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第二章 愛娘との幸せな生活を邪魔することは許しません
辺境国王は第2王子と良からぬ企みをしました
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「何ですと。この未来のマーマ国王陛下の外戚の権威を高めるために、ダレルの地を私に頂けると」
北方の辺境国家ノザレ王国のエイベル・丿ザレ国王はマーマ王国の使者となって現れたアーロン王子の言葉に歓喜に震えていた。マーマ王国のアドレイド王妃はこのノザレ国王の妹だった。第二王子のアーロンはその王妃の生んだ唯一の王子だった。
「そうだ。父上の言われるには、ダレル王国はシャラなるならず者が反乱を起こし消滅させたようだ」
「その話は聞いております。憎きダレルが地上から消え去ったことは望外の喜びでございます。我が方から手を出しても良かったのですが、もともと貴国が手を出されていたので、控えておったのです。そのダレルを我が国に頂けるとは真でございますか」
北の辺境国家のノザレと国境を接するダレルはよく争っていた。しかし、ダレルは国内がきちんと纏まっており、今まで勝てた例は殆ど無かったのだ。それが今回はそのダレル王国が配下の魔導師の娘を生贄にするというのに、反対した魔導師の逆襲にあってあっさり国が滅んでしまったのだ。
「シャラなるものを屈服させればと言う条件付きだぞ。シャラは我が国の使者を話も聞かずに処刑したそうだ」
「な、なんと、大国マーマ王国にあくまでも逆らうということでございますか」
驚いてノザレ国王は聞いた。シャラ1党は100名程度のならず者の集団だと聞いている。シャラという魔術師の力がずば抜けているそうだが、大国マーマ王国に逆らうなど愚かなことをするものだと国王は思った。
「そうなのだ。直接私が成敗しても良いのだが、ジンデルが反対しての。そこで叔父上の事を推薦させていただいたのだ」
アーロン王子は自分の手柄だとはっきり言っていた。
「ありがとうございます。私めがダレル王国を併合致しましたなら、殿下の後ろ盾は最強になりますな。淫乱側室の生んだジェイク王子など対抗馬でも無くなります」
「ふんっ、あのようなガキなど元々、対抗馬でもなんでも無いが、陛下も最近耄碌されたようでの。あの淫乱側室を手元から外したがらん。何かあっても困るからの。叔父上のお力が強いほうが何かと都合が良いのだ」
アーロンは笑った。
「しかし、キャメロン陛下のお戯れも酷いですな。元第二王子の妃を側室にされるなど。10年前の快挙の時は国内外を収めるために仕方がないとは思いましたが、未だに寵愛があるとは」
眉を顰めてエイベルは苦言を呈した。
元々王弟に嫁がせた妹が王弟の反逆が成功して王妃になっていたのだ。その時はそれ以上の喜びはなかったが、10年もたち、キャメロンの力が盤石のものになると妹の生んだアーロンの対抗馬になりうる側室など邪魔以外の何物でもなかった。
「なにせ、かの者は淫乱じゃからの。自らの助命を頼むために、夫である王子の前で陛下に抱かれたそうだぞ」
「噂には聞いておりましたが、事実でございましたか」
エイベルは呆れた。
「もともと淫乱な体質、さも閨の中でも房中術が優れておるのだろうて」
「左様でございますな」
二人は下卑た笑いをした。
「で、シャラに対する対策じゃが」
「まともに相手にするのではなくてその娘を人質にすれば宜しいのでしょう」
「そうじゃ。間違っても正面から戦うのではないぞ。兄上の二の舞になるからの」
「判っておりまする。既に傘下のものを何名か忍ばせておりまする。こちらも選抜した最強の魔導師を中心に誘拐作戦を敢行いたします。まあ、殿下はごゆるりとご覧じてくださいませ」
胸を張ってエイベルは言った。
「しかし、シャラなるものも殿下のためになってくれましたな。邪魔な皇太子を処分してくれましたし」
