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第二章 愛娘との幸せな生活を邪魔することは許しません

残虐王はシャラの怒り前に王宮ごと燃やされました

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アルヴィンは思いっきりオードリーの肢体を抱きしめた。
もうどうでも良かった。王弟反逆からこっち今まで生きていたことを良かったと思ったことはなかった。

地獄の試練もシャラに邪魔されて一度も受けたことはなかった。
妻を目の前で犯され、親兄弟を殺されて、何も出来なかった。

それをただただ見ていることしか出来なかった。

そして、今その妻を自らの手で殺害した。

どす黒い想いがぐるぐるアルヴインの周りを渦巻いて回っていた。


「自らを裏切った妻を殺してせいせいしたか、アルヴィン」
いつの間にか必至にベッドから転がり落ちて怯えていたキャメロンは近衛に周りを囲まれて立上っていた。

元気までも戻ったようだった。

元々此奴が諸悪の根源だった。

此奴らは全員殺す。アルヴィンは自らが開発した爆薬を服に仕込んでいた。自らの生命反応が切れると同時に爆発するようになっていた。この部屋くらい一瞬で消え去るだろう。

周りの近衛騎士が剣を抜いた。

アルヴインはニヤリとした。

もう生きていくのは嫌だ。地獄で無限地獄の責め苦を受けよう。

「父上、母上、殺された者たちよ。今こそその主犯達を地獄に叩き落としてやります」
アルヴィンは腕の中のオードリーを抱きしめた。

何だこれは。おかしい。
騎士たちは一瞬戸惑った。

「殺れ」
慌ててキャメロンは命じた。

やむを得ず騎士たちが殺到した。

アルヴィンはこれで地上の責務が終わると思った。

しかし、その前に金色の髪を振り乱した奴が転移してきた。

シャラは一瞬で剣を一閃した。

騎士たちが瞬間的に躰をぶった斬られて吹っ飛んだ。

「すまん。アルヴィン。貴様を酷い目に合わせた」
着陸したシャラは後ろを振り返りもせずに謝った。

アルヴィンの周りにもそれを守るように10名の仲間が転移してきた。

今来るか。アルヴィンは信じられなかった。

しかし、シャラが来た限りもうここも終わりだ。


「そこの人間のクズ。まだ生きておったのか」
シャラがそう言うとゆっくりと歩き出した。

騎士が斬りかかるが、その剣を人差し指で止める。

「えっ」
騎士は驚愕に目を開いた。

その剣をそのまま軽く指で弾くや、剣は折れてその男に突き刺さっていた。

「ヒィィィ」
騎士たちはそれを見て思わず後ずさりした。

シャラが手を振るとキャメロンの周りの騎士たちが全員弾き飛ばされた。

キャメロンは思わず腰を抜かした。

「良くもクローディアに手を出そうとしてくれたな」

「ヒィィィ、お許しを」
キャメロンは思わず後ろに後ずさろうとしたが、騎士の死体に引っかかって下がれなくなった。
「そもそも貴様が、余計な反逆などせず静かにしておればクローディアが生贄にされそうになることもなかったのじゃ。諸悪の根源は貴様じゃ。それをお目溢ししてやるとつけあがりおって、クローディアに手を出そうとするなどもう許さん」

ニヤリとシャラが笑うとキャメロンの股間を踏み抜いた。

「ギャーーーーー」
凄まじいキャメロンの絶叫が室内に響いた。


「貴様は地獄がどんなところか判っておらぬでろう。死ぬ前に教えてやろう」
そう言うとキャメロンの血まみれの躰を持ち上げた。

「ふんっ、もう地獄でも悪さは出来まい。もっともやる暇もないがな」
その頬を思いっきり張り飛ばした。

キャメロンはそのまま壁に頭から突入する。

「貴様の悪行、相当ひどいそうじゃな。周りの騎士共もそれを手助けしておったのであろう」
倒れている騎士共の躰を踏み潰しながらシャラが言う。
騎士たちは悶絶していった。

そして、キャメロンの体を持ち上げる。
キャメロンはもう息も絶え絶えだった。
「地獄では殺した者の数だけ殺されるのじゃ。それも同じ殺され方でな。貴様が殺した者たちの苦しみが嫌ほど判るであろう」

「ゆ、許してくれ」
キャメロンは必至に許しを乞うた。

「それは地獄で乞うのじゃな。もっとも誰も聞いてはくれまいが」
言うや、キャメロンの躰を騎士たちの山の上に投げ出した。

そして、その体に向けて爆炎魔術を発動させた。

その火は真瞬く間に騎士ごとキャメロンを包み込み、次の瞬間には王宮の全てを尽く覆った。

キャメロンの悪巧みに組みした者のの多くを炎に包んでいた。

ここに残虐王一味は殲滅された。
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