爵が裏切ったので、父にばれる前に王宮で殺すことにしました
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俺は、第一王子が亡くなったとの報を心待ちにしていた。
殺しても、病で亡くなったということにすれば良いのだろう。
父はなにか気づくかもしれないが、兄が亡くなれば継ぐのは俺しかいなくなるのだ。黙るしかあるまい。色々と画策していた奴らも俺しか継げるものがいなければ、俺に継がすしか無くなる。
もっとも、俺は色々画策した奴らは許さないけれど。絶対に目にもの見せてくれる。領地の半減とか、増税とか、やりようは色々ある。俺につかずに兄についたのを一生後悔させてやる。
しかし、俺が心待ちにした報告は中々、上がって来なかった。
いくらなんでも遅すぎると思った時だ。
「殿下大変ですぞ」
俺の部屋に慌てて宰相がやってきた。
「どうしたというのだ?」
「ヘリフォード伯爵が裏切ったようです」
「何だと。あのヘリフォードがか?」
俺は信じられなかった。あの利に聡い伯爵が裏切るなど考えられなかった。
あの男は王都に来るたびに俺に挨拶していろんな土産を持ってきたし、パーティーの時はずうーっと俺の横にいたはずなのだ。その娘のカーラも俺に首ったけだったはずだ。俺は嫌っていたが、それがバレたのか? それで、兄についたというのだろうか?
そんなバカな。
俺はそのような身振りはしていなかったはずだ。
俺は呆然とした。
「伯爵につけた影達が連絡を絶ちました。殺されたかと」
宰相は慌てていた。
「殿下。こうなったら、もうやるしかありません」
「やるとは」
「しっ」
宰相が指を口に当てた。
「殿下が兄上の抹殺を図ったともう第一王子殿下に伝わっているでしょう。兄上が王宮に来られれば断罪するに違いありません。その前に動きます」
宰相が目を光らせて言った。
「そこまでするのか」
俺は驚いた。
「私の考えの足りなかった面も否定できませんが、まさか、ヘリフォード伯爵が裏切るとは思ってもいませんでした。兄上が陛下に会われたら、確実に今回の殿下のことを報告されるでしょう」
「しかし、そこまで兄がするのか」
「兄上は甘い所がお有りですから、しない可能性もあります。しかし、事、ここに至れば、念のためにやるしか無いでしょう」
宰相は言い切った。
「辺境伯は100騎の騎士を連れているのだぞ。それも一騎当千の実力揃いの騎士達だ。それを相手にやれるのか?」
「王宮の殿下の部屋で襲うしか無いでしょう」
「やれるのか?」
そうだ。全てはそこにかかっている。やるからには準備する前に動かないと下手したら内乱になってしまう。
「王都の屋敷に300騎を呼び寄せました。そのうち、100騎を王宮に忍び込ませます。第一王子殿下は辺境伯の騎士を全員を王宮に連れて入るわけには参りますまい。多くても10騎くらいだと。100対10ならば勝てましょう」
「しかし、失敗すればそれまでだぞ」
「既に失敗しているのです。それもそれを依頼した伯爵が兄上に寝返ったのですから。もう猶予はございますまい。お覚悟を殿下」
宰相は俺に跪いた。
「判った」
俺は頷くしかなかった。
まあ、貴族の大半は俺の派閥だ。兄を殺せと言ってついてくるかというと中々そこまでのものはいないが、兄が死んだとなればみんな私に付くだろう。殺せと言ってついてこなかったヘリフォード伯爵もいるが、まあ、伯爵も兄と一緒に死んでもらえば良かろう。私を裏切った事を後悔しても遅いのだ。確かにヘリフォード伯爵は何を考えているかよくわからない面もあったが、その行動が身を滅ぼすのだ。
兄が死ねば、父の子供は残りは私しかいないのだから、私が継ぐしかなくなるのだ。
まあ、目立たない兄だったが、ここで死んでもらうしか無いだろう。
色々と手違いがあったが、これで正当な権利者の手に王太子の地位は授けられるのだ。俺はそれを疑うことはなかったのだ。
可哀相だが、兄はこの王宮で剣に突き刺されて死ぬことになるだろう。
これで目の上のたん瘤だった兄が死ねば全て丸く収まるのだ。
俺は立ち去った宰相の姿が見えなくなると高笑いした。そう、俺の世の中がやっと来るのだ。
殺しても、病で亡くなったということにすれば良いのだろう。
父はなにか気づくかもしれないが、兄が亡くなれば継ぐのは俺しかいなくなるのだ。黙るしかあるまい。色々と画策していた奴らも俺しか継げるものがいなければ、俺に継がすしか無くなる。
もっとも、俺は色々画策した奴らは許さないけれど。絶対に目にもの見せてくれる。領地の半減とか、増税とか、やりようは色々ある。俺につかずに兄についたのを一生後悔させてやる。
しかし、俺が心待ちにした報告は中々、上がって来なかった。
いくらなんでも遅すぎると思った時だ。
「殿下大変ですぞ」
俺の部屋に慌てて宰相がやってきた。
「どうしたというのだ?」
「ヘリフォード伯爵が裏切ったようです」
「何だと。あのヘリフォードがか?」
俺は信じられなかった。あの利に聡い伯爵が裏切るなど考えられなかった。
あの男は王都に来るたびに俺に挨拶していろんな土産を持ってきたし、パーティーの時はずうーっと俺の横にいたはずなのだ。その娘のカーラも俺に首ったけだったはずだ。俺は嫌っていたが、それがバレたのか? それで、兄についたというのだろうか?
そんなバカな。
俺はそのような身振りはしていなかったはずだ。
俺は呆然とした。
「伯爵につけた影達が連絡を絶ちました。殺されたかと」
宰相は慌てていた。
「殿下。こうなったら、もうやるしかありません」
「やるとは」
「しっ」
宰相が指を口に当てた。
「殿下が兄上の抹殺を図ったともう第一王子殿下に伝わっているでしょう。兄上が王宮に来られれば断罪するに違いありません。その前に動きます」
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俺は驚いた。
「私の考えの足りなかった面も否定できませんが、まさか、ヘリフォード伯爵が裏切るとは思ってもいませんでした。兄上が陛下に会われたら、確実に今回の殿下のことを報告されるでしょう」
「しかし、そこまで兄がするのか」
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宰相は言い切った。
「辺境伯は100騎の騎士を連れているのだぞ。それも一騎当千の実力揃いの騎士達だ。それを相手にやれるのか?」
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「やれるのか?」
そうだ。全てはそこにかかっている。やるからには準備する前に動かないと下手したら内乱になってしまう。
「王都の屋敷に300騎を呼び寄せました。そのうち、100騎を王宮に忍び込ませます。第一王子殿下は辺境伯の騎士を全員を王宮に連れて入るわけには参りますまい。多くても10騎くらいだと。100対10ならば勝てましょう」
「しかし、失敗すればそれまでだぞ」
「既に失敗しているのです。それもそれを依頼した伯爵が兄上に寝返ったのですから。もう猶予はございますまい。お覚悟を殿下」
宰相は俺に跪いた。
「判った」
俺は頷くしかなかった。
まあ、貴族の大半は俺の派閥だ。兄を殺せと言ってついてくるかというと中々そこまでのものはいないが、兄が死んだとなればみんな私に付くだろう。殺せと言ってついてこなかったヘリフォード伯爵もいるが、まあ、伯爵も兄と一緒に死んでもらえば良かろう。私を裏切った事を後悔しても遅いのだ。確かにヘリフォード伯爵は何を考えているかよくわからない面もあったが、その行動が身を滅ぼすのだ。
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