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第二章 愛娘との幸せな生活を邪魔することは許しません

シャラは愛娘の膝枕で気絶し、元第二王子アルヴィンは自ら手を下すために残虐王の元に向かいました。

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シャラは攻撃の後、立ち尽くしていた。

あまりにも魔術の爆発が大きくて呆然としているのだろうか。

クローディアはその勇姿を後ろから見てぼんやりと考えていた。

「シャラザールさん。助けてくれて本当にありがとうございました」
クローディアが言うが、シャラから返事がなかった。

そして、ゆらゆらしてシャラが倒れ込んできた。

「えっ」
クローデイアは躰でシャラを受け止めていた。

「ダメだ。魔力切れだ」
慌ててアルヴィンが駆け寄る。
シャラをどけてクローディアの拘束魔道具を外す。

そして、上着をクローディアにかけた。

「きゃっ」
胸がはだけているのに気づいてクローデイアは慌てて胸元を閉じる。

周りには敵は見えなかったが、キャメロンは生きているはずだ。このままではすぐに敵兵がやってくるはずだ。

「とりあえず場所を変えるよ」
アルヴィンはとりあえず、この場を離れることにした。

「離れるってどうやってですか」
前の廊下はシャラの攻撃で無くなっていた。

「クローディアさん。こっちだ」
アルヴィンは王族に伝えられていた秘密の避難通路を開ける。そして、シャラを背負ってあるき出す。

「はいっ」
クローディアは慌てて追いかけて通路の中に入る。通路を閉めてアルヴィンは歩き出した。
その後ろからクローディアも歩いた。

10分くらい歩いただろうか、アルヴィンは1室の秘密の扉を開けて入った。

「ここは?」
「衣装部屋さ。古い衣装が入れられていて、子供の頃に王子教育が嫌になった時によくここに逃げ込んだものさ」
笑ってアルヴィンが言った。

「やんちゃな王子様だったんですね」
「ああ、もう今は王子ではないけどね」
寂しそうにアルヴィンは言った。
クローディアは嫌なことを言ってしまったと思った。


「あの、ありがとうございました。わざわざ私を助けに来ていただいて」
「いや、私はシャラの姉御の道案内について来ただけだよ」
クローデイアの礼にアルヴィンは首を振った。

「でも、この王宮に来るのはお嫌だったのでは」
言ってしまった後でクローディアはまた言葉を間違えたことを理解した。

「まあ、思い出したくないことがあるからね。でも、姉御に逃げてばかりでいいのか。せめて最後を見届けろって怒られてしまったよ」
苦笑いをしてアルヴィンは言った。
シャラならいいそうな言葉だった。シャラは悩んでいる部下の面倒事に強引に首を突っ込んできて解決してしまう姉御だった。

「シャラザール様は大丈夫でしょうか」
寝ているシャラが心配になってきてクローディアが聞いた。

「単なる魔力切れだと思うよ。姉御は魔力は莫大な量をお持ちだけれど、流石に100人連れてノザレ往復したら限界だよ」
「なのに、先程魔力をまた使わせてしまったんですね。私が使えなかったばかりに」
クローディアは後悔した。シャラの頭を膝枕して、シャラの顔を見る。

「ま、良いんじゃないか。幸せそうな顔をして寝ているじゃないか」
アルヴィンがシャラの顔を見て言った。
実の娘の膝枕されいるのを知っているとは思えなかったが、シャラの寝顔は笑っていた。

「ま、もうじき大賢者様が100名連れて転移してくるから、問題はないと思うけれど」
「ジャルカ様がですか」
「そう。それまでの辛抱だ。少し待とう」
「はい。判りました」
ジャルカが来るならばたとえシャラが寝たままでももう問題はないだろう。クローディアは安心した。安心するとクローディアも眠くなってきた。少し休もうとクローディアは目を瞑った。

そのクローディアが寝るのを見て、アルヴィンは立ち上がった。

その瞳は決意した光を宿していた。
二度と来まいと思っていたマーマ王宮に再び足を踏み入れてしまった。

ここまで来てしまったのだ。

マーマ王族の責任としてキャメロンに自ら手を下して、この蛮行を終わらせるべきであろう。たとえ失敗しても後はシャラがやってくれる。

アルヴィンは再び秘密通路に潜り込んだ。キャメロンがいるならば、地下の執務室だろう。あたりをつけてアルヴィンは向かった。

5分くらい歩けばその地下の執務室の裏に到着した。
秘密の扉の隙間から中を覗く。中には運び込まれたベッドに横たわったキャメロンがいた。距離的に5メートルほど。間には誰もいない。

視界の範囲で見る限り近衛騎士たちはその向こうに控えていた。

「失礼します」
しかし、そこに女性が入ってきた。
その女性の顔を見てアルヴィンは絶句した。
それはアルヴィンが絶対に会いたくないと思っていたオードリーだったのだ。


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アルヴィンの心は保つのか。オードリーの心は。残虐王の欲望の前に翻弄された二人の運命やいかに・・・・

明日朝更新予定です。
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