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黒死病で筆頭魔導師が倒れたとの噂が流れました
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翌日も授業が通常通り行われたが、私は授業に中々集中できなかった。日頃からドジっ子なのだが、それがさらにひどくなった。
数学のミニテストで全て1桁繰り上げを忘れて0点を取ったり、ファイアーボールを真横のデニスに当てそうになったりと散々だった。
発射したファイアーボールがUターンして戻ってきたときには、思わず目が飛び出そうになった。一瞬で現実に戻って思わず障壁を張ったのだ。そこまでは良かったのだが、焦っていたので、勢いが付きすぎて隣りにいたデニスをそのまま障壁で弾き飛ばしてしまったのだ。
「貴様。平民の分際で私を弾き飛ばすとは良い根性しているではないか」
怒り狂うデニスにただひたすら謝るしか無かった。
もっとも、その直後に、今度はフランツ先生が飛んできて、文句を言うデニスを弾き飛ばしてどうやったかもう一度見せてくれと言われたときには驚いた。
そんなに珍しいのだろうか。ちょっとアルバート様のことが脳裏に浮かんで大丈夫かなと思ったまま、発射しただけなのだが。
もう一度考えながら色々やってみたが、二度と出来なかった。、
「また出来るようになったら教えて欲しい」
目を輝かせてフランツ先生は言うが、そう簡単に出来るわけはなかった。
アルバートやクリスが戦場にいると思うとどうしても心配で考えてしまって注意力散漫になってしまうらしい。
ボフミエ軍はワットの村に展開しているそうだった。
アルバートは歴戦の騎士で本来ならば問題はないはずなのだが、何しろ今回は相手が魔王なのだ。世界最強騎士と言われているジャスティンでさえ傷つけられたのだ。
アルバートが絶対に怪我しないとは言い切れなかった。
何しろアルバートは筆頭魔導師様の護衛騎士で、いくら筆頭魔導師様が世界で一番強いと言われていても魔王相手では実際に戦ってみないとどうなるかわからないではないか。そして、アルバートはその筆頭魔導師様の護衛騎士ということは、まっさきに魔王と剣を交える可能性があるのだ。
放課後の訓練は間違えて人を傷つけてしまうとまずいので、ただひたすら標的に向けてファイヤーボールと衝撃波を放った。
剣の訓練はアルバートに教えてもらった型をただひたすら振った。
そして、2、3日たった後に怖ろしい噂がソニアに届いた。
「ソニア、聞いた?ワットの村黒死病が流行りだしたって」
「えっ」
私はクチャの言葉を聞いて固まった。
黒死病って致死率がめちゃくちゃ高い死病じゃないかと。
「そんな馬鹿な。本当なの?」
「王宮務めの親がいる貴族の令嬢に確認したから事実みたいよ」
ケチャは容赦がなかった。
黒死病はかかったものの多くが死ぬ死病で、昔はその村ごと燃やしたりもしたはずだ。
「黒死病が出たらどうなるの?」
「黒死病が出た村は外界から遮断されるはずよ」
私は気になってケチャに聞くとケチャは答えてくれた。
いきなり村ごと燃やされることはないらしい。
「でも、ボフミエ軍の半数がワットの村にいるんじゃ」
私の悲鳴のような声は皆の思いだった。
何しろワットの村には筆頭魔導師様を始め暴風王女と赤い死神までいるのだ。
もしお三方とも病気にかかって亡くなったりしたらそれで魔王に負けてしまうだろう。
その件については箝口令が出ていたにもかかわらず、またたく間に街中に広まった。
街は死んだように静まり返っていた。
私は毎朝と夜にアルバートとクリスが黒死病にかからないようにお祈りするのが日課になった。
しかし、翌日、筆頭魔導師様が黒死病で倒れたとの噂が流れたのだった。
*******************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ソニアは心配のあまり食事もあまり喉に通りません。
黒死病がどうなったかは昼に更新予定です。
数学のミニテストで全て1桁繰り上げを忘れて0点を取ったり、ファイアーボールを真横のデニスに当てそうになったりと散々だった。
発射したファイアーボールがUターンして戻ってきたときには、思わず目が飛び出そうになった。一瞬で現実に戻って思わず障壁を張ったのだ。そこまでは良かったのだが、焦っていたので、勢いが付きすぎて隣りにいたデニスをそのまま障壁で弾き飛ばしてしまったのだ。
「貴様。平民の分際で私を弾き飛ばすとは良い根性しているではないか」
怒り狂うデニスにただひたすら謝るしか無かった。
もっとも、その直後に、今度はフランツ先生が飛んできて、文句を言うデニスを弾き飛ばしてどうやったかもう一度見せてくれと言われたときには驚いた。
そんなに珍しいのだろうか。ちょっとアルバート様のことが脳裏に浮かんで大丈夫かなと思ったまま、発射しただけなのだが。
もう一度考えながら色々やってみたが、二度と出来なかった。、
「また出来るようになったら教えて欲しい」
目を輝かせてフランツ先生は言うが、そう簡単に出来るわけはなかった。
アルバートやクリスが戦場にいると思うとどうしても心配で考えてしまって注意力散漫になってしまうらしい。
ボフミエ軍はワットの村に展開しているそうだった。
アルバートは歴戦の騎士で本来ならば問題はないはずなのだが、何しろ今回は相手が魔王なのだ。世界最強騎士と言われているジャスティンでさえ傷つけられたのだ。
アルバートが絶対に怪我しないとは言い切れなかった。
何しろアルバートは筆頭魔導師様の護衛騎士で、いくら筆頭魔導師様が世界で一番強いと言われていても魔王相手では実際に戦ってみないとどうなるかわからないではないか。そして、アルバートはその筆頭魔導師様の護衛騎士ということは、まっさきに魔王と剣を交える可能性があるのだ。
放課後の訓練は間違えて人を傷つけてしまうとまずいので、ただひたすら標的に向けてファイヤーボールと衝撃波を放った。
剣の訓練はアルバートに教えてもらった型をただひたすら振った。
そして、2、3日たった後に怖ろしい噂がソニアに届いた。
「ソニア、聞いた?ワットの村黒死病が流行りだしたって」
「えっ」
私はクチャの言葉を聞いて固まった。
黒死病って致死率がめちゃくちゃ高い死病じゃないかと。
「そんな馬鹿な。本当なの?」
「王宮務めの親がいる貴族の令嬢に確認したから事実みたいよ」
ケチャは容赦がなかった。
黒死病はかかったものの多くが死ぬ死病で、昔はその村ごと燃やしたりもしたはずだ。
「黒死病が出たらどうなるの?」
「黒死病が出た村は外界から遮断されるはずよ」
私は気になってケチャに聞くとケチャは答えてくれた。
いきなり村ごと燃やされることはないらしい。
「でも、ボフミエ軍の半数がワットの村にいるんじゃ」
私の悲鳴のような声は皆の思いだった。
何しろワットの村には筆頭魔導師様を始め暴風王女と赤い死神までいるのだ。
もしお三方とも病気にかかって亡くなったりしたらそれで魔王に負けてしまうだろう。
その件については箝口令が出ていたにもかかわらず、またたく間に街中に広まった。
街は死んだように静まり返っていた。
私は毎朝と夜にアルバートとクリスが黒死病にかからないようにお祈りするのが日課になった。
しかし、翌日、筆頭魔導師様が黒死病で倒れたとの噂が流れたのだった。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ソニアは心配のあまり食事もあまり喉に通りません。
黒死病がどうなったかは昼に更新予定です。
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