皇太子はアーロンにとっては異母兄だった。その母は元々国内の公爵家の出の女で皇太子を生んですぐに亡くなっていた。キャメロンはその果敢な性格を愛しており、国内政治の均衡のためにもそのまま皇太子にしていたのだが、アーロンにとっては目の上のたんこぶだった。
それをシャラは瞬殺してくれたのだ。アーロンにとってはこれほど嬉しいことはなかった。
「そのシャラの娘、美しければ我が側室に召し出しても良いぞ」
「そうですな。その母を傘下に加えられたら殿下もこの大陸最強の戦力を有することになりましょう」
「そうじゃな。これで皇太子は儂のものじゃ」
二人は笑いあった。
愚かな二人は知らなかった。娘を拐われたと知ったらその怪物の牙がどうなるかを・・・・
北方の辺境国家ノザレ王国のエイベル・丿ザレ国王はマーマ王国の使者となって現れたアーロン王子の言葉に歓喜に震えていた。マーマ王国のアドレイド王妃はこのノザレ国王の妹だった。第二王子のアーロンはその王妃の生んだ唯一の王子だった。
「そうだ。父上の言われるには、ダレル王国はシャラなるならず者が反乱を起こし消滅させたようだ」
「その話は聞いております。憎きダレルが地上から消え去ったことは望外の喜びでございます。我が方から手を出しても良かったのですが、もともと貴国が手を出されていたので、控えておったのです。そのダレルを我が国に頂けるとは真でございますか」
北の辺境国家のノザレと国境を接するダレルはよく争っていた。しかし、ダレルは国内がきちんと纏まっており、今まで勝てた例は殆ど無かったのだ。それが今回はそのダレル王国が配下の魔導師の娘を生贄にするというのに、反対した魔導師の逆襲にあってあっさり国が滅んでしまったのだ。
「シャラなるものを屈服させればと言う条件付きだぞ。シャラは我が国の使者を話も聞かずに処刑したそうだ」
「な、なんと、大国マーマ王国にあくまでも逆らうということでございますか」
驚いてノザレ国王は聞いた。シャラ1党は100名程度のならず者の集団だと聞いている。シャラという魔術師の力がずば抜けているそうだが、大国マーマ王国に逆らうなど愚かなことをするものだと国王は思った。
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アーロン王子は自分の手柄だとはっきり言っていた。
「ありがとうございます。私めがダレル王国を併合致しましたなら、殿下の後ろ盾は最強になりますな。淫乱側室の生んだジェイク王子など対抗馬でも無くなります」
「ふんっ、あのようなガキなど元々、対抗馬でもなんでも無いが、陛下も最近耄碌されたようでの。あの淫乱側室を手元から外したがらん。何かあっても困るからの。叔父上のお力が強いほうが何かと都合が良いのだ」
アーロンは笑った。
「しかし、キャメロン陛下のお戯れも酷いですな。元第二王子の妃を側室にされるなど。10年前の快挙の時は国内外を収めるために仕方がないとは思いましたが、未だに寵愛があるとは」
眉を顰めてエイベルは苦言を呈した。
元々王弟に嫁がせた妹が王弟の反逆が成功して王妃になっていたのだ。その時はそれ以上の喜びはなかったが、10年もたち、キャメロンの力が盤石のものになると妹の生んだアーロンの対抗馬になりうる側室など邪魔以外の何物でもなかった。
「なにせ、かの者は淫乱じゃからの。自らの助命を頼むために、夫である王子の前で陛下に抱かれたそうだぞ」
「噂には聞いておりましたが、事実でございましたか」
エイベルは呆れた。
「もともと淫乱な体質、さも閨の中でも房中術が優れておるのだろうて」
「左様でございますな」
二人は下卑た笑いをした。
「で、シャラに対する対策じゃが」
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「そうじゃ。間違っても正面から戦うのではないぞ。兄上の二の舞になるからの」
「判っておりまする。既に傘下のものを何名か忍ばせておりまする。こちらも選抜した最強の魔導師を中心に誘拐作戦を敢行いたします。まあ、殿下はごゆるりとご覧じてくださいませ」
